ゲッティイメージズは、1992年のバルセロナオリンピック以降、国際オリンピック委員会のオフィシャルフォトエージェンシーとして活動し、今回の東京オリンピックにおいても、新型コロナウイルス感染拡大の影響で各国のメディアの人数が制限された中、特別なエリアからの撮影を行うなど、唯一のオフィシャルフォトエージェンシーとして活躍を続けている。ゲッティイメージズのフォトグラファーは、すべてのスポーツイベントの撮影において、競技本番だけでなく、選手が試合前に行う練習から密着して撮影のテストを行うなど、選手それぞれに見られる動きの癖や競技のイメージを膨らませながら、より質の高いビジュアルの撮影を意識しているという。

 今回の東京オリンピックでは、このようなフォトグラファーの工夫だけでなく、企業として取り組む新たな撮影体制について紹介していく。

1330475251,Dan Mullan,Getty Images

 まず1つ目は、フォトグラファーが撮影した写真のチェック、並びに、写真にコメントを付ける作業を行うエディターと呼ばれるスタッフが、それぞれの自宅からリモートで作業を行いながら素材の配信までを完結させる、オリンピック史上初のリモート編集システムを採用していることだ。オリンピックのメインプレスセンター(以下、MPC)や会場へのアクセスが制限された状況において、過去最大となる50名のエディターを確保し、世界中のエディターが自宅から作業ができる仕組みを整えた。

 さらに驚くべきは、各競技会場で撮影された写真は瞬時にゲッティイメージズのサーバーにアップされ、撮影された写真が実際にサイト上で配信されるまでにかかる時間が、わずか30秒ほどということだ。従来のオリンピックと変わらず、スピーディーに質の高い写真を配信するために、現地とリモート合わせて、過去最大規模の100名以上のチームを組んでいるという。

1330750288,Ezra Shaw,Getty Images

 2つ目の取り組みとしては、MPCだけでなく、各競技会場へのフォトグラファーのアクセスが制限されている中でも、多くの写真を世界中のメディアに提供する役割を果たすための工夫だ。

 5Gや最新のロボットカメラを駆使し、各競技会場に設置されたカメラをMPCのモニターと同期することで、競技会場から離れた場所からでも自由にカメラを操作することが可能に。複数会場に設置されたロボットカメラをMPCのスタッフが遠隔で操作し、撮影まで行える仕組みを取り入れている。また、現地にいるフォトグラファーは、競技会場に固定された複数のリモートカメラのシャッターを1つのリモコンで操作することで、さまざまなアングルから同時に撮影ができるようになったという。そうすることで、一人がカバーできる範囲が拡がり、IOC公式フォトエージェンシーとして、スピーディーかつ魅力的な写真の数々を世の中に発信することができるのだ。

1330518086,Rob Carr,Getty Images1331942390,Maddie Meyer,Getty Images

 このような技術の躍進とリモート体制の強化により、リオオリンピックの150万枚を上回る、200万枚の写真を配信するという。

 さらに、アスリートの性的写真に関する話題が取り上げられている中、東京オリンピックを取材するゲッティイメージズは、事前に会社としての方針が定められたという。大会に関わる全てのスタッフは、女性アスリートを表現する写真をどのように撮影し選択するべきか、また、アスリートのパフォーマンスと功績に焦点を当てて配慮するよう説明を受けた。このような点でも、IOCの公式フォトエージェンシーとしての責任を果たしているとも言えるだろう。

1330535720,Jamie Squire,Getty Images

 我々も、東京オリンピックでの選手たちの活躍を目にし、ゲッティイメージズによって撮影された写真を通じてスポーツの感動を享受しているが、その裏側ではこういった隠れた努力があることを知ることで、また違った楽しみ方が生まれてくるだろう。特に、新型コロナウイルスによって制限された今回の東京オリンピックにおいては、ゲッティイメージズの活躍による恩恵を受ける人々はとても多いのではないだろうか。今月末から開幕する東京パラリンピックにおいても、ゲッティイメージズの写真で多くの感動を発信してもらいたい。

1330236595,Lintao Zhang,Getty Images
VictorySportsNews編集部

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