すでにメッシやセルヒオ・ラモスは退団を発表したが、エムバペやネイマールといったスーパースターたちが来日予定となっている。6月2日に都内で来日発表会見が行われ、PSGのOBでありガンバ大阪などJリーグ3チームでプレーした元カメルーン代表パトリック・エムボマ氏が登場してツアーをアピールした。

記者会見に登壇したエムボマ氏(下部)とセバスチャン・ヴァゼル氏(上部:モニター)

クリスティアーノ・ロナウドとの対戦が実現

「全員、超人。ー再び」。刺激的なキャッチフレーズとともに、ツアーのポスタービジュアルには、フランス代表のエムバペ、ブラジル代表のネイマール、そしてハキミ、マルキーニョス、キンペンべといった各国の代表選手たちが並ぶ。先日メッシの退団が発表されたが、それでもPSGは世界屈指のスター軍団なのは間違いない。今シーズンもフランスリーグ(リーグ・アン)で優勝を果たした世界屈指の強豪だ。

今年のジャパンツアーでは、7月25日に大阪のヤンマースタジアム長居でアル・ナスル、7月28日に同じく長居でセレッソ大阪、8月1日に東京・国立競技場でインテルと対戦する。今回の対戦カードは前回以上に話題性が満載。PSGとアル・ナスルの試合は、クリスティアーノ・ロナウドにとって、アル・ナスルの一員としては初めての欧州ビッグクラブとの試合、また、インテルは今シーズンのヨーロッパチャンピオンズリーグのファイナリスト(決勝は日本時間6月11日未明)となっており、この試合が日本で実現することに対するサッカーファンの期待は大きいだろう。

昨年のPSGのジャパンツアーは大反響を呼んだ。試合チケットは応募100万件超えで軒並み完売し、川崎フロンターレ、浦和レッズ、ガンバ大阪と計3試合で約16万5000人もの観客数を記録し、驚異的な数字を残した。特にガンバ大阪戦のパナソニック スタジアム 吹田、川崎フロンターレ戦の国立競技場は、スタジアム入場者数の過去最高記録(当時)を更新した。PSGにとっても、コロナ禍以降初の海外ツアーで、試合以外にも子供向けのサッカー教室で日本の子供達と交流したり、公開練習を行ったり(1万3370人が見学)、滞在中はとにかくPSGの話題が途切れることはなかった。今回のジャパンツアーも子供向けサッカー教室や公開練習などといったファン交流イベントを実施するなど、滞在中に多くのアクティビティを行う予定となっている。

さらに価格も“ハンパない”。試合チケットでは最低価格でも5000円からとなっており、他は全て万単位で、中には数十万円のチケットもある。インテル戦でのプライベートホスピタリティルームでのチケットが最高価格で350万円。他にも、試合チケット購入者限定でアップグレードメニューがあり、ピッチサイドシート、NFTデジタルチケット、宿泊プランも用意されている。さらにはスペシャルチケットがあり、選手たちと直接交流ができたり、来日中イベントへの参加ができるものもある。最高ランクはなんと3億円。詳細は後日発表とのことだが、3億円で得られる特典は想像もつかない。

柔道、ハンドボール、eスポーツなど、「PSGファミリー」が揃って来日

ただ、シーズン前の忙しいスケジュールの中で、フランスから遠い極東の島国に本当にスター軍団が来日してくれるのか。昨年は来てくれたが、今年も来てくれるのか。ファンからすると少なからず不安はあるだろう。来日発表会見時に、来日メンバーについて問われたPSGアジア・パシフィック代表のセバスチャン・ヴァゼル氏は「そこは私の専門外で、スポーツダイレクターが担当すること」と話したものの、「昨年も同じ質問をされて同じ回答をしたが、PSGと契約できている選手を連れてきます。決してBチームではない。皆さんがワクワクしてもらえることは間違いない」とし、「次のシーズンを準備していく上で重要なツアーになる。(PSG)ブランドとしても、日本で試合するのは大きな意義がある」と力強く説明した。

昨年はシーズン前の最終調整的な面もあり、ジャパンツアーでリーグ開幕前の最終調整を行い、帰国後そのままリーグ戦に突入していった。今回も日程的にはシーズン直前であり、ジャパンツアーを終えた後はタイ・バンコク入りし、リーグ王者PSGとカップ王者トゥールーズがシーズン開幕を告げるスーパーカップを実施予定。その後フランスに戻ってリーグ戦が開幕する流れになっている。そういった点でもジャパンツアーは決して観光気分で来るわけではない。
※フランスのスーパーカップは2009年以降、海外で開催している


PSGジャパンツアーのアピールで登壇したエムボマ氏は昨年を振り返って、「(昨年のジャパンツアーは)とても嬉しかった。怪我人も出ず、シーズンに向けての準備ができた。そして東京、大阪という素晴らしい街を訪れることができたし、日本はサッカーの素晴らしい施設があるので、今回また訪れることができて嬉しい。また、PSGの柔道、ハンドボール、eスポーツのチームも訪れるので良い経験になると思う」と話した。

PSGレジェンドとして今回のジャパンツアーの展望を語るエムボマ氏

そう、今回はサッカー以外のプロチームも伴った、まさに“PSGファミリー”での来日なのだ。柔道チームには、日本人にも馴染みのあるオリンピック金メダリストのテディ・リネールが所属している。ハンドボールチームは欧州最高峰で、つい先日、10度目のリーグ王者になったばかりだ。今回の来日ではジークスター東京、日本代表と試合する。2016年に立ち上がったeスポーツチームは、サッカーと同じく人気チームになっている。

セバスチャン・ヴァゼル氏がコメントしていたように、今回のPSGジャパンツアーは、サッカーだけでなく「PSG」というブランド価値を、日本やアジアでより高めていくという点でも大きな意味を持っている。

今夏はPSGだけでなく、インテル、セルティック、マンチェスター・シティ、バイエルン・ミュンヘンといった欧州のビッグクラブがそろって同時期に日本にやってくる。しかも、Jリーグチームとの対戦だけでなく、来日したチーム同士での試合も組まれていることが今回の特徴だ。例年であれば、アメリカに多く集まってシーズン前のオープン戦の様に試合をこなしている印象があるが、今年は日本にも集まった。インテルに関しては、アメリカでのツアーが組めなくなったことで、急遽日本へ変更となった経緯も耳にした。他のチームに関しては、昨年のPSGジャパンツアーの大成功が日本に目を向けるきっかけになったのかもしれない。いずれにしろ、日本サッカーファンにとっては嬉しいに違いない。

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大塚淳史

スポーツ報知、中国・上海移住後、日本人向け無料誌、中国メディア日本語版、繊維業界紙上海支局に勤務し、帰国後、日刊工業新聞を経てフリーに。スポーツ、芸能、経済など取材。