川崎という土地は「プロスポーツが根付かない」

―コロナ禍で、ファン・サポーターの方との交流が制限されている今の心境を教えてください。

谷口:ファン・サポーターの方との直接的な交流がほとんどなくなってしまって。グラウンドの練習を観に来ることも許されていないですし、僕らが直接お話しする機会もゼロに近い状況で、寂しさを感じています。僕らはファン・サポーターの方々が応援してくださるスタジアムの中で、サッカーをすることに喜びを感じられるので、今まで当たり前だった状況から変わってしまい、どれだけファン・サポーターの方々の応援にパワーをもらっていたのかと実感しました。今でも制限が解除されていなくて、練習も観に来ることができないですし、スタジアムも人数制限があるので、選手としてはまだ寂しさを感じています。

児玉:こういった状況で、制限されている部分があることは仕方ないと割り切っています。スタジアムでのアクティベーションや、興業としてお客さんを呼べない中で、何がファンの方に喜ばれるのかというのを、クラブスタッフ・選手で話し合っています。コロナが流行して、2年目ですが、なかなか収束しなくて頭を悩ませていますね。直接お会いする機会が減っている分、今できることを模索しています。

―川崎フロンターレはファンサービスを積極的にされている印象がありますが、どういった背景でそういった今の姿があるのでしょうか?

谷口:僕らはファン・サポーターとの距離が近くて、地域密着型というのを大事にしています。歴史を辿ると、川崎という土地は「プロスポーツが根付かない」と言われていたので、地道な地域貢献活動をホームタウン川崎で代々ずっとやられていました。僕らが入団した時には、伊藤宏樹さんや中村憲剛さんなどが中心となって様々な取組をして、多くの人を楽しませて、「どうやったらスタジアムに人が来てくれるのか」という活動に力を入れている姿を見ていたので、自然と僕らも「ファン・サポーターの方々が喜んでくれるならやろう」という想いで、様々なことに取り組んでいます。これからも受け継いできたものを大切にしながら、ファン・サポーターの方々との交流を続けていきたいと思っています。

児玉:僕も入社して10数年になりますが、入社したタイミングでは既に地域密着型というやり方で地道にやっていくという文化がもう定着していました。そんな中で、谷口キャプテンも言っていた中村憲剛さんの行動や言動には、クラブスタッフである自分も勉強させていただきました。年始に商店街へのご挨拶に帯同したときがあって、自らしゃがんで子どもと目線を合わせて楽しそうに談笑してたり、商店街の皆さんとの会話の中でも手を叩いて爆笑していたりとか、ケンゴさんの中では当たり前の行動だと思うのですが、様々な場面でそういうことを感じてましたね。

©KAWASAKI FRONTALE

手探りの状態での、コロナ禍でのアクティベーション

―コロナ禍ならではのアクティベーションとして、オンラインでのファン感謝デーなどに取り組まれていたと思いますが、一番印象に残っていることはありますか。

谷口:昨シーズンは直接お会いするファン感謝デーができない中でも、「何かやりたいよね」と話して、オンラインファン感をやらせてもらいましたが、僕らも手探りでやっていて、画面を通しての対応だったので難しかったです。でも、それが楽しくて、参加してくださった方も、画面越しでお話しするのは初めてだったみたいで、新しい取り組みとしていつもとは違った楽しみ方をしてくださったのではないかと思います。

児玉:オンラインフロンパーク(配信イベント)とファン感は特に印象に残っていますね。なかなか正解が見えない中で、クラブとして何ができるかを考えた時に、いろいろな企画を立てて、前向きに取り組めたイベントでした。あとは、フロンターレを支えていただいているサポートショップという制度があるのですが、その加盟店に協力していただいて、「FRO Eats」と題し、マスコットやスタッフが買ってくれた方にお届けする企画を実施していました。それ以外にも、フロンターレらしさを盛り込んだ企画詰まっていたなと感じています。(担当が頑張ってました‼)ネガティブな空気が世の中に流れている中で、サッカーを通じて、少しでもポジティブな空気に変えられないかということを考え、取組を企画しています。

―そんな中で、今回ビデオメッセージという新たな取組を始められるお聞きしました。今回の取組を始めようと思ったきっかけを教えてください。

児玉:僕が昨年までパートナーシップの業務をやっていた中で、オフィシャルパートナーとして応援してくださっているクライアント企業の皆様に、コロナ禍ならではのアクティベーションとして、選手からのビデオメッセージを撮影してお届けしました。それがとても喜ばれていて好評だったという話を実際に聞いて、ビデオメッセージを通じて言葉を伝えることは素晴らしいことだと改めて実感していました。そして、これはファン・サポーターの方々に置き換えても、ニーズがあるのではないかと思い、広報やグッズ担当などにヒヤリングをしたところ、そういった要望や問い合わせはコロナ前からもあったということだったので、今回、ビデオメッセージと、オリジナルユニフォームを添えてお渡しできれば、ファン・サポーターの皆様にお喜びいただけるのではないかということで企画しました。

―谷口選手はそのお話を聞いていかがでしたか?

谷口:率直に「いいな」と感じました。僕らが一方的に情報をあげることはやってきましたが、ビデオメッセージの特徴として、「こんなメッセージがほしい」とか、「こんなことをしてほしい」というお願いに対して、こちらがお応えできることがあると思います。今までなかったことなので、一歩踏み込んだことまでできると考えています。

「何かのきっかけになるようなメッセージを」ビデオメッセージを通じて届けたいコト

―ビデオメッセージを通して、どんな思いを伝えたいですか。
谷口:メッセージを通して、フロンターレのチームや選手の考えや気持ちも伝えられたらいいなと思います。もっとフロンターレのチームや選手のことを知ってもらって、好きになってもらいたいので、この活動を通してより知ってもらえたら嬉しいです。
また、僕自身、言葉の力をとても感じていて、苦しい時期や伸び悩んでいる時期などに、いろいろな人の言葉を力に変えてきました。それは偉大な人の言葉だけではなく、両親や、先生など身近な人の経験から出る言葉の重みを感じて、自分の人生に落とし込んでやってきました。例えば、高校の先生からの話が印象に残っていて。「大変」という漢字は「大きく変わる」と書きますが、「大変な時こそ変わっているんだよ」という言葉をかけてもらって。その言葉にこれまでパワーをもらって生きてきました。そういう言葉をかけてあげられるかはわかりませんが、何かのきっかけになるようなメッセージをお届けしたいと思っています。

―最後にお二人が考える、ファン・サポーターの方と交流する意義を教えて下さい。
児玉:僕らの活動を通して、支えてくださっている方や、川崎市民の方々を元気にするのが、我々のミッションなので、いろいろな活動をしていくことで、生活のプラスアルファになればと思っています。現在ファンクラブの会員が4万5千人くらいいて。スタジアムで応援すること以外にもたくさん支えていただいているので、こういった企画を通して還元していけるよう、今後も考えていきたいと思っています。

谷口:コロナ禍で制限がかかって満足にいかず、ストレスを溜めている方もたくさんいらっしゃると思います。僕らは、お客さんが応援してくれてこそのプロサッカー選手なので、僕らがサポーターの方々を元気づけられたら良いなと思いますし、逆に、僕らが何かすることによって、サポーターの方々から僕らにパワーをいただくことがあります。サポーターの方が喜んでくれるのが一番嬉しいですし、「またスタジアムに観に行こう」と思ってくれたら選手冥利に尽きますね。チームの結果もそうですが、周りのお客さんを楽しませることを大事にしているチームなので、僕らもサポーターの方々を支えていきたいですし、サポーターの方々からも支えてもらっている関係性をもっと構築していきたいと思っています。

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川崎フロンターレが新たに始める取組「ビデオメッセージ&オリジナルユニフォーム」キャンペーンについて

川崎フロンターレの選手からの世界で一つだけのビデオメッセージと、オリジナルユニフォームをご購入頂けるキャンペーンが開始されます。

「結婚式のお祝いメッセージがほしい」「友人の誕生日にメッセージをプレゼントしたい」「外出自粛で気分が落ち込んでいるから励ましてほしい」・・・そんな皆さんからのご意見を受けて実現した取組です。ぜひご利用ください。
※今回のキャンペーンは2021シーズン川崎フロンターレ後援会会員の方限定となります。

川崎フロンターレ|PasYou - 僕からあなたに贈るビデオメッセージ

誕生日やお祝いごとのメッセージ、お子さんや友人を鼓舞したり、励ましたりするメッセージ、自分への応援メッセージなどが届く!

PasYou(パスユー )|『あなただけ』に贈るビデオメッセージ

VictorySportsNews編集部