大河正明チェアマンの所信表明にあわせて発表されたナショナルアリーナ構想。「高校野球では甲子園が聖地とされるように、バスケットボールの聖地を作りたい」として、東京都内に1万5000人規模のアリーナを作りたいという目標を発表した。バスケットボール界に注目する池田氏はこの構想を報じる記事を見て、あることが気になったという。

「どの記事を見ても、どこに造るかが書かれていない。2026年というのもずいぶん先の話だし、もしかすると構想というより夢に近い計画なのかなと感じました。1万5000人規模のアリーナとなると莫大な費用が必要となります。それをどのように調達するつもりなのか、東京都内にその規模のアリーナを作れる土地はないような気がするし……。でも大切なのは、挑戦、気概。まずは誰かが夢をぶちあげないとはじまらないという姿勢は、私は好きです」

Bリーグは、その名前からも分かるようにJリーグを参考にしている部分が多く、リーグやチームのスタッフにもJリーグを経験している人間が多い。常務理事をつとめる葦原一正氏は横浜DeNAベイスターズ時代は池田氏のもとで社長室長を務めていた人物。「地域に根ざしたチームづくり」という理念に基づいてスタートし、今年で3期目。ファンやメディアの注目度も徐々に上がってきている。

「中学、高校と部活人気の高いバスケットボールのプロリーグが日本で成功する可能性は高いと感じています。八村塁がNBAドラフト1巡目指名され、渡邊雄太もNBAで活躍している。千葉ジェッツの富樫勇樹がBリーグ初の1億円プレーヤーになったことも話題になりました。そしてなにより来年はオリンピックがあり、日本代表も久しぶりに出場します。人気が爆発するには最高のタイミングだと言えるでしょう。だからこそ気になるのは、まだ不確定な“箱モノ”を重要視する必要があるのかということ。確かにJリーグが発足した時代は、スタジアムにどれだけの観客を呼べるかということが重要でした。でもいまは観客動員数だけで人気を測れる時代ではありません。もちろん生で楽しめる施設は必要ですが、それよりもネットなどをつかった人気獲得策やバスケを“やる”人を巻きこむ地域振興などを考えてみたほうがいいような気がします。未来を見ると、やるべきこと、やらなくてはいけないことが山ほどありますが、だからこそBリーグは楽しそうに思えます」

人口減、少子化など、スポーツを取り巻く環境は、けっして甘くはない。オリンピックのために建設された施設をどう活用していくかということもすでに問題視されており、スポーツの施設はあまり気味なのが現状だ。

「昭和の時代にプロ野球の人気を牽引したのはジャイアンツ。平成のサッカー人気は日本代表が支えたと言っていいでしょう。いまBリーグに必要なのは、こういった象徴となる存在。令和の時代にふさわしいスターチーム、スター選手をつくれなければ、野球に比するBリーグの躍進と人気定着はない。前例を追うのではなく、新しい取り組みで新しいファンを呼び込んでほしいですね」

この最高のタイミングを活かすことができるのか。Bリーグの未来は、ここからの2、3年にかかっている。



取材協力:文化放送

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VictorySportsNews編集部