3年目を迎えたパナソニックスタジアム吹田

パナソニックスタジアム吹田で開催されるガンバ大阪のホームゲームが、大きく変わろうとしている。

スタジアム外に選手の顔写真入りペナントがはためき、飲食店がズラリと並ぶ“美味G横丁”があったことでお祭り感のあった万博記念競技場時代と比べ、場外には飲食エリアがなくワクワク感に欠けるところがあった新スタジアム1年目。2年目は様々なキッチンカーが登場し、万博記念競技場でお馴染みだった“GAMBAR”も復活するなど、サッカー以外の部分の楽しみを少しずつ増やしてきた。そして迎えた3年目の今年。新たな試みとして初開催されているのが、ガンバの夏祭り『ガンバサマーフェスティバル』(#Gサマ)だ。

7月22日(日)清水エスパルス戦、7月28日(土)鹿島アントラーズ戦、8月10日(金)FC東京戦、8月15日(水)北海道コンサドーレ札幌戦、9月上旬の川崎フロンターレ戦のホームゲーム5試合を『ガンバサマーフェスティバル』と銘打ち、各試合、それぞれのテーマのもと趣向を凝らしたイベントを場外スペースで実施。例えば、鹿島戦では『ビール!マグロ!餃子!オヤジ祭り!』として生キハダマグロの解体ショーなどが行われ、FC東京戦の『夏や!祭りや!サッカーや!ガンバの夏祭り!』ではお化け屋敷が登場。残りの2試合についても、『パナスタに雪が降る!?北海道を食い尽くせ!夏の雪祭り』『サマフェス最終戦は泡まみれ!カンパイ泡祭り!』として、様々なイベントが行われる。

ここにしかないものを追求した『#Gサマ』

“#Gサマ”の皮切りとなった清水戦では、『家族で楽しめ!縁日だ!キッズ夏祭り!』と題し、輪投げや射的、あひるすくい、ヨーヨー釣りが楽しめる縁日や学研とコラボしてのロボット体験&ロボット工作などを実施。夏休み最初の日曜日ということもあってか、当日は家族連れが多く、縁日ブースには参加券を買い求める人の列ができるほど。多くの子供たちが楽しそうに遊んだ縁日の参加券は合計340枚を売り上げ、予想外の盛り上がりに予定時間よりも早く終了するほど大盛況だった。

「縁日参加券は1セット(3枚綴り)500円と有料だったのでどうかなと思っていたのですが、こんなに早くなくなるとは思っていませんでした」と話してくれたのは、今回の#Gサマの責任者である営業部事業企画課 課長の竹井 学氏だ。「今日は場外のお客さんを見ていても子供連れの家族が多いなと思って。子供が行きたいと言ってくれたのか、親が楽しいイベントがありそうだから行ってみようかって誘ってくれたのかは分かりませんが、我々の狙った光景になっていて非常に嬉しいなと思います」と、顔をほころばせた。

そもそもこの“Gサマ”を企画した狙いは何だったのか。
「たくさんのお客さんに来てもらうとしたら、どういう人が来てくれるのかなってクラブの中で考えた時に、ワールドカップっていう4年に1度の大きなイベントがあるので、そこでサッカーに関心をもってくれる人が増えるだろうと。ワールドカップを通じて“サッカーって面白いな”、“1回は生で見てみたいな”って思っている、いわゆるライト層にたくさん来て頂きたいと思いました。家族や友人、知人、恋人同士とかみんなで誘い合って、スタジアムに行ってみようってなるためには、サッカー以外の要素、色んな企画やイベントも必要だと考えて、試合ごとにテーマを決めて、5試合ですけどやることにしました。その企画もできるだけ他のスタジアムでやっていないもの、ここにしかないもの、もしくはガンバらしいものとか、人を誘ってきてもらうのに話題になるものを――というのがあって。ライト層といっても、本当にスタジアムに来たことのない人同士が来ることはあまりないと思うんですよね。1人で行くのが嫌やから誰かを誘って行こうっていうのがあると思うので、誘うきっかけになるフレーズが必要だと思い、珍しさと分かりやすさを考えながら企画していました」(竹井氏)

こうして誕生した“#Gサマ”。ワールドカップの開催というタイミングのほかに、もう1つ。スタジアム運営に慣れてきたのも大きいという。

「万博記念競技場からパナソニックスタジアム吹田に移ってきて3年目ですが、1年目はやっぱり試合運営だけで精一杯でした。場外の使えるエリアや出来ることも限られていましたし。それが1年経ってある程度慣れ、2年目は場外のイベントに使えるスペースも広がった。その中で色々なことをやりたかったのですが、企画する準備期間が足りなかったんです。それで、パナスタでの運営体制も慣れてきた今年は、去年の反省をもとに、シーズン前から#Gサマの準備をしてきました」

クラブ全員で取り組む魅力的なスタジアム作り

(C)金子裕希

そうして迎えた最初の“#Gサマ”。縁日ではアトラクションの人気に差があり、景品が途中でなくなる予想外の出来事もあったが、何事も経験。万博記念競技場時代もサッカー以外の楽しみを作るべく、2008年に4店舗から“美味G横丁”をスタートさせ、万博最終年の2015年には約20店舗が軒を連ねる名物フードコートにまで成長させた。それだけに今回のことを生かし、来年以降のイベントをより魅力的なものにしていくだろう。加えて、今回の“#Gサマ”には、試合運営、ファンクラブ、グッズ、チケット、管理部といった様々な部署のスタッフが参加。このことも、クラブに変化をもたらしていくきっかけになりそうだ。

「お客さんに来てもらう、ファンを作るというのはどこか1つのセクションでやるものではなく、全部の部署が関わることでしょう、ということで、全部署1人ずつが関わってやっています。総務、経理だから、強化だから知らない、じゃなくて、みんながファン作り、ホームゲームに来てもらった方に楽しんでもらうことを考えないといけないし、関わらないといけない。狙いとしては、この経験を通してスタッフみんながお客さんのほうに目を向けられるようになったらええなっていう風には思っています」

より楽しいスタジアム作りに向けて、新たなスタートを切ったガンバ。ただ、その一方で、チームの成績は低迷。前半戦を終えてもJ1残留争いから抜け出せずにいる。そのため、イベントをするなら補強を――という声もファン・サポーターから上がっているという。

「サッカーの世界で勝負をしている以上、勝てていないので、そういう意見は甘んじて受けないといけません。でも、ここに来てもらうまで、試合が始まる前まで、ワクワクして楽しい時間を過ごしてもらうことも大事だと思っています。サッカーの部分はサッカーの部分で改善しながら、楽しんでもらえる空間作りというのはきちんとやっていかないといけない。僕たちは、『負けたけど、楽しかった』っていうのを望んでいるわけではなく、できれば、勝っても負けても楽しかった、また次の試合を見に行こうね、という風に試合の結果に左右されないイベントや企画をやっていきたい。地域のシンボルとしてのパナスタが、楽しい時間を過ごせる幸せな場所っていう風になっていけたらいいなと思っています。その中心はもちろんサッカーなんですけど、そこに色々なイベントを加えて、『パナスタに行ったらいつも楽しい!』ということを広めることで、スタジアムを満員にしたい。それは常に思っていますし、そこが目標ですね」

満員になることがチームに良い影響を及ぼすということは、チケットが完売した4月のセレッソ大阪との“大阪ダービー”でも証明済み。「サポーターがめっちゃ良い雰囲気を作ってくれたし、あの歓声の中で自然とやらなあかんという気持ちが出ていた」(倉田 秋)と言っていたように、公式戦2連敗、リーグ最下位という悪い状況で迎えた今年のダービーでは、3位だったC大阪から1点を守り切り、1-0で勝利している。

「人が活気を生むっていうのはあると思います。撃ち合いの面白いゲームをやっても入場者数が1万人くらいだと、楽しかったけど盛り上がりに欠ける部分がありますよね。ダービーみたいに最初から満員だと、始まる前の高揚感もすごいじゃないですか。スタンドが満員になっているだけでテンションが上がるみたいな。それは人がスタンドを埋めないと、もっといえば人の力でしか作れないものなので。そういう意味では単にイベントをやって、集客するということじゃなくて、本当にガンバの応援を楽しみにしてくれるファンを増やしていくことが大事だと思っています。そこは地道な活動にはなりますけど、続けてやっていきたいですね」

イベントを通じて目指す、笑顔と感動に溢れた満員のスタジアムへ――クラブの新しい挑戦は始まったばかりだ。

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