パラ競技団体が不安なのも当然だろう。コロナ禍で延期されたものの、来年無事にオリンピック・パラリンピックが開催されるかどうかも不透明な状況だ。リオ五輪の金メダリスト、バドミントンの高橋礼華選手も「来年まで気持ちと体が持つのか」という不安から引退を決意。他の競技でもこのコロナ禍を機に現役を引退する選手も出てきている。

「やっぱりアスリートは、先が見えないとモチベーションを維持するのは大変なのではないでしょうか。トップ選手であればなおさら、厳しいトレーニングを積み重ね続けなければならない。あるかどうかわからない大会を目標に頑張り続けるのは大変しんどいのだと私は思います」

 さらにスポーツ界を苦しめているのは、スポンサーの問題だ。多くのスポンサー企業がスポーツに期待するのは「露出」だ。ユニフォームやスタジアムの看板に企業名が掲出され、それがメディアに出ることで企業の認知度やイメージがアップする。観客収入が望めないパラリンピックのようなマイナースポーツほど、強化や遠征などの費用をスポンサーからの支援に頼ることになる。

「この数年、特に東京オリ・パラが決まってからは、パラリンピックに対する理解が進み、競技を観よう、選手たちを支えようという動きがどんどん出てきていました。ただこの状況で多くの企業もダメージを受けていますから、スポンサードの継続が難しくなっているのは当然だと思います。なにしろ露出がない、将来の露出も不確定なわけですから、それでもお金を出すというのは企業判断としては、スポンサードの考え方自体を進化させないとなかなか厳しいものがあります」

 スポンサー離れは、他の競技、野球やサッカーなどのプロスポーツ界でも目の前にある“危機”だ。

「経営側が無観客でも試合をしたいと考えるのは、もちろん選手やファンのためというのが第一ですが、スポンサーの露出を少しでも確保しようという思いもあります。でも現状、無観客試合は、コアなファンが中心となり観ているような限定的な状況と捉えるべきでしょう。コロナ禍がなかったとしても、若い人は、動画配信サービスで『観たいものを、観たいときに』観る時代。以前のようになんとなくテレビを観ていたら野球が流れていて、そこで企業名を知るという時代ではありません。スポンサーのあり方を企業側とスポーツ側が双方で考え直す時期に来ているのだと思います」

 池田氏は、自らがオーナーを務めるさいたまブロンコスで新しいカタチのスポンサーとの関係を作ろうと考えているという。

「露出よりは、地域との関係を重視したスポンサーシップの在り方にシフトさせなくてはならないと考えています。働き方改革やコロナの影響で、ビジネスマンも自分が生活する地域にいる時間が増えています。いわゆる“地域の時代”にマーケティング環境はシフトしたともいえる。これからは企業も、漠然とした不特定多数に向けた露出よりも、目の前にいる地域の人々との関係を築いていくことを考えていくことになるでしょう。スポーツは、そんな人々と企業の接点として最適だと私は考えています。従来型の露出にとらわれるのではなく、“地域の時代”を念頭に新しい地域でのウィンウィンを築けるパートナーシップをスポンサーと作っていきたいと思っています」

 時代が変わればビジネスも変わる。当然、スポーツのあり様も変わっていくことになる。時代が変わりゆくのを呆然と眺めているようでは、どんな人気スポーツも人気チームも“おいてけぼり”をくらうことになるかもしれない。




取材協力:文化放送

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VictorySportsNews編集部