私自身も恥ずかしながら、開催前はここまで盛り上がるとは思えなかったし、今更遅いのだがチケットを申し込めばよかったと後悔している“にわかファン”の一人である。ラグビーの試合は実に面白い。四年に一度ではなく一生に一度だ、というキャッチコピーにふさわしい大会になっていることは間違いないだろう。

ラグビーW杯が人々を熱狂させている大きな理由は試合の面白さ、ドラマチックさであることは疑いの余地はないが、メディアでの報道もそれを加速させている大きな要因だと言える。今回のW杯の中継局であるNHKと日本テレビはもちろん、各局各紙ともに大きく報道しているし、連日何かしらのニュースが発信されている。そして、忘れてはいけないのはSNSの存在だ。SNSを通してテレビや新聞の報道がさらに拡散され、そこに個人の意思や思いが加わり大きな話題を作っている。(上手に使えば)SNSは現代のスポーツにはなくてはならない存在だといえるだろう。

そんな中でラグビーW杯組織委員会の公式SNSが注目を集めている。ラグビーW杯組織委員会の公式Twitter(@rugbyworldcupjp)は、開幕前のフォロワー数は99,769人だったが、現在(10/21現在)では262,423人と3倍近くに増加している。もちろん、ラグビー日本代表の活躍による注目度の高まりが大きく影響しているのだが、注目すべきはフォロワーの人数だけでなく各ツイートにおける動画再生回数やインプレッション数(表示回数)だ。

【参考】ラグビーW杯組織委員会公式Twitter いいね数/動画再生回数ランキング

ラグビーW杯期間中のTwitterの投稿に対する動画再生回数やインプレッション数は驚くべきものがある。再生回数1位は、アイルランドに勝利した際の動画投稿。これが約410万回もの再生回数を記録しており、再生されるだけでなく、実際にその投稿に対してシェアやいいねなど個人がアクションしているという点ではテレビなどに比べると格段に意味があるといえる。

また、先日組織委員会から発表されたプレスリリースでは開幕からの期間中のインプレッション数の合計が約3億4000万以上を記録したとある。特にカナダ代表のボランティアに関するツイートは13万リツイートを記録し、約1300万人の閲覧につながった。この投稿はリツイート数もさることながら、実際にニュースにも取り上げられ、テレビや新聞など各メディアに派生している。

投稿にも仕掛けや工夫がみえる。日本の勝利に関するものはもちろんだが、日本の試合だけでなく各国の情報なども逐一伝えてくれているため、様々な角度からラグビーW杯を知ることが出来る。様々な切り口や情報を投稿していくことで更なる拡散が期待できるというわけだ。

ファンゾーンやパブリックビューイングなどスタジアム以外でも実際に体験できる場が設けられることで個人が投稿する動機付けにもなっているし、チケットも、来場する全ての人が手に取ることを前提としてデザインが工夫され投稿したくなる仕掛けになっている。また投稿のテンポも早く、著名人などのツイートも迅速にリツイートすることでより多くの人の目に留まる機会づくりを行っていることが分かる。大会開幕から約1か月で(10月20日まで)で合計1,978もの投稿をしており、リアルタイムでの投稿は人の行動に直接訴えかけるものがあると感じた。

【参考】国内主要スポーツ団体のTwitterフォロワー数比較

ラグビー組織委員会の公式SNSは期間(約1か月間)に対してのフォロワーの数値の伸び率が圧倒的だった。JリーグのTwitter(@J_League)が現在日本のスポーツ団体の中で最もフォロワー数が多いといわれているが、その約半分まで迫っている。この期間でつかんだ“にわかファン”をどうコアファンにしていくのか、このラグビー熱を途絶えさせないことが協会やトップリーグの大きな課題だ。そのために協会やチームなど、日本ラグビー界が一丸となってもらいたい。ここからがスタートだ。

また、他のスポーツ(チームや競技など)に関してもただSNSをやるだけでなく、だれに何を届けたいのか、SNSというツールをどう活用すべきなのか、ということをもっと考えるべきであろう。2019年ラグビーW杯は間もなく終わり、2020年には東京オリンピック・パラリンピックがやってくる。東京オリンピック・パラリンピックでラグビーW杯以上の盛り上がりを作るためにもSNSの活用から逃げずに向きあってほしい。

朝日昇

著者プロフィール 朝日昇

PR会社でスポーツ関連のプロモーション業務などに従事した後スポーツライターに転身。国内外問わずスポーツ取材を行い執筆を行っている。