文=中西美雁

社会人中心に構成されているユニバ男子代表

©中西美雁

8月19日から、台湾の首都台北市で、第29回ユニバーシアード競技大会が開催されている。バレーボール日本男子チームは、予選ラウンドを3勝1敗で終え、グループAトップで決勝トーナメントに駒を進めることとなった。グループAはブラジル、フランス、アメリカ、開催国台湾という死のグループ。日本は初戦アメリカ戦を2セットビハインドからフルセットで勝利し、第2戦ブラジル戦はフルで落とした。台湾戦は、満場の観客が台湾チームに大声援を送る中で3-1。フランス戦も3-1と勝負強さを見せた。

ユニバーシアードとは、「大学生のためのオリンピック」とも呼ばれ、出場できるのは、大会が開催される年の1月1日現在で17歳以上28歳未満の選手であり、なおかつ大学または大学院に在学中、もしくは大会の前年に大学または大学院を卒業した人となっている。バレーボールは今夏、U-19、U-23でも大会が行われ、シニア全日本代表も合宿を行っている。そのため、出場する権利のある「NEXT4」の石川祐希や高橋健太郎らは出場せず、ユニバーシアードは社会人中心の構成となった。それでも、シニア全日本代表にも選抜されている久原翼、高野直哉もおり、監督の松井泰二氏が言うように「2020(東京五輪)につながるメンバー」でもあるだろう。男子バレーは2年前の「NEXT4」ブームで人気が再燃したが、ユニバーシアードメンバーは、ちょうどこのNEXT4世代のど真ん中でもある。彼らに匹敵するような、実力と人気のポテンシャルがある選手はいるのだろうか。

このチームは、サーブレシーブをするサイドアタッカーが、主力3人(高野、久原、藤中謙也)とも守備型という少々特殊な布陣となっている。これは前述の通り各カテゴリーでの大会や合宿で選手がバラけた結果でもあるが、松井監督は「日本の良さである拾ってつなぐバレーをする上で、良いメンバーだと思っています」とのこと。

そのことについて久原に聞いてみると、「確かに守備型が3人もって珍しいですよね。でも、その分、誰が出ても同じバレーができるのは強みだと思います。拾い負けないですし」とポジティブに捉えていた。3人の中では比較的打数の多い藤中は「守備型とか特に意識してないです。アタッカーですから、トスが上がってきたら打つだけですね」。

久原と高野は、9月に日本で開催されるグランドチャンピオンズカップの登録メンバーでもある。5月のシニア全日本代表始動会見で、「アンダーカテゴリで活躍して、シニアでも使ってもらえるようにアピールしたい」と語っていた久原にそのあたりのことを聞いた。すると「正直、今大会の自分のプレーではまだまだだと思います。もっとすべての点で成長していかねば。大会中にもどんどん成長したい」と口にした。藤中も春にインタビューしたときに同じことを言っていた。アンダーカテゴリの選手は、少しでも実戦で活躍してシニアへのアピールにしたいと考えているのだ。

シニア全日本代表では、長年守備型レフトのリリーフを米山裕太が務めてきた。しかし、世界選手権アジア予選のオーストラリア戦ではそのリリーフがうまくいかず、アジア選手権では出場機会を大幅に減らした。現在シニアではポスト・米山の守備型レフトを探っているところだと言えよう。

シニア代表でも期待を集める今村貴彦

©中西美雁

もう一人、今大会で注目すべき選手がいる。オポジット(サーブレシーブをしない攻撃専門のポジション)の今村貴彦だ。オポジットは、シニア全日本代表が抱える一番の問題でもある。アジア選手権優勝直後に中垣内祐一監督に課題を聞いたとき、真っ先に挙げたのが、このオポジット問題であった。今年度当初は、バルセロナ五輪代表の大竹秀之氏の子息、壱青が東京五輪を見据えた次世代のオポジットとして期待されていた。背番号も、清水邦広がつけていた1番。しかし、競り合いや、セットポイント、マッチポイントでのミス・被ブロック率が高いというウィークポイントが判明した。世界選手権アジア予選では、大学時代オポジットで、社会人になってからはミドルブロッカーの出耒田敬を急遽コンバート。現状ではこの二人がシニアのオポジットということになる。

今村も世界選手権アジア予選の直前合宿に練習生として呼ばれた。「合宿に呼んでいただいて、自分が目指すべき場所がここだとわかりました。このユニバーシアード大会で、もっともっと活躍して、シニアにアピールしたい。自分にとってこの大会は非常に大きな存在です。シニアだけでなく、海外へのアピールにもしたい」と意気込みを語ってくれた。

ちなみに台湾戦のあと、日本の記者が珍しかったのか、地元メディアから逆取材を受けてしまったのだが、日本チームのこの試合でのベストプレーヤーとその理由をなんとか答えたあと、突然、台湾の女性記者は目を輝かせてこう主張した。

「I think…No.2 is very good looking guy!(2番の選手はとてもかっこいいと思います!)」

盛大にズッコケそうになったが、今村はワールドワイドに通用するイケメンでもあるということだ。もっともプレーがイケメンでなければ、NEXT4のその次にはなれるべくもないのだけれど。

日本は27日にB組2位のポルトガルと準々決勝を戦う。NEXT4の一人、柳田将洋を擁した2015年の前回大会は6位だった日本。今回はメダルをつかむことができるだろうか。

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中西美雁

著者プロフィール 中西美雁

名古屋大学大学院法学研究科修了後、フリーの編集ライターに。1997年よりバレーボールの取材活動を開始し、専門誌やスポーツ誌に寄稿。現在はスポルティーバ、バレーボールマガジンなどで執筆活動を行っている。著書『眠らずに走れ 52人の名選手・名監督のバレーボール・ストーリーズ』