「スポGOMI×UNIQLO」が浅草で開催! プロ車いすテニスプレーヤーの国枝が登場

 2022年7月21日には、通算8回目の「スポGOMI×UNIQLO」がユニクロ浅草店で開催され、プロ車いすテニスプレーヤーで、ユニクログローバルブランドアンバサダーでもある国枝慎吾がゲストとして参加し、イベントの盛り上げに一役買った。

 「スポGOMI×UNIQLO」は、子供から大人まで誰でも参加できるイベントで、身近な街や地域に捨てられているごみを意識すると共に、ごみ拾いをスポーツ感覚で楽しみながら環境問題も学べることをコンセプトにしている。

 競技では、支給されるトングを使用し、指定エリアで制限時間内に、街のごみを分別区分しながら拾ってそれぞれのごみ袋に集め、ごみの量と種類でポイントを競っていく。競技ルールは、燃えるごみ100gが10ポイント、燃えないごみ100gが5ポイント、瓶や缶(ドリンク系などすべて)100gが20ポイント、ペットボトル100gが60ポイント、たばこの吸い殻100gが50ポイント。すべて100g以下でもポイントは付く。

 浅草では参加人数75名、31チームで競い合った結果、競技時間約30分で、合計32.06kgのごみが収集された。ちなみに、1位のチームは、5.4kgのごみを集めた。

 たばこの吸い殻をたくさん拾い集めたという国枝は、「点数を競う、スポーツとして楽しむということに、ただのごみ拾いじゃなくて、付加価値を付けることによって、みんなで楽しくやれる。僕たちも楽しいし、街もきれいになる。すごく良い効果があるのでは。初めての参加だったんですけど、みんなと一緒に街をきれいにするという、楽しみながらやれるのがすごく良いと思いました。街をきれいにすることで、自分自身も心が洗われる気持ちになりました」。

 海外での転戦が多く、外国のいろいろな町を見てきた国枝は、東京はきれいな街だと感じているが、「それでも、あれだけのごみが落ちていたことにびっくりしました」と意外な驚きと発見もあった。

 2022年に11回の開催が予定されている「スポGOMI×UNIQLO」だが、今後は、8月6日にイオンモール堺鉄砲町店(大阪)、8月13日に紙屋町サンモール店(広島)、8月20日にゆめタウン高松店(香川)、8月27日にキャナルシティ博多店(福岡)で行われる。

 「ごみへの意識や環境への意識が上げられると思うので、積極的にこれからも参加していきたいと思います」と語る国枝は、海外ツアー転戦の合間やオフシーズン時に、「スポGOMI×UNIQLO」に再び参加する可能性があり、いつかどこかの街で国枝と一緒にごみを拾いながら、このユニークなイベントの中であなたも新しい体験と地域貢献活動ができるかもしれない。

車いすテニス男子初キャリアゴールデンスラマー・国枝が、日本に凱旋!!

 国枝(ITF車いすテニス男子ランキング1位、7月25日付)は、2022年ウィンブルドンの車いすテニス男子シングルスでついに初優勝を成し遂げた。

 ウィンブルドンで、車いすテニスのシングルスが開催されるようになったのは2016年からで、国枝は5回目の出場だったが、38歳でつかみ取った嬉しい初タイトルとなった。

「(初優勝の)余韻は結構今も感じていますね。それだけウィンブルドンにかける思いは強かったですし、僕自身なかなか取れなかったので。(昨年の東京2020)パラリンピックが終わってから、今年はすごく調子の良い中、ウィンブルドンを迎えられたので、取るなら今年しかない、ラストチャンスという思いで戦った。自分自身のメンタルも研ぎ澄まされて、大逆転につながった」

 ウィンブルドン決勝で、国枝は、アルフィー・ヒュウエット(2位、イギリス)のサービングフォアザマッチを第2セットで1回、ファイナルセットで3回、合計4回切り抜け、最後はファイナルセット6-6から10ポイントマッチタイブレークを制し、4-6、7-5、7-6(10-5)、3時間20分におよんだ激闘を制したのだった。

 ダブルスも優勝して、ウィンブルドンで単複2冠となった国枝。これでグランドスラムでは、シングルスで28タイトル、ダブルスで22タイトル、合計50タイトルとなり、自身の最多タイトル数の記録をさらに伸ばした。

 東京2020パラリンピックで金メダルを獲得した後、モチベーションが上がらないことを口にしながら2022年シーズンに入っていたが、今季ここまで振り返ればグランドスラム3連勝。不思議にさえ思えてくる国枝の底力に改めて感服させられる。

「(東京2020)パラリンピックが終わってから、僕自身も燃え尽き症候群みたいなものを体感して、(今年の)全豪オープンの決勝の日まで、いつやめようかなと毎日考えるような日々だったんですけど、全豪で今までのキャリアでベストなプレーができて、それからやるべきことがまた見つかったというか、自分自身のパフォーマンスをどれだけ上げられるかというところに集中できるようになった。それが、今回のウィンブルドンでの優勝につながっていると思いますし、自分自身をよりモチベートして戦えている要因につながっている。ウィンブルドンを取って、また燃え尽きるところがあるかもしれないですけど、それでもやることは変わらないのかなというふうに感じています」

 そして、車いすテニス男子シングルスでは、国枝が、テニス4大メジャー大会であるグランドスラムを全制覇するキャリアグランドスラムを達成した初めての選手となった。

 さらに、国枝は、パラリンピックの男子シングルスで3個の金メダルを獲得しており、キャリアゴールデンスラム達成ともなった。

 パラリンピックゴールドメダリスト、キャリアゴールデンスラマーなど、国枝を称える表現がいくつかあるが、どれで呼ばれたいかと尋ねると、「それはお任せします」と満面の笑顔が国枝からはじけた。自分自身で成し遂げた偉大な記録には満足している。

「やっぱり気持ちがいいですね。すべてコンプリートできたということは。残された1つというのは、少し気持ち悪い気がしていたので、それが今達成できて、ホッとしていますし、達成感がすごく強いですね」

 9月上旬には、今季最後のグランドスラムであるUSオープンが控えており、国枝はディフェンディングチャンピオンとして臨む。2022年シーズンでの年間グランドスラム達成もかかっている。

 さらに10月上旬には、楽天ジャパンオープンの車いすテニス部門にも出場予定で、久しぶりに日本のテニスファンは、国枝のスーパープレーを目にすることができそうだ。東京・有明で国枝が、観客の前でプレーを披露するのは2019年大会以来となるので、「日本の皆さんの前でプレーできるというのは楽しみ」と心待ちにしている。

 現在もなおショットのクオリティや精度を上げることを心がけているという国枝は、まるで車いすテニスの求道者だ。その求める道の終着駅がどんなところなのか、おそらく国枝自身にもまだわからないのだろう。ただ今われわれが言えるのは、コロナ禍にも負けず、究極の車いすテニスプレーヤー・国枝慎吾が、力強く戦い続けている姿を目撃できていることはとても幸せ、ということだ。


神仁司

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンマーケティングジャパン)勤務の後、テニス専門誌の記者を経てフリーランスに。テニスの4大メジャーであるグランドスラムをはじめ数々のテニス国際大会を取材している。錦織圭やクルム伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材も行っている。国際テニスの殿堂の審査員でもある。著書に、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」がある。ITWA国際テニスライター協会のメンバー 。