衆院選、スポーツは各政党マニフェストにほとんど記載されていない。(作家・小林信也氏 寄稿)

10月22日、第48回衆議院議員総選挙の投開票が行われる。2020年に東京五輪という一大イベントを控え、候補者がスポーツ関連の政策、施策を話題にする機会も増えた。2015年にはスポーツ庁が発足し、社会生活におけるスポーツが注目を浴びているように見える。実際のところ、政党や政治はスポーツをどう扱おうとしているのか? 各党マニフェストから見える政治とスポーツについて、作家・スポーツライターの小林信也氏に寄稿いただいた。

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自由民主党

そのほか詳細は『衆議院選政権公約2017』へ

『この国を、守り抜く。』をスローガンに、北朝鮮の脅威から国民を守ることを第一公約に掲げる自民党は、政権公約の「自民党政策バンク」の中の2020年東京オリンピック・パラリンピック他いくつかの項目でスポーツについて言及しています。

主旨を要約すると
・「復興五輪」として被災地復興を世界に発信する
・パラリンピックのレガシーとして心のバリアフリーの推進や、公共交通機関、建築物、道路等のバリアフリー化を進める
・国立強化拠点施設を拡充し、国際競技力を向上させる

スポーツ関連の記述がもっとも多かったオリンピックの項目全文は下記の通りです。

2020年 東京オリンピック・パラリンピック
●「復興五輪」として被災地が復興を成し遂げつつある姿を 世界に発信するとともに、競技開催地だけのイベントとすることなく、日本全国の祭典となるよう、参加国・地域との交流を全国的に展開します。
●パラリンピックのレガシー(遺産)として、心のバリアフリーの推進や公共交通機関、建築物、道路等のバリアフリー化を進め、障害者も高齢者も健常者も共生できるユニバーサルデザイン社会をつくります。
●大会開催時の交通混雑緩和に取り組み、大会の成功と経済・市民活動との両立を目指すとともに、スポーツ産業を成し、民間投資を呼び込みつつ、スタジアム・アリーナの整備等によるスポーツを通じた地域・経済の活性化に貢献します。 来年の2018年ピョンチャン冬季大会、そして2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、日本選手が多くのメダルを獲得できるよう、国立強化拠点施設を拡充し、国際競技力の向上に取り組みます。 日本で開催されるラグビーワールドカップや女子ハンドボール世界選手権等の成功を通じて、 オリンピック・パラリンピック・ムーブメントを広げていきます。
大会の場を「ショーケース」として、自動走行や水素社会など最先端の科学技術を世界に発信し、国内外への展開を図るとともに、サイバーセキュリティをしっかり組み込んだ安全で品質の高いICTサービスを実現します。

そのほか、教育、治安・テロの項目にも下記のようにスポーツの政策が話題に上がっています。

教育
●「アンチ・ドーピング法」を制定するとともに、障害者スポーツ及び学校や社会体育施設での生涯スポーツを推進し、スポーツ産業などを振興します。
治安・テロ
●2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、治安関係の人的・物的基盤の拡充、外国機関との連携強化等を通じて、国内テロ防止の取組を促進しつつ、関係機関間の情報共有の迅速化を図るなど、国内組織のあり方の研究・検討を不断に進め、「世界一安全な国、日本」を実現します。

希望の党

そのほか詳細は『政策について』へ

小池百合子東京都知事が代表を務める新党、希望の党は、9つの公約と12のゼロを公約として掲げています。スポーツに関する記述が出てくるのは、公約3に掲げる「ポスト・アベノミクスの 経済政策」の項目。経済政策の一環として、「東京オリンピック・パラリンピックの成功に万全を期す」という記述が見られます。そのほか、政策集『私たちが目指す「希望への道」』で、ユニバーサルデザイン、バリアフリーについて、受動喫煙ゼロについても触れられています。以下は政策からの抜粋です。

ポスト・アベノミクスの経済政策
アベノミクスは、民間活力を引き出す規制改革が不十分でした。大胆な働き方改革はもとより、おともだち厚遇ではない、特区を活用した抜本的な規制改革を進めます。
AI,フィンテック、自動運転など先端分野での競争力を高め、起業を促進し、経済の自律的成長を目指します。
同時に「民間でできることは民間で」の精神に基づき、政府系金融機関および官民ファンドは可及的速やかに廃止します。
東京オリンピック・パラリンピックの成功に万全を期すとともに、日本と東京をアジアナンバー1 の国際金融センターとして復活させるための規制や税制の見直しを断行します。
政策集:私たちが目指す「希望への道」
2.経済に希望を ~ユリノミクスにより、経済成長と財政再建の両立を目指す~
・東京オリンピック・パラリンピックを契機とし、ユニバーサルデザイン、バリアフリーを徹底した都市づくりを推進する。

6.地球に希望を ~エコ社会を実現し、2030 年までに原発ゼロを目指す~
・オリンピック・パラリンピック開催国として国際標準の「受動喫煙ゼロ」規制を実施する。

公明党

そのほか詳細は『2017衆院選重点政策』へ

今回掲出された政策公約、マニフェストのなかではもっとも多くスポーツに触れていたのが公明党でした。現在スポーツ庁が進めている、教育や、文化、国民の健康維持・増進、スポーツ観光などの観点から「スポーツ立国・日本」の構築を掲げています。

①教育負担の軽減へ
(8)未来を担う子どもや青少年が、様々な 体験を通じて、未来を切り開く力を身に付けるため、自然、文化芸術、職場、スポーツなどの体験活動を推進します。
②力強く伸びる日本経済へ
(3)成長戦略で日本を元気に
●日本の文化財の活用への戦略的投資などを推進するとともに、伝統芸能・演劇・スポーツ等、夜間も含めて楽しめ、また、外国語でも参観できるエンタテインメントの充実を図ります。国立公園を世界水準の「ナショナルパーク」としてブランド化することをめざし「国立公園満喫プロジェクト」を着実に推進します。
●2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「2020東京大会」という)の開催を契機に、国民の健康維持・増進の観点も含め、スポーツの振興やスポーツ産業の活性化による「スポーツ立国・日本」を構築します。また、スポーツ産業の活性化・競争力強化を図るため、スポーツと観光、テクノロジー等の他産業との融合などの支援策を講じます。
(7)文化芸術・スポーツ・科学技術
●2020東京大会を契機とし、全国津々浦々で実施する文化プログラム、ホストタウン構想等の推進のための十分な予算を確保します。
●障がい者の個性と能力の発揮とともに、社会参加を促進し共生社会の実現に寄与するため、障がい者の文化芸術活動の推進に向けた法整備を行い、2020東京大会に向けてハード・ソフト両面においてバリアフリー整備を促進します。
●世界が注目し国民に夢と希望を与える2020東京大会の成功をめざし、トップアスリートの育成・支援なとど国際競技力の向上や施設整備などを加速化させます。
●2020東京大会を契機として障がい者への理解が一層進み、障がい者かが身近な地域においてスポーツに親しむことができる社会の実現に向けて、障がい児・者のスポーツ活動の推進、障がい者スポーツに対する理解促進、障がい者スポーツの推進体制の整備等の取り組みを強化します。
●2020東京大会をドーピングのないクリーンな大会にするために、教育・普及啓発活動をはじめとした国内アンチ・ドーピング体制の整備・強化に、関係機関と連携しつつ取り組みます。また、世界ドーピング防止機構(WADA)のアジアで唯一の常任理事国として国際アンチ・ドーピング体制の強化についても積極的に取り組みます。
③人を育む政治の実現へ
(8)がん対策の強化
●オリンピック・パラリンピック開催地で“常識”になっている受動喫煙防止対策を進めます。
(22)人権の保護・性的マイノリティーの支援
●国連人権理事会決議やオリンピック憲章に基づき、性的指向や性自認を理由とする差別のない社会をめざし、性の多様性を尊重し、性的マイノリティーへの理解の促進を図ります。そのための法整備を推進します。

⑤安定した平和と繁栄の対外関係
(7)テロ対策など
●2020東京大会までに、「世界一安全な国・日本」をめざし、テロ対策の一層の充実に取り組みます。重要施設や多くの人が集まる場所の巡回警備やテロリストの入国を未然に防ぐための水際対策などを強化します。

日本共産党

そのほか詳細は『2017年日本共産党の総選挙政策』へ

10項目の重点政策の中にスポーツの話題は登場しませんが、65項目に渡る各分野の政策の「子ども・子育て」「文化」「スポーツ」の詳細にスポーツ政策についての言及があります。特にスポーツの項では、詳細ページなのでマニフェストの中に含めるかどうかは判断が分かれますが、スポーツと賭博や大麻、ヘイトスピーチについての記述もあります。

2、子ども・子育て
子どもの豊かな成長を保障する環境整備をすすめます
 子どもたちの成長、発達にとって、遊びや豊かな文化・スポーツにふれることが大切です。子どもたちの生活圏内に安全で安心して遊べる公園や児童館、プレイパーク、青少年がスケートボード、フットサルなどを楽しめる広場や体育館の確保・増設をすすめます。政府による一般財源化や予算削減などの影響で児童館など子どものための施設の統廃合がすすんでいます。国の予算を増やし、この流れにストップをかけます。遊びをつうじて子どもの発達を促し、子どもの生活を支援するための施設にふさわしく拡充します。
38.文化
オリンピック・パラリンピックの文化プログラムは住民参加ですすめます
 2020年東京オリンピック・パラリンピックの文化プログラムは、東京都の「市民創造文化活動支援」を充実させることをはじめ、幅広い分野の芸術家・芸術団体、住民が参加できるようにします。文化プログラムの透明化をはかり、広報活動の支援や、情報公開をすすめます。
39.スポーツ
スポーツ基本法にもとづく国のスポーツ施策の充実をはかり推進します
(1)国民のスポーツ実施率を引き上げ、スポーツの多面的な発展をはかる条件整備をすすめます
(2)2020年東京五輪・パラリンピックの準備は、国民・都民本位で民主的にすすめることを求めていきます
(3)賭博、大麻、ヘイトなどスポーツ界のゆがみを正す関係者の活動を激励し、選手の倫理と人権を守ります
(4)平和の文化であるスポーツを通じた世界の人々との相互理解と交流を促進します
「39.スポーツ」詳細全文はこちら

立憲民主党

そのほか詳細は『国民との約束。』へ

今回の選挙の台風の目と言われる立憲民主党。「国民との約束。」と題した5つの主要政策の中にはスポーツに関する記述は見当たりませんでした。

日本維新の会

そのほか詳細は『マニフェスト』へ

日本維新の会では、主要政策である『維新八策』のなかにスポーツは該当なし。
「維新が提出した108本法案」の項にスポーツ振興投票実施法の改正案が挙げられています。「維新が変える改革メニュー13」のなかの観光産業の項目にオリンピック関連の記述が見られました。

6.経済政策
(3)競争促進政策
<観光産業のさらなる拡大>
②2020年東京オリンピックに向けて全国で空き家や空き部屋を活用し、ホテルにかわる都市型「民泊」を可能にする規制改革を行う。近隣とのトラブル対策は行いつつ、一層の規制緩和。

社会民主党

そのほか詳細は『憲法を活かす政治』へ

社会民主党のマニフェストにはスポーツオリンピックに関する記述はありませんでした。

日本のこころ

そのほか詳細は『衆議院選挙に向けての政策実例』へ

日本のこころは、今回の総選挙用に特別な公約、マニフェストは準備していませんが、昨年の参議委員選挙の際に発表した政策実例、重点政策を公約としています。9つの政策実例の中の、9番目に、スポーツに関する記述が見られます。

九.我が党は、日本各地で、国際文化交流の祭典を催し、日本が、世界の文化が輝き、溢れ、交流する場となることを目指す。
(3)東京オリンピック・パラリンピックを機に、スポーツを通して健康寿命を延ばし、世界の見本となる高齢社会を実現

衆院選、スポーツは各政党マニフェストにほとんど記載されていない。(作家・小林信也氏 寄稿)

10月22日、第48回衆議院議員総選挙の投開票が行われる。2020年に東京五輪という一大イベントを控え、候補者がスポーツ関連の政策、施策を話題にする機会も増えた。2015年にはスポーツ庁が発足し、社会生活におけるスポーツが注目を浴びているように見える。実際のところ、政党や政治はスポーツをどう扱おうとしているのか? 各党マニフェストから見える政治とスポーツについて、作家・スポーツライターの小林信也氏に寄稿いただいた。

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