文=渡辺敏史
1位は2年連続でクリスティアーノ・ロナウド
スポーツ専門局ESPNは5月30日、世界のスポーツ選手の有名度ランキング「ワールド・フェイム100」を発表した。これは選手の世界的人気を順位付けしたもので、広告出演などによる宣伝収入と、フェイスブック、ツイッター、インスタグラムという3つソーシャルメディア大手のフォロワー数をそれぞれ指標化し、算定したものである。
Check out ESPN's 2017 ranking of the top 100 most famous athletes on the planet
Who are the world's most famous athletes? Using a formula that combines endorsements with social media following and Google search popularity, we've created the ESPN World Fame 100 rankings.
その第1位は、2年連続でサッカー選手のクリスティアーノ・ロナウドとなった。ロナウドはレアル・マドリーをチャンピオンズリーグのみならず、FIFAクラブワールドカップでも優勝に導き、自身4度目のバロンドールを受賞した。3200万ドルの宣伝収入があったばかりでなく、フェイスブックでは実に1億1810万人が、インスタグラムで9300万人、ツイッターも5040万人がフォローしている。32歳となった現在も、世界中から注目を集める存在であり続けていることを証明したといえよう。
続く2位は米プロバスケットボールNBAのレブロン・ジェームズ。ジェームズは昨年、クリーブランド・キャバリアーズで自身3度目の優勝を手にしている。その栄冠とスター性もあって5500万ドルの宣伝収入を得たということだ。ソーシャルメディアのフォロワーも3つすべてで2000万人以上を記録している。
3位はやはりサッカーのスーパースター、リオネル・メッシだった。メッシの場合ツイッターのアカウントを持っていないものの、フェイスブックで8660万人、インスタグラムで6510万人とやはり飛び抜けた人気を示している。
一方、4位ながら今回宣伝収入が最も多かったのはテニスのロジャー・フェデラーで6000万ドルを得たということである。フェイスブックのフォロワーが1420万人、インスタグラムは280万人と他のトップ選手ほどではないものの非常に高い価値をスポーツ市場から認められていることがわかる。
このトップ4で興味深いのは6月7日に経済誌フォーブスが発表した昨年の高収入ランキングのトップ4とまったく同じだという点だ。やはり世界トップクラスとなると人気と収入のどちらも高くなるようである。
野球界からのランキング入りはゼロ
©Getty Images ただ人気と競技からの収入にギャップを感じる選手もいた。陸上短距離のウサイン・ボルトはESPNの人気ランキングで7位に入っている。フェイスブックの1900万人、インスタグラムの640万人というフォロワー数、宣伝収入が3000万ドルというのは納得の数字だろう。ただ競技での賞金、年俸となると220万ドルに留まっている。この点は、プロスポーツとしての陸上競技の“弱さ”と言えるかもしれない。
さらにある意味驚きなのが、有名度ランキングの10位にゴルフのタイガー・ウッズが入っている点だ。ウッズは昨年大会賞金による収入が10万7000ドルしかなかったが、宣伝収入が4500万ドルもあったのである。また本格復帰に向けてファンの関心が高かったこともあってフェイスブックで290万人、ツイッターで620万人もフォロワーがいたことも上位につながったようだ。ただウッズは今年5月に飲酒もしくは薬物の影響下で車を運転した容疑で逮捕される事件を起こしており、今年のランキングに関してはその影響が出ることは避けられそうにない。
日本人で唯一ランクインしたのはテニスの錦織圭で20位。ATP世界ランキング1位のアンディ・マレーが32位で、マレーよりも錦織の方が上なのだ。錦織はグランドスラムを制したことがないものの、日本はもちろんアジアで人気が高く、宣伝収入が3000万ドルあったことが高い評価につながっている。
一方、今回の有名度ランキングを競技別で見ると世界でのスポーツ事情が見えてくる。最もランクインした選手が多かったのはやはりサッカーで38人を占めた。2番目に多かったのはNBAの13人。NBAは北米のプロリーグだが、最高のリーグとして世界的に注目を集めていることがわかる。
対して意外にも野球選手はメジャーリーガーを含め1人もランクインしていない。日本やアメリカでは認知度が低いクリケットの選手が4人入っているのにだ。常々野球の人気には地域的な偏りが大きいと指摘されてきたが、そのことが裏付けられた形である。こうした課題も見えてくるのが今回のランキングなのだ。