大会をプレミアパートナーとして支えたのがアパレルブランド「ユニクロ」。大会だけではなく前日12日に行われた「ユニクロドリームプロジェクト ジュニアカーリングクリニック」も支援した。軽井沢町などで活動する小学3年から高校3年の若きカーラー40人は、世界で活躍する選手達から約1時間の指導を受けて目を輝かせていた。
平昌五輪金メダリストのアンナ・ハッセルボリが大事にする3つのこと
アンナ・ハッセルボリ(スウェーデン)©Karuizawa International2024 クリニックは12月12日午後5時から行われた。男子のチーム・エディン(スウェーデン)、女子のチーム・ハッセルボリ(スウェーデン)、チーム・ティリンツォーニ(スイス)、チーム・スターメイ(カナダ)の計4チームが講師として参加し、4シートに分かれて子供達を指導した。
過去のオリンピックで金銀銅全てのメダルを獲得しているスウェーデンの英雄ニクラス・エディン率いるチーム・エディンは、男子高校生カーラーたちを教えた。エディンたちはまず彼らのプレー一つ一つにアドバイスを送り、途中からは試合形式を行い、そこにエディンたちが加わり、実戦さながらの指導をした。
チーム・エディンから指導を受けた高校3年の藤井海斗さんは、ユースオリンピックで旗手を務めるなど将来が期待されるカーラー。藤井さんは「試合形式の練習で、(エディンから)技術的には足りているけどチームとしてショットを決める能力がまだ足りないというアドバイスをもらったので、今後チームメイトと取り組みたい」と振り返った。貴重な交流を通じて藤井さんは「カーリングを楽しんで続けることが大切だなと思った。そこから先に、オリンピックとか世界で活躍できる選手になりたいと思いましたし、まだまだ足りないなとも感じました」とモチベーションを高めていた。
クリニック終了後、取材に対応したエディン選手は「学びたいという意欲が感じられるセッションだった」と感心し、「今やっていることを継続してやり続けることが大事だと思う。何よりカーリングを楽しむこと」とエールを送った。
また、まだカーリングを始めたばかりの小学生が混じる最年少のグループを担当した平昌五輪金メダリストのハッセルボリ選手(スウェーデン)は「とにかく子供達が可愛かった。私が彼らの年代の時、どちらかというと体が小さめだったので(指導しながら)自分の幼少期を思い出しました。1人小さい女の子がいてチームメイトが『ミニアンナだね』って」と笑顔で振り返った。とにかく笑い声が耐えず印象的だったことを伝えると「カーリングを教えるのが好きだし子供も好き。自分たちのチームで決めている大事なことがあって、1つ目が『楽しむこと』、2つ目が『よく笑うこと』、3つ目が『スポーツを愛すること』。私たちは競技に対しての愛情があるチームだと思うので、それを子供達にも感じて欲しかった」と理由を明かした。
ユニクロがカーリングの国際大会を支援する理由
軽井沢国際カーリング2024 記者会見 ©Karuizawa International2024 ユニクロは2023年大会からプレミアパートナーとして大会を支えている。「カーリングはオリンピックシーズンでは世間やメディアの注目を浴びるが、まだまだマイナー競技。日本を代表する企業・ブランドがスポンサードしてくれることは、大会にとって『非常に大きい』」(大会実行委員会・山田恭輔さん)という。
「グローバル企業が入ってくれたことによる告知力や集客力がある。ドリームプロジェクトに関しても『参加する子供たちを第一に、楽しんでもらえるように』という私たちと同じ思いを示してくれてありがたい。長野五輪を見て、エディン選手も、両角友佑選手(TM軽井沢)もが育った様に、将来を担うアスリートをこのイベントから輩出したい思いがある」(山田さん)
こういった脈々と受け継がれるカーリング文化の恩恵を受けたのが、軽井沢町出身で2024年の日本選手権優勝、今大会4位だったSC軽井沢クラブの上野美優選手だ。
「10歳か11歳でカーリングを始めた頃から軽井沢国際を見に来ていました。学校が終わってそのまま両親に連れてきてもらってました。特に覚えているのが中学生の頃に参加した時。ジェニファー・ジョーンズ選手(※カナダを代表する選手)が来て、実際に教えてもらい『上手だね』と褒めてもらえることが嬉しかったし、もっと頑張ろうと思いました。プレゼンターとしても優勝チームに花束を贈呈したり、大会の存在は本当に大きかった」
ユニクロの担当者は「子供達の育成に貢献できるのはとても嬉しいことです。草の根運動のため、すぐに効果が出ないかもしれない。ただ、10年後、20年後に花が開くというのを地道に支えていくことも大事で、このような活動を継続していきたいと思っています。」と軽井沢国際やクリニックをサポートする理由を明かした。
スウェーデンのアスリートを服のチカラで支える
新たな競技ウェアを着用したカーリングスウェーデン女子代表 チーム・ハッセルボリ ユニクロは、カーリング大会やクリニックの支援だけでなく、2023年11月からスウェーデンのカーリング代表チームとオフィシャルサプライヤー契約を結び、今大会に参加するチーム・エディンやチーム・ハッセルボリらに競技ウェアやカジュアルウェアを提供している。
大会前日の記者会見でハッセルボリ選手がユニクロの名前を挙げて感謝の弁を述べていた。また、エディン選手も「ユニクロはすごく着心地が良いですし、プレーするときも機能的なのですごく気に入っている。延長してくれたことに感謝している」と話した。特にサポート体制に感銘を受けているという。「ユニホームを提供するだけではなく、大会ごとにフィードバックを求めてきてユニホームをもっとよくしようと努力してくれることが、自分たちのプレーに役立っている。五輪、世界選手権でもその影響はあります」
五輪連覇を狙うことを公言しているエディン選手は「これまでの五輪では苦しみながら勝っていったりとかプレッシャーを感じながら試合をしてきているので、次はできれば試合を楽しむ大会にしたい。それでもトップを目指しているのは変わらないよ」と約1年後のミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪を見据えていた。