幸い重篤な状態ではないものの、読売巨人の坂本や名古屋グランパスの金崎など、新型コロナウイルス陽性と診断される選手が出ている日本のスポーツ界。プロ野球は6月19日開幕、J1は7月4日再開を目指して動いているが、池田氏は、今だからこそさらにその先の時代を読みときながら経営戦略を考えるべきだという。

「星野リゾートの星野佳路社長が新聞のインタビューで『旅行・観光業界にはワクチンができるであろう18ヶ月後を見据えた戦略が必要』と語っていたのですが、スポーツ界も同じだと思うんです。コロナの時代は、『コロナ前の景色やアクティビティを楽しみにいく目的から、心の解放などに顧客の心理が変わる』といったようなことをおっしゃっていましたが、そういうマーケティング的な視点が必要だと思います。

スポーツ業界も時代の空気、顧客の深層心理を読まなきゃいけない。無観客試合なんて誰もやりたくないんですよ。みんなそこで大騒ぎしたいんですよ。今は仕方なくそこを目指してやっていますが、まったくもって無観客試合そのものには何にもない。その裏やその先が大切。無観客の時代に何を顧客に提供して、どうやって球団の経営をまわしていくか。以前と同じように満員にして、球場内で飲食の販売をしてというところまでいくのは、来シーズンかその次のシーズンまでかかるかもしれない。それでもチームを維持し、人気を保っていくためにはかなり考え抜いた戦略が必要ですし、これまでにない挑戦もしていかなければならないと思います」

池田氏は、プロ野球、Jリーグともに今シーズンは10〜20億円の赤字になるのではないかと予想。経営基盤が弱いチームは、身売りなども現実的になってくる。

「私が経営権をもっているB3リーグの埼玉ブロンコスなどもかなり経営は苦しくなると思います。無観客でチケット収入が見込めないなかで、どうやって稼げばいいのか。お客さんも限った人数、制限が多数あるなかでの興行でどう稼げばいいのか。PCR検査を毎月やったとするなら、それだけで2万円☓20人☓8ヶ月=320万もかかってしまう。

私が今考えているのは、以前のように観戦チケットで稼ぐことができないなら、バスケをやることで体を動かして楽しんでもらうことを経営の主軸にしたり、うっぷんを晴らすべく、限られた人数でも、いかにして大騒ぎしてもらう環境をつくったりして稼ぐか。

うっぷんがたまっているから、みんな騒ぎたいという気持ちが深層心理にあるのは間違いないんです。今が苦しいのはどの業界も同じ。ならばその時期をどうやりくりし、さらに未来のための挑戦をしていけるか。それこそ経営手腕の見せどころだと思います」

少し先になるかもしれない。だが、“withコロナ”から“afterコロナ”への転換点は、いずれやってくる。その日をどう向かえるかによってスポーツ界の未来も大きく変わってきそうだ。




取材協力:文化放送

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VictorySportsNews編集部