2019年1月にユニクロはスウェーデンオリンピック・パラリンピックチームのメインパートナー兼オフィシャル・クロージング・パートナーシップを締結した。それ以来、スウェーデンオリンピック・パラリンピック委員会と協働で公式ウエアの開発を進めてきた。

 2020年7月にはその関係性をさらに深め、ユニクロ初のチームブランドアンバサダー「ユニクロ チーム スウェーデン」を結成。それまで個人競技のアスリートとブランドアンバサダー契約を締結したことはあったが、チーム単位でアスリートと契約するのは初めての試みだった。その理由をファーストリテイリング グループ上席執行役員の柳井康治氏は当時、次のように語っていた。

「今回は13人という多い人数の方々と一緒にものづくりをしまして、非常に多様な価値観ですとか、競技も多岐に及んでいるので、それぞれの競技の特性に合わせて求められる機能性ですとか、我々も気づけなかったことを学ばせていただいていることが大きな利点だと思っています。多様な価値観を持たれる方と一緒にやっていくことが、ユニクロがあらゆる人々に対して生活をより豊かに過ごしていただくためのLifeWearという商品を作っていくことに、非常に有益であると確信しています」

 今回のLifeWear開発でユニクロが重視したのは、クオリティ(高品質)、イノベーション(革新性)、サステナビリティ(持続可能性)の三要素。

 クオリティに関しては、選手や委員会メンバーからのフィードバックを元に、ユニクロ有明本部に新設した「服の基礎研究所/ラボ(人口気候室)」で東京の温湿度を再現する気象テストを行い、運動時の発汗場所や量などを検証した上で通気性と透湿性を向上させ、ウエアの完成度を高めた。

 イノベーションに関しては、超・速乾機能「ドライ EX」、縦にも横にも自在に伸縮する「ウルトラストレッチ」、心地よい肌触りと汗を速乾させる機能を併せ持つ「エアリズム」、着るだけで紫外線をカットする「UV カット」など、ユニクロならではの素材と機能を組み合わせることで革新性の高いウエアに仕上げた。

 サステナビリティに関しては、回収したペットボトルをリサイクルした再生ポリエステル素材や、再生可能資源であるバイオマス原料由来のポリエステル繊維素材を一部に使用。また、フッ素を使わない撥水加工剤や素材ロスを最小限にする編み製法を採用するなど、環境に配慮した素材選定・製法を実施した。

 これらの三要素を盛り込んだアスリート仕様のLifeWearを一般向けに発売する「UNIQLO+」の服には、スウェーデン国旗から引用した「+」のモチーフがデザインされている。「+」には「加える」「成長する」「2つのものを足す」などの意味がある。テクノロジーと着やすさに加え、前向きな姿勢もプラスし、このウエアを着たすべての人がアクティブで健康的な生活を過ごしてほしいというメッセージが込められているという。

 ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の柳井正氏は、「スウェーデン代表選手団を服の力でサポートできることを大変うれしく思います。グローバルブランドアンバサダーにウエア提供を行ってきたユニクロの服作りのノウハウに、サステナビリティ先進国であるスウェーデンオリンピック・パラリンピック委員会の知見が加わり、より持続可能で、高品質で、新しいLifeWearコレクションを完成させることができました。ユニクロのウエアを着た選手団が大会で活躍する姿を見るのが今から楽しみです」とコメント。

 スウェーデンオリンピック委員会CEOのピーター・レイネボ氏は、「スウェーデンと東京では気温や湿度などが大きく異なります。東京の高温多湿の気候に慣れていないスウェーデン選手が“東京で最高のパフォーマンスを発揮できるように”と、選手一人ひとりの意見を取り入れて完成しました。パートナーシップ締結以来、ユニクロと共に開発を続けてきた公式ウエアをついにお披露目することができてうれしく思います。機能と快適さを追求したユニクロのLifeWearを着て、東京で、選手たちが最高のパフォーマンスをしてくれると確信しています」とコメントしている。

 新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない中で東京オリンピック・パラリンピックを開催することに対してさまざまな意見があるのは承知している。ただ、出場する選手たちは1年の延期を乗り越えて準備を進めてきたし、ユニクロとスウェーデンオリンピック・パラリンピックチームの取り組みのように今大会に照準を合わせたプロジェクトは日本だけでなく世界中に数多く存在する。どのような形で開催されるかはまだ決まっていないが、選手と関係者の誰もが不利益を被ることのない形で無事に行われる大会になってほしい。

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VictorySportsNews編集部