2021年度も、6月27日(日)の新潟『デンカビッグスワンスタジアム』を皮切りに全国15か所の会場で開催されることが、4月13日の記者会見で発表された。このコロナ禍で実施する意味、イベントの意義をJFA会長の田嶋幸三はこう語った。

「JFAは、株式会社ユニクロの特別協賛の下、2003年から『JFAユニクロサッカーキッズ』を行ってきました。コロナ禍で窮屈さを感じている子どもたちに、緑のグラウンドで思う存分身体を動かし、スポーツの楽しさや喜びを味わってほしいと思います」

 このJFAとユニクロが共同開催するスポーツを通じた社会貢献イベントは、19年目を迎えた。

 ここ数年、サステナブル=Sustainable(持続可能な)という言葉が叫ばれるようになり、各企業がCSRを掲げて「社会的責任をどう果たすか」に向き合うようになった。しかし、コロナ禍が企業の業績に与える影響は大きく、多くの企業がCSRの一環として取り組むスポーツ関連の協賛に二の足を踏むようになっている。例えば、4月に入って「2020年度のJクラブの営業収益が落ちた」ニュースが散見されるのはさまざまなスポンサーが撤退していることが実際に起こっているからだ。

 このような社会情勢のなか、ユニクロはサッカー界のグラスルーツを支えるイベント協賛の『継続』を選んだ。

 もちろん新型コロナウイルスが今後どのように変異し、再び社会を飲み込んでいくかはわからない。しかし、ユニクロはJFAと手を取り合ってスポーツが持つチカラを信じ、15か所の広々とした会場で子どもたちが元気いっぱいにボールを追いかけ、スポーツにふれあう環境を創出することを止めなかった。

「JFAユニクロサッカーキッズキャプテン」に就任した内田篤人

 今回、このイベントのアンバサダーのような役割として、「JFAユニクロサッカーキッズキャプテン」に就任した内田篤人は記者会見でこう挨拶した。

「僕自身、小学1年生からサッカーを始めました。サッカーのすばらしさはもちろん、体を動かすことの大切さを感じています。プロになり、そこで活躍できたのもサッカー界、スポーツ界を支えて下さった方がいて、いろいろな経験をすることができました。今度は次の世代に引き継ぐことが使命だと思っています。子どもたちにサッカーを通じて、スポーツやユニクロの良さを伝えていきたいです」

 彼の言葉の中にも『引き継ぐ』とあるように、あらゆる意味で『つながり』を持ち続ける場所を作っていくことが今の時代に求められていることであり、未来に通じていくのではないだろうか。

サステナブルなイベントを目指す

 代表取締役会長兼社長の柳井正は、『JFAユニクロサッカーキッズ』の開催にあたって次のようにコメントしている。

「長年、ユニクロが協賛を続けてきたこの事業を通じて、内田さんとともに地域コミュニティとのつながりをより一層深め、多くの子どもたちがスポーツを楽しめる場を提供してまいります。ユニクロは引き続き、日本サッカー協会と一緒に豊かなスポーツ文化を創造し、未来を担う子どもたちの夢を応援していまいります」

 地域コミュニティの振興、青少年健全育成、これらも大切な要素であるが、それだけではない。

 このイベントは「6歳以下の子どもたちがミニサッカーに興じ、スポーツの楽しさに触れる」場だが、それだけではない。ユニクロはスポーツを通じたさらなる社会貢献を目指し、会社全体で取り組むサステナブルな活動を「JFAユニクロサッカーキッズ」でも取り込んでいる。

 例えば全社で取り組む服のリユース活動の一環で、それぞれの会場では参加者から不要になった服を回収し、難民など服を必要としている人々に届ける衣料支援活動を行っている。

 さらに昨年から、参加者にユニフォームとしてプレゼントしているオリジナルの「ドライEX Tシャツ」は、ペットボトルを再利用した素材を使用して生産している。ユニクロは地球資源を大切にし、環境負担をなるべく減らす取り組みをこのイベントで実践しているのである。

 まさに自社商品を子どもたちに身につけてもらうことで、見守るお母さんお父さん、おばあちゃんおじいちゃんと3世代に渡ってSDGs=Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)に対する意識を自然に広げている。ここに、ユニクロの『LifeWear』精神が見え隠れする。

 コロナ禍による懸念はあるものの、サッカー界だけでなく、最近はお茶の間にも認知されつつある内田篤人のキャプテン就任は、『JFAユニクロサッカーキッズ』の可能性をより大きくし、サステナブルな社会を実現していく一つの足掛かりになるだろう。

 また、ユニクロのスポーツを通じた社会貢献活動は国内に止まらない。

 2019年1月、2022年末までのスウェーデンオリンピック委員会(以下、SOC)とのパートナーシップ契約を発表した。その内容は、同国オリンピック・パラリンピックチームのメインパートナー兼、選手のウエアを提供するオフィシャル・クロージング・パートナー契約の締結である。

 CEOのピーター・レイネボは「パートナーを新たに選出するにあたり、クオリティ、イノベーション、そしてサステナビリティ(持続可能性)という3つの要素を最も重視しました。そして、これらすべてに合致したのがユニクロでした」と述べた。

 SOCはユニクロが掲げる『LifeWear』のコンセプトに共感し、この哲学そのものが『イノベーション』であり、『サステナブル=Sustainable(持続可能な)』だと評価した。スウェーデンには自然を大切にし、互いに助け合うという考えが根づいており、例えば『ドライEX』のスポーツウエアに象徴されるようにLifeWear精神との相性の高さがうかがえる。

 そして、2020年10月、『DREAM PROJECT by UNIQLO(ユニクロ ドリームプロジェクト)』を立ち上げた。

2020年10月、『DREAM PROJECT by UNIQLO(ユニクロ ドリームプロジェクト)』が立ち上がった【写真:ユニクロ提供】

 これはユニクロがスウェーデンオリンピック委員会・パラリンピック委員会と共同で実施するスポーツプロジェクト。スウェーデンの若者や子どもたちに遊びの場を提供し、トップアスリートとの交流を通じて好きなスポーツを知り、アクティブで健康な過ごし方を学び、体験することを応援する活動である。屋外会場に、テニスやサッカーの他、バスケットボールやスケートボードのためのコートが設置され、子供たちがアスリートと一緒に各コートを回り、スポーツを通じて交流した。

 根幹を成す思いは『JFAユニクロサッカーキッズ』と同じだ。

 ユニクロには、JFAと行うこのプロジェクト活動の中で蓄積してきたノウハウがある。スポーツの数ではオリンピック・パラリンピックのほうが豊富にあり、さまざまな企画と可能性が考えられる。スポーツによる健全な人間育成という考えは、世界共通言語だ。

 スポーツを通じて人を育み、その過程に寄与していく『DREAM PROJECT』は、まさにユニクロのLifeWear精神のままである。

 この執筆にあたり、ユニクロの担当者に話を聞き、その中で印象に残った言葉がある。

「社会に必要とされる企業になりたい」

 スポーツを通じた社会貢献活動というと「未来ある子どもにスポーツを楽しむ場所を作った」「トップアスリートと触れ合うことで子どもに夢を持ってもらいたい」など言い古されたコメントが並ぶことが多い。ただ、その根幹にあるのは『社会とのつながり』であり、そこを深く追求しているから国境を越え、スポーツを通じた世界共通言語を操って社会の可能性を広げていけるのだ。

 コロナ禍の影響で『DREAM PROJECT by UNIQLO』の開催は1回にとどまるが、スウェーデンでも子どもたちが外に出てスポーツの喜びを発見し、笑顔で心から楽しんでいる様子がニュースとして配信された。SOCのピーター・レイネボはこう言葉を発した。

「ユニクロとともに開発したスポーツコートは、今後スウェーデン国中をまわり、若者や子どもたちの遊びの場として機能していく重要なツールになることでしょう。どのような状況下においても、スポーツができる環境を作り、アクティブなライフスタイルを応援する活動をともに行っていけることを楽しみにしています」

 スポーツとともに歩むユニクロの『草の根』活動は、国内外を問わず、地域の人々のためにこれからも続いていく。

日本のサステナビリティを担うユニクロが、日本代表ではなくスウェーデン代表をサポートする理由とは!?

株式会社ユニクロ(代表者・柳井正氏)が、2021年開催予定である東京オリンピック・パラリンピックに向けて、スウェーデンのトップアスリート11名(パラトップアスリート3名含む)とレジェンド2名、合計13名で構成される、ユニクロ初のチームブランドアンバサダー「ユニクロ チーム スウェーデン(UNIQLO TEAM SWEDEN)」を結成することを発表した。

victorysportsnews

VictorySportsNews編集部