大谷が、またもビッグなサプライズプレゼントを子供たちに贈った。ECCとの共同プロジェクト「SHOW YOUR DREAMS 2024」として、日本の小学4年生から高校3年生までの100人を8月の米国留学に招待すると発表。ECCの花房社長は3月4日に出演したMBSラジオ「こんちわコンちゃんお昼ですょ!」で「大谷さんが全部支払われる」と大谷自身が費用の多くを負担することを明かし、翌日のサンケイスポーツ(東京版)も1面で報じるなど、そのニュースはスポーツ界を超えて大きな話題となった。

 プロジェクトの始まりは、大谷側からの連絡だったという。花房社長が「最初は信じられなかった」と振り返る突然の打診で、それは大谷がECCの掲げる「さまざまな学びを通じて世界に向けて発信できる人を育てる」との思いに共感したことがきっかけとなったようだ。

 ブランドアンバサダー契約締結が発表されたのは2月1日。その4日前、1月27日には昨季のア・リーグ最優秀選手賞(MVP)受賞を受けて招待された全米野球記者協会(BBWAA)ニューヨーク支部主催の晩餐会に登場し、約2分間の見事な英語によるスピーチも披露しており、ちょうど「大谷の英語」が注目を集めたタイミングでもあった。

 To the country of Japan, your endless passionate support you gave me everyday to help drive me to play the game the way I do.
(日本の皆さん。日々、送ってくれる情熱的な声援が、自分らしくプレーする原動力になっていました)

 晩餐会では、そんな一節を入れて日本選手初の本塁打王(44本塁打)にも輝いた昨季までの活躍を振り返り、日本のファンに感謝した大谷。ECCとの契約に際しては「日本の皆さんに世界で活躍できるチャンスを。外国語学習を通して貢献していきたい」と意欲を示していたが、晴れ舞台での姿に、海外で成功する上で語学が不可欠なものであることを改めて感じた人も多かったはずだ。

 ECCと大谷の共同プロジェクトのスタートに合わせてオープンした特設ページ(https://www.ecc.co.jp/project_ohtani/)では、大谷とECC・花房社長のスペシャル対談などの動画コンテンツがアップされている。それらを見ると、大谷が教育や英語を学ぶことに大きな意義を感じていることが分かる。

 花房社長との対談で大谷は「一番の壁がやっぱり語学」とし、「年月を重ねれば言わなくても伝わることがあると思いますが、その前の段階で必要なのが語学。よりスムーズに会話からコミュニケーションを取っていくことが大事だと思っています」と、異なる環境に馴染む上で重要なツールとなるのが「語学」だと自らの経験を踏まえて強調。花房社長も「そういった意味でも、今回のプロジェクトを通じて子供たちには少しでも多くの経験を積んでもらい、大谷選手のように世界で活躍できる人材が出て来てくれることを、われわれは強く望んでおります」と呼応する。

 そうした大谷の姿勢は、後輩にも確実に受け継がれている。大谷の出身校、岩手・花巻東高校で史上最多の高校通算140本塁打をマークし注目を集めた佐々木麟太郎内野手は、卒業後の進路として米国の名門、スタンフォード大学への進学を決断。プロ野球やメジャーリーグ、国内での進学というこれまでのルートとは異なる“異例の挑戦”は大きな注目を集めている。

 スタンフォード大学は米西海岸のカリフォルニア州にあり、マサチューセッツ州のハーバード大学とは「東のハーバード、西のスタンフォード」と並び称される名門大学。英国のタイムズ・ハイヤー・エデュケーション2024年版の世界大学ランキングでは、1位の英オックスフォード大に次ぐ2位(東大は29位、京大は55位)につける。

 大谷やブルージェイズで活躍する菊池雄星投手も指導した花巻東高の佐々木洋監督を父に持つ佐々木は「野球選手だけじゃなくて人間としても広い世界で学んでいきたい」と、野球と学問の“二刀流”を掲げる。それも、将来的に先輩たちのように世界レベルでの活躍を期すからこそ。足元をしっかりと見つめ、今の自身に必要な挑戦としてスタンフォード大学への進学を選んだ佐々木。その決断に至る過程で父を通じて大谷からの助言も受けており、教育や語学の重要性を知る先輩の存在も影響を与えたのは間違いない。

 また、大谷は今回、子供たちに味わってもらいたいものの一つとして「成功体験」を挙げる。「僕はリトルリーグで野球をやっていたんですけど、正直あまり強いチームでもなかったですし、全国大会に行けるかどうか分からない、もしかすると行けないんじゃないかな、くらいのレベルだったと思います。その頃に最初に立てた目標が『全国大会に出る』ということで、そこをクリアしたときに『やっていて良かったな』と思いました。日々の練習が一つの成果として出てくれたことで、そういう設定をして、一つ一つクリアしていく楽しさが学べたんじゃないかなと思っています。正直、野球じゃなくてもなんでもいいと思うんですよ。勉強でもいいですし、なんでもいいと思うんですけど、その成功体験っていうのが、僕にとって大きかったなと思います」とECCの動画の中で語っている。

 そうした目標設定の重要性や、それをクリアしていくことの面白さ=「成功体験」を知るきっかけとなり得るのが、今回の米国留学への招待というわけ。「最初からそうじゃない(関係に恵まれているわけではない)子もチャンスを与えられるべきじゃないかなと思うので、(プロジェクトを通じて)そのチャンスが少しでも増えてくれたら嬉しい」と期待を込める。

 円安の関係もあり、渡航先をオーストラリアやニュージーランドにする案もあったが、大谷があくまで米国、そしてドジャースが本拠を置くロサンゼルスにこだわり、そこに招くことを強く希望したという。留学は6泊8日で、往復の航空券、宿泊費、学校の費用が含まれる。ドジャースとスポーツ史上最高の10年総額7億ドル(約1015億円=為替レートは入団合意時)という大型契約を結んだ大谷は、自らの活躍、成功で子供たちに夢を与えるだけでなく、昨年12月から約2万校ある日本国内の全小学校に計約6万個のグラブを寄贈するなど社会貢献活動にも積極的に取り組む。そうした行動もまた、子供たちのみならず、多くの人に夢や希望を与えている。

 3月1日からはテレビCM「未来へ、翔(はばた)け」篇の放送も始まり、その中で大谷は「未来は、言葉で変わる」とのメッセージを伝えている。世界で活躍するグローバルな人材の育成へ、日本のスーパースターは熱い思いを胸に一肌脱ぐ。

■大谷翔平×ECC共同プロジェクト『SHOW YOUR DREAMS 2024』概要
応募期間:2024年3月1日(金)午前4時~4月14日(日)午後11時59分
賞品:米国へのホームステイ留学に100人を招待
応募資格:2024年4月1日現在で9歳(小学4年生)~18歳(高校3年生)
応募方法:特設サイト(https://www.ecc.co.jp/project_ohtani/)内の専用WEBフォームから
応募条件:「未来への夢」をテーマにした英語でのビデオメッセージと「未来への夢」をテーマにした400字の自由作文(日本語)を提出

特設サイト専用フォーム

■株式会社ECC(イーシーシー) 
1962年に大阪市住吉区で塾英語クラブ(現ECC外語学院)として創業。語学スクールの運営、語学研修の提供などさまざまな教育活動を展開する。「高品質の『教育(Education)』実践によって、全ての人々との『意思疎通と相互理解(Communication)』促進を通じて、平和で豊かな『社会共同体(Community)』のために」との思いが社名に込められている。本社は大阪市北区。


VictorySportsNews編集部