自粛期間は色々考えるきっかけになった

ーJは再開しましたが、練習が無く家にいる期間も多かったかなと。色々と感じた部分や過ごし方、考え方の変化もあったと思います。

武岡 僕は膝がもともと悪いこともあって、まわりがジョギングをしていたときも基本的には在宅で身体はあまり動かしていませんでした。正直、今年はJリーグはないと思っていたので、特に焦ることもなく“なるようにしかならないな”と。不安は全くなかったですね。世の中を見ても「スポーツやってる場合ではないな」と感じたので。Jリーグがなくて困るのは僕らだけ。世界における1つのパーツとして見たら大したことないですから。ないならないで受け入れるしかないな、と。

安在 僕も開幕戦で負傷してリハビリ状態だったので、怪我と向き合う時間がすごく長かったですね。リーグに関してはいつやるのか、やらないのかという議論がありましたが、それが無くなって白紙になってからは治療に専念できたので、前向きに取り組むことができました。

小松 僕は昨年、シーズンの半分ぐらいしか試合に出れらなかったので、今年は試合をしたい思いが強かったんです。なので、いつ再開するかもわからない中で若干不安ではありました。でも、不安でいても何か変わることはないので。多少身体を動かしたりチームがzoomを使って色んな業種の方の話を聞く機会を設けてくれたりしたので、それは気持を安定させる面では良かったです。サッカー漬けの日々から離れて、サッカー以外のところに目を向けていろんな知識を得ようと思えた良い機会になりました。

ー小松選手がおっしゃったように“サッカーから離れて”色々と考え、行動した選手が増えた気もします。それこそ“引退後”のこともそうですが。

武岡 このオフに色々考えました。僕は2011年に膝の手術をしたときに初めて引退を考えたのですが、昨年に甲府へ入る前も同じことを考えました。そして、今回もです。スポーツ界も厳しくなってきて、いよいよ年齢も上がっている選手は厳しくなるな、と。その中で自分で何かを稼げるようにならないといけないと思ったんですよ。この活動自粛中はめちゃくちゃ考えました。何ができるのか、と。その中で色々な人と電話やzoomで話してたり、同年代の選手何人かとも話したり。川崎Fでチームメイトだった橋本晃司とは毎日やり取りしました。今の時代はYouTubeやオンラインサロンを始め、サッカー以外で生活基盤を作る人も出てきていたので、どうすればよいかとは考えましたね。結局、いつかは引き際がきますから。

小松 僕はサッカーがなくなった後に何をしたいかという明確なものはないのでが、辞めた後、サッカーがなくなった後でも、自分でどうにかできるようにはなりたい。そのために、将来に直結するかわからないですけど、歴史や政治というような、これまで目を向けてこなかったものに目線を向けるようになりました。サッカー選手である中で何かに繋がるというのはほぼないですけど、生きていく上で何かに繋がれば良いな、と。


ー安在選手は名門のヴェルディ出身で、プロになったときから「サッカーで一生やっていくぞ」という気概を持っていたのかなと思うのですが、引き際を考えたことはあるのでしょうか。

安在 常に考えています。辞めてからのビジョンみたいなのが見えないので、そこの怖さがありますね。引退後のキャリアは考えても出てこないですからね。プロ5年目、23歳になったあたりから意識しだしたのですが、「23ってけっこう歳だな」と思ったんです。そこで「自分はサッカー以外に何かスキルを持っているか」と言われたら持っていないし、何かを探さないといけないということは考えています。それを自粛期間で感じたし、良いきっかけになったかなと。

(C)VICTORY

プレーに影響するファンのチカラ

ーお客さんが入り初めて試合が始まりましたが、色々と制限されて以前の大きな声援はピッチで聞こえません。練習で交流も出来ない日々ですが、そういったファンの方々からもらえるチカラは大きいかと思います。
安在 僕はそれをすごく強く感じますね。例えば公式戦で声援を強く受けた次の日、パワーをもらった状態でプレーした次の日に非公開の練習試合をやっても気持ちが入りにくいということはあります。最後の疲れている局面も、大きな応援を受ければ頑張れる。そういう部分がまだないのは寂しいですし、背中を押してもらえる存在がいないのは苦しいかなと思いますね。

ー声援が力になってプレーに繋がった経験はありますか?

安在 1個の良いプレーにおお客さんが湧くと「次もやってやろう」と勢いが出てくるので。こういうときに「背中を押してもらってるな」と思いますね。


ー武岡選手は川崎F時代、守備で魅せる選手になりましたよね。等々力で相手FWと1対1になったとき、ファンは湧いていました。

武岡 率直に気持ちよかったですよ。自分のプレーを2万人以上の人が見ていて期待に応えた時に盛り上がる感覚は独特なものがありました。他の人とは違った湧き方でしたし、言ってしまえば独壇場だったので気持ちよかったです。

ー小松選手はFWなので、点を取ったら一気に注目が集まる、ファンの視線を集められるポジションかなと思います。
小松 応援が少ない、大きいという理由でプレーが変わるというのはほぼないんですけど、点を取ったときにファンの方が喜んでる、味方が喜んでいるのを見て「サッカー、楽しいな」と思えるので。精一杯周囲と喜びを分かち合えない環境がないのは辛いですね。

ー例えば後半アディショナルタイム、ラストワンプレーで点を取った時に前ほど激しく喜びあえない。
小松 あと、終盤に点が入るときって、会場の雰囲気も影響してくるじゃないですか。最後にホームチームで押せ押せの展開になって、声援も相まってゴールが生まれるということは多少なりともあると思います。でも、そういう雰囲気が作りづらい。そういう意味では、今年のJリーグ全体を通して、ラスト5分10分でどれくらい点が入るのかな?変わってくるのかな?と気になっています。


ー練習のファンサービスで声をかけてくれる人も居ますが、対面での声掛けもいつ再開できるかわかりません。
武岡 横浜FC時代から10年ぐらい追いかけてくれてるファンの方もいますし。そういう人たちが移籍先にも来てくれた時にはありがたいなと強く思います。チームだけではなく個人をコアに強く応援してくださっているのはとてもうれしいですし、チカラになります。

安在 コロナが流行する前に山口でもファンサービスの時間がありました。その時に鳥栖のサポーターの方が佐賀から来てくださったこともあって。すごく嬉しかったですし。ヴェルディのサポーターの方が鳥栖の時に来てくれることもありました。

(C)VICTORY

ーファンサービスが無い中で選手とファンがふれあえない。その中でファンに動画メッセージを届けられるPasYouというサービスを使うことになりました。

小松 これから1~2年かもっと先になるかもしれないですけど、ほぼファンと触れ合ったりサインをしたり、握手をすることができないのかなと。「いつもありがとうございます」という一言もファンサービスのときに直接伝えられますけど、今の状況だとむずかしい。だから、いつも熱心に僕自身を応援してくださる方にPasYouを使って感謝を伝えていきたいですね。

安在 コアなファンにPasYouで交流することができます。直接会うのが1番良いと思いますが、会えない状況の中でこういうサービスがあることで、会わなくても、会ってるような感覚で繋がっていられる。それは素晴らしいことだなと。

ーそれこそお三方は複数回、移籍をされているので、遠方のファンに思いを届け荒れるという意味ではマッチしますね。

武岡 僕はいろんなSNSのツールを使っていますが、今回PasYouの話をいただいて“僕個人を必要としてくれる人”に想いを届けられる点がすごく良いなと思いました。そこが自分の中で大きかったです。自分を必要としてくれる人たちに恩を返したいし、何かを伝えたいですし、何か助けになりたいなと思います。

ー想いを届けるという面だと、プレーや発言がファンの方にとって日々の活力になるというの点はあるかなと。それがある種サッカー選手、アスリートの社会における価値だと思います。その“サッカー選手の価値”についてはどう考えますか?

小松 子供たちからしたら“プロサッカー選手”は憧れの存在だと思います。だから、僕らにもそういう子供達にプレーで見せるとか、ピッチ上で表現するのが1番。ただ、ピッチ外のところでも様々な活動を通じて社会に貢献していくことが、サッカー選手とかプロスポーツ選手としてやらないといけないことかなと思います。ピッチ内外で色々な人に貢献してく、と。

安在 一般の方より発信力は間違いなくありますよね。だから、サッカー選手だからサッカーだけしていれば良いというわけではなく、より社会のために良いことや今いるチームのファにゃ子供達に“憧れ”を持ってもらえるように、目標になってもらえるような存在になっていかないといけないかなと。誰からも愛されるような選手になるような行動をとっていかないといけないなと思います。

武岡 noteにも書いたのですが、存在意義ってあるようでないのかなと思っている自分がいます。普通の人よりも発信力があったり、人に与える影響力はあると思っています。また、蓮が言った通り小さい子にとってはどのカテゴリーにいる選手も憧れの存在であるのは間違い無いので、そういう子達に対して夢を与える存在でなければいけないのかなと。

レノファの試合を楽しみに1週間の仕事を頑張ったりとか、レノファの試合によって浮き沈みがあったりする人もいると思います。自分たちの生活の一部として日々の生活を頑張ってくれている人もいるので、そういう人たちに対しては恩返しをしないといけないなと。ただ、仮にサッカーがなくなったらどうなるのか、存在意義があるのか、とも考えます。まさにこのコロナで、自分は何もできないな、ちっぽけだなとも感じました。だから、よろい自分の存在意義というものを色々な角度から作っていきたいなと思います。



ー最後になりますが、このコロナ前後でスポーツの価値がどう変化していくとお考えでしょうか。代表して武岡選手から伺いたいです。

武岡:スポーツの価値はコロナの前と後では人それぞれ変わるのかなと感じています。でも、この自粛期間で過去の試合映像がたくさん流れている中、Jリーグ初期の映像を見てちょっと興奮したんです。そのあとに東日本大震災を思い出しました。あの時も「スポーツをやってる場合じゃない」という声が出ましたが、サッカー選手はサッカーでしか人々に勇気を与えることができない、と。そして、あのチャリティマッチでカズさんのゴールを見た時に本当に感動したんですよ。

つまり、危機的な状況でも人々にスポーツで感動や活力を与えることはできるんじゃないかなと。当たり前なものが当たり前じゃなくなった時に人は価値の大切さを知りますよね。当たり前のように週末に試合があって、当たり前のようにレノファがあった中、Jリーグが生活から一気になくなっていつ再開するかわからなくなりました。

 世の中もどうなるかわからないという状況の中で再開が決まりましたが、その中で勇気を与えられるかどうかというのは僕らにかかってると思いますし、すごく重要なポイントなのかなと。Jリーグというか、スポーツの存在価値が上がるかどうかはやはり僕らにかかっていますし、重要な使命であると感じて日々の試合に臨みたいですね。

【後書き】
ビデオレターサービス「PasYou」は、憧れの選手、応援している選手から『あなただけにむけた』ビデオレターが届く新サービスである。「選手がファンに対して個別にビデオレターを贈ることができる」プラットフォームとして機能することで、従来のファンサービスを超える、より熱量に満ちた新たな繋がり方の実現を目指す。

〜以下、各選手からのコメント〜
武岡「僕はいろんなSNSのツールを使っていますが、今回PasYouの話をいただいて"僕個人を必要としてくれる人"に想いを届けられる点がすごく良いなと思いました。そこが自分の中で大きかったです。自分を必要としてくれる人たちに恩を返したいし、何かを伝えたいですし、何か助けになりたいなと思います。」

安在「コアなファンにPasYouで交流することができます。直接会うのが1番良いと思いますが、会えない状況の中でこういうサービスがあることで、会わなくても、会ってるような感覚で繋がっていられる。それは素晴らしいことだなと。」

小松「これから1~2年かもっと先になるかもしれないですけど、ほぼファンと触れ合ったりサインをしたり、握手をすることができないのかなと。『いつもありがとうございます』という一言もファンサービスのときに直接伝えられますけど、今の状況だとむずかしい。だから、いつも熱心に僕自身を応援してくださる方にPasYouを使って感謝を伝えていきたいですね。」

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竹中玲央奈

スポーツライター&編集企画。大学在学時に風間八宏率いる筑波大学に魅せられ取材活動を開始。2012年から2016年までサッカー専門誌エルゴラッソ で湘南と川崎Fを担当し、以後は大学サッカーを中心に中学、高校、女子と幅広い現場に足を運ぶ。㈱Link Sports スポーツデジタルマーケティング部に務め、AZrenaを始めとした自社メディアや外部スポーツコンテンツ・広告の制作にも携わる。