新型コロナウイルスの影響で3月から延期が続いていたプロ野球がついに開幕することになった。リーグを中断していたJリーグも再開を決定。J3から始まり、J1は7月4日から試合が行われることになった。ともに多くのファンを抱える国民的スポーツ。コロナ問題で疲弊した人々に野球やサッカーが元気を与えるのは間違いないだろう。だが、問題は無観客で試合が行われるということ。コロナ問題の進展を見ながら徐々に観客数を増やす予定だというが、先行きは不透明だ。池田氏は球団経営の経験から今シーズンの厳しさを解説する。

「私はずっと、早く開幕すべきだという立場でしたが、いざ始まるとなるとやはり経営について考えざるを得ません。無観客、あるいはかなり少ない観客動員ではかなり厳しいチームも少なくないと思います。仮にプロ野球1球団の売上が年間100億円だとすると、シーズンチケットも含んだチケット収入が20〜30億。球場でのグッズなどの販売収入が20億くらい。この多くが失われるわけです。試合数が減りますからスポンサー収入も例年通りとはいかない可能性が高い。昔のように地上波で放送されるわけではないでしょうから放映権料も期待できない。売上が半分以下になってしまう球団も数多くあると思います。それでも選手年俸はやはり20〜30億円かかります。一般的に、選手年俸は売上の30%までというのが健全な球団経営といわれています。それが今年は50%を超えるようなチームも出てきてしまうのではないでしょうか」

新型コロナウイルスがスポーツビジネスを危機に追い込んでいるのは、プロ野球やJリーグに限った話ではない。Bリーグも大相撲も、アメリカの4大スポーツも、ヨーロッパサッカーも、あるいはアマチュアスポーツに対する影響も甚大だ。

「MLBのマイナーリーグでは数百人規模の解雇が出ていますし、ドラフトの規模縮小も確実でしょう。日本でも経営が厳しくなれば、抱えられる選手の数は限られてきます。そうなるとどうしてもスポーツ界全体が縮小していく方向へと流れていきます。プロ野球は親会社の基盤がしっかりしているところが多いですが、JリーグやBリーグだと身売りせざるを得ないようなことが出てくるかもしれません。もちろんスポーツ・エンターテインメントの力はすごいものがあります。だからこそ私はずっと早くやるべきだと言ってきました。でもそこには未来へのビジョンが必要。無観客や観客が少ない状態で、どうやってビジネスとして成立させるか。『いつか元通りになる』と考えず、withコロナ、afterコロナの時代のスポーツビジネスを成立させなければならない。逆にそれができれば、以前よりもビッグビジネスになる可能性もあります。チャンスだと思って、知恵をしぼってほしいですし、私も知恵をしぼっていかないといけないと思っています」

選手にとってもチームにとっても、そしてファンにとっても初めてとなる無観客シーズン。物足りなく感じるかもしれない。でもそこに未来への種が埋まっている可能性もあるのだ。



取材協力:文化放送

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VictorySportsNews編集部