イベントにはアーティスティックスイミング(AS)日本代表の乾友紀子、アーティスティックススイミング日本代表ソロコーチの井村雅代コーチ、競泳元日本代表の松田丈志氏、水球元日本代表キャプテンの志水祐介氏がゲスト出演。6月18日~7月3日に開催された世界水泳ブダペスト大会のASソロ種目で日本史上初の2冠を達成した乾は「来年の世界水泳では、誰よりも難易度の高い技を成功させたい。東京五輪は無観客で少し寂しいところもあったので、来年は、自国開催で日本の応援してくださっている皆さんの前で泳げるのが楽しみ」と自国開催のビックイベントを心待ちにした。

 大会はマリンメッセ福岡をメイン会場に来年7月14~30日に行われる。競泳、飛込、ハイダイビング、AS、水球、オープンウォータースイミングの全6種別76種目を実施。日本で世界水泳が開催されるのは22年ぶり2回目となる。当初は21年夏に計画されていたが、新型コロナウイルスの影響で東京五輪が1年延期されたことを受け、日程がスライド。22年5月開催の予定だったが「オミクロン株」の感染拡大で再延期された経緯がある。

 通常、世界水泳は2年に1度だが、コロナ禍でイレギュラーとなりFUKUOKAはブダペスト大会から1年後の開催。日本代表はホームの声援を受ける地元開催でブダペストからどれだけメダル数を上積みできるか注目が集まる。

 競泳陣は22年ブダペストで17年ブダペスト大会以来2大会ぶりに金メダルがなかった。メダル総数4(銀2、銅2)は21世紀では01年福岡大会(銅4)、09年ローマ大会(金1、銀2、銅1)、15年カザン大会(金3、銀1)に並ぶ最少タイ。昨夏の東京五輪で女子個人メドレー2冠に輝いた大橋悠依の不振もあり、目標の〝金を含む複数メダル〟を達成できなかった。

 長年日本を引っ張ってきた瀬戸大也が男子200m個人メドレーで銅。本多灯は男子200mバタフライで銅を獲得し、東京五輪銀メダリストの実力を証明した。水沼尚輝は男子100mバタフライで銀を獲得。この種目では五輪、世界選手権を通じて日本人で初めて表彰台に立つ快挙だった。花車優は初代表ながら男子200m平泳ぎで銀を手にした。男子が奮闘した一方で、女子はメダルなし。世代交代が進んでいない印象が強く、ブダペスト大会で代表入りを逃した池江璃花子、15歳の成田実生らがどこまで伸びるかが鍵を握る。

 ASはブダペストで日本史上最多7個のメダルを獲得。ソロ2冠の乾、混合デュエットのフリールーティン(FR)とテクニカルルーティン(TR)で銀を手にした佐藤友花、佐藤陽太郎のきょうだいペアが躍動感あふれる演技を見せた。チームはTRで銀、FRで銅。ウクライナ侵攻により強豪ロシアの選手が大会から除外されたことで順位が押し上げられたことを差し引いても、1年後に期待を抱かせる結果だった。

 飛び込みでは男子高飛び込みで15歳のエース玉井陸斗、女子シンクロ板飛び込みで金戸凜、三上紗也可ペアがともに銀メダル。日本勢のメダルはこれまで01年福岡大会の「銅」二つで、寺内健の3m板飛び込み、宮崎多紀理、大槻枝美ペアのシンクロ高飛び込みを上回る史上最高成績となった。水球男子は17年ブダペスト大会の10位を上回る過去最高の9位。世界との距離を確実に縮めている。

 この日のイベントで松田氏は競泳について「来年は池江璃花子選手も出場されると思いますし、若手だと15 歳の成田実生選手も楽しみ。世代交代という意味でも是非注目してください」と強調。飛び込みについては「いい流れで来ているので、来年さらに良い結果が生まれそう」と期待した。志水祐介氏は「水球は泳ぐ、投げる、ぶつかるが揃ったキングオブスポーツと呼ばれる競技。初めて観る人でも楽しめるような、わかりやすくて激しい展開が魅力です。今の日本代表にはイケメン選手も多く、そういった視点からも楽しめると思う」と魅力を語った。

 24年パリ五輪に向けた試金石にもなる重要な大会。世界のトップ選手が集うFUKUOKAの祭典は3度目の正直となるカウントダウンに入った。


木本新也