2月のおわり。WBC開催について、野球の神様たちが天上界でなにやら相談していました。もう一つ盛り上がりに欠ける「侍JAPAN」を、元気に大きな声で、誰よりも信じて応援する“特別な存在”が必要です。
【ベイスたん】2月27日 あやや!ごーじゃすなおはなしやよ! 5コマ目おサムちゃん初登場です!
おサムちゃんは、1日1ケのシウマイでベイスたんを釣り、野球の世界一を決める大会、 ワールド・ベースボール・クラシックの応援の旅に出かけます。
侍JAPANが勝利すれば、しろいおほしさまも1ケもらえるので、悪い話ではありません。野球の世界一を決める大会と聞いてベイスたんはおおはしゃぎ。
でも、実はその日本代表の侍JAPANには、ベイスターズの選手は選出されていませんでした……。
問答無用で決戦の地へ連れていかれるも、なかなか素直な気持ちで応援できません。
第1戦、第2戦と勝ちますが、第3戦の対キューバで敗れたところでストレスが頂点に。思い余ったベイスたんは山本監督に抗議をしに……!
そんなベイスたんに山本監督は
「ベイスターズだって、もちろん侍JAPANの一員だよ!」
そう言うのです。
「筒香のパワー、山口の球威、荒波の機動力……どれも本当に魅力的だ。だが、残念ながら 全員を選ぶことはできない。すべては、ぎりぎりの選択だったんだ。だけどね……」
彼らもまた立派な侍なのだと。12球団が力を合わせなければこの戦いは勝てないのだと。それを聞いて、やっとベイスたんは侍JAPANを、心から一生懸命応援すると心に決めました。
その後の東京ドームでの台湾戦では見事な逆転勝利。台湾と日本のファンの心温まる交流がありました。
そしてオランダ戦で鮮やかなコールド勝ち! 第2ラウンド通過を決めます。舞台は決勝ラウ ンドの地、アメリカへ!
相手はプエルトリコ。ベイスたんたちは声を枯らして一生懸命応援しました。
くやしくて歯がゆくて、ベイスたんもおサムちゃんも、テレビさんも冷ぞうこさんも泣きま した。
それでも、この悔しさが、きっと侍JAPANを強くするでしょう。
侍JAPANの守り神おサムちゃんとはしばしのお別れです。ベイスたんたちも日本へ帰ります。
さあ、2013年のペナントレースが始まります!
WBCでの応援っぷりを見ていた神様は、ベイスたんがこれからもハマスタで暮らすことを許してくれます。
ただし、ハマスタでみんなのために働くこと。それが条件です。
そんなわけで、ベイスたんはハマスタのお掃除をしながら、ベイスターズを応援することになります。
ベイスたんが冬眠している間に、ベイスターズには新戦力が続々と加入していました!
モーガン選手はメジャーリーグから。ブランコ選手やソーサ投手、ソト投手はドラゴンズさ んから。多村選手や吉川投手はホークスさんから。
2013年のベイスターズは一味違う。開幕カードの中日戦は2勝1敗で勝ちこしました!
4月6日、雨の神宮球場ではラミちゃん選手が日本球界だけで2000本安打達成!
試合前のミーティングで「ラミちゃんのために勝とう」と宣言していた石川キャプテンが、 有言実行の逆転3ラン。イケメンすぎます。チームも逆転勝利です!
しかしその後、なかなか勝ちを重ねらず、苦しい試合が続きます。
ハマスタ以外の試合でも、ベイスターズを応援したいという気持ちがベイスたんの中で膨らみます。
「遠征」がしたい……
ビジターで戦う選手を応援したい。
そんな中での悔しい悔しい負け。それでもベイスたんはぎゅっと涙を拭いて、前を向きます。
「きょうはまけてもあしたはかつやよ!」と。
この言葉に、気持ちを救われたファンの方は多いのではないでしょうか? 推しチームに負けが込めば、誰しも気持ちがふさぐもの。それでも、変わらず前向きに応援する仲間がいる。そのことが心を強くしてくれる、そんな気がします。
遠征のためにけっこう強引に召喚された、おサムちゃんの心も動きます。
ベイスたんの祈りが通じたのか。次のカードの中日戦では今季初の3タテ! 5割復帰を達成します。
ベイスたんとベイスターズの戦いっぷりを見ていたおサムちゃんは、ベイスたんを遠征に連れて行ってくれることに。ただし、ベイスたんが不在の間のハマスタのお掃除を代わりにやってくれる家電を手に入れてから、という条件です。
そんなわけで「ばっかじゃなかろか、るんば」そうじきさん初登場です。
しかも「最近は読売ランド店ではたらいています」というノジマの尾花店長が、サービスで冷ぞうこさんのオプションパーツ(?)「ぶつぶつこうかん機能」もつけてくれました!
おほしさまやシウマイと色んなものを“物々交換”できる、すごい装置。これで、ビジター戦のチケッツを手に入れたりできるようになります。
早速の遠征先、ナゴヤドームでは、大好きななかむらノリ選手が日本通算2000本安打達成!
ベイスたん、祝福の気持ちを込めてノリせんしゅの絵を描きます。上手すぎる……
次の遠征先、マツダスタジアムでも2勝1敗と勝ち越して、勢いに乗るベイスターズはホーム に帰ります。
そして5月10日。
相手はこのシーズンまだ一度も勝てていないジャイアンツさんです。この日もいきなりの5失点。球場のたくさんのファンからため息がもれます……
しかし、そんな嫌な雰囲気を奇麗にかき消す、ブランコ選手の18号2ランHRに、ノリさんの5号ソロ HR! 5-3と、試合はまだまだわからなくなりました。
その後しばらく膠着状態。動いたのは6回でした。
代打・矢野選手のタイムリーツーベースなどで3点を追加したジャイアンツ。 さらに7回は、坂本選手とロペス選手のホームランで2点を加えます。
7回の表に10-3と再び点差をつけられ、さすがにこれは……と思っていたところ、 その裏の攻撃……!
白崎選手のヒットに続いて、代打・多村選手のツーランホームラン!
そしてモーガン選手の来日初ホームランがライトスタンドに炸裂!
さらに内村、荒波、ブランコとヒットで続き、仕上げはやっぱりこの人。
中村ノリ選手のタイムリーツーベースで2点を追加!
なんと7連打で6点を挙げる猛攻撃です。これぞ横浜マシンガン打線!
――そして舞台はすべて整いました。
9回1アウト一・二塁。 もう何が起こってもおかし くない雰囲気のなかで、すべてのベイスターズファンの夢が 本当になりました。
多村仁志選手の逆転サヨナラHR!!!!!
7点のビハインドをひっくり返す大逆転劇です!!!!!
後々まで語り継がれる、伝説の試合でした。
ベイスたんはこの試合だけでおほしさま1つとシウマイ5つをGET☆
ベイスたんは、誇らしい気持ちでいつまでも横浜の街をパレードしました。
さて、5月も半ばと言えば、交流戦です。2013年のベイスターズはAクラスで交流戦に突入!
ベイスたんが応援を頑張ったご褒美に、今年も神さまは「セントラル大ちゃんス」をやってくれます。
今年のルールは「セ・リーグが勝ち越したら、とくべつなごほうび」がもらえるというもの。
しかもご褒美の内容はベイスたんが決められます。ベイスたんは……
ハマスタで楽しそうな親子連れをたびたび見かけ「自分にもパパとママがいるはず、会いたい!」
そんな気持ちが、いつしかベイスたんの中で芽生えていたのです。
何故だか神さまはちょっと戸惑っていましたが、とにかくこのベイスたんのお願いは受理されます。
さて、交流戦ですが、なかなか投打が噛み合わず苦しい展開になってきます。5月終わりの宮城での楽天戦では今季2度目の5連敗……
そんな中でも後藤武敏選手が9回2アウトの場面で第2号HRと、明日につながる意地の一発!
5つ負けたら6つ勝てばいい! とポジティブ思考で応援します。
ですが、残りの試合数を考えると、セ・リーグの勝ち越しは相当厳しいことに……
でもでも、まだ勝負が決まったわけではありません。
「それにたとえダメだったとしても、ちこっとざんねんなだけやよ! ごしんぱいはいらないやよ!」
ベイスたんは強がります。
ベイスたんのお願いが叶いますように……
結局、交流戦の最終結果はセが60勝、パが80勝、引き分け4で、セ・リーグの勝ち越し はなりませんでした。セントラル大ちゃんス達成ならず……
「もういちどベイスたんにチャンスをあげテ!」
と家電たちがお願いしますが、やはり神様は
「ルールはルールなのじゃ。ルールを守らぬものは退場しなければならない。それがこの世界の……」
なんと、まじめな話をしている神さまの頭に、そうじきさんが吸い込んであった芝生がこんもりと……!
まんざらでもない神さま。ベイスたんに最後のチャンスを与えることに。
その名も「ミルキーウェイ大ちゃんス」!
6月21日~7月7日までの15試合で、3連勝をするという条件になりました。
そして、達成されなかった場合はベイスたんのおうちについているおほしさまの飾り5つ没収です。
そんな「ミルキーウェイ大ちゃんス」がかかった試合、まずは2連勝です!
もうもう、ひたすら応援するしかありません。
一軍に昇格した筒香選手がいきなりの猛打賞! 山崎憲晴選手のタイムリーヒット、モーガン選手の3ラン、ブランコ選手のHRの一挙6点の猛攻撃でヤクルトさんに勝利! ノリ選手の通算400号のメモリアルアーチ! 須田幸太選手プロ初完投初完封! などいろんな選手の活躍で望みをつなぎます。
しかし、無情にもなかなか2連勝のその先のもう1勝を取ることが難しく……
そして7月5日の巨人戦。
この一戦を勝たない限り、7月7日までの3連勝は不可能に。
でも……結果は12-7で巨人さんの勝利。
「ミルキーウェイ大ちゃんス」は残念ながら達成することができませんでした。
ベイスたんがパパとママに逢うことは叶いませんでした。
「ごしんぱいはいらないやよ!ベイスたん、ぱぱと、ままの、おかおが、ちこっと、みた かっただけやよ!ちっとも、さみしくなんか、ないやよ!」
テレビさんと冷ぞうこさんに心配をかけまいと強がっているのか、ベイスたんは東京ドームの屋根の上でぴょんぴょん飛び跳ねます。
そこに、流れ星が……!
テレビさんが、ベイスたんに「おいのりをしよう!」と言います。
流れ星が消えないうちに願い事をすると叶うという言い伝えです。
「『ママやパパに逢えますように』っテ、おねがいしテ! きえちゃう前に、いそいデ!」
こうして「ミルキーウェイ大ちゃんス」は終わってしまいました。
でも「あした、ベイスターズがかちますように。」
その、ベイスたんの願いは叶えられます。
翌日の、東京ドームでの巨人戦2戦目、ついについにベイスターズは勝利します!
これでベイスターズ、東京ドームでの連敗は12でストップ。
特別な一勝です!
パパとママには逢えなかった。
でも、流れるお星さまは、ベイスたんのお願いを聞いてくれました。
嘘のような本当のお話です。