「#いまスポーツにできることリレー」
主なSNSの取り組みの中で、もっとも早かったのが、この企画だろう。家でもできるトレーニング方法や料理などをリレー形式で紹介していくもの。スタートさせたのは、男女のトップアスリート。女子100メートルハードルで日本記録を持つ寺田明日香(パソナグループ)が4月3日に、男子200メートルの飯塚翔太(ミズノ)が4月7日に始めた。
寺田明日香からは土井杏南(JAL)、北口榛花(JAL)、戸邉直人(JAL)、山本凌雅(JAL)、橋岡優輝(日大)らとトップ選手に続いていった。また飯塚翔太から始まった2本目のバトンリレーは、山縣亮太(セイコーホールディングス)、多田修平(住友電工)、白石黄良々(セレスポ)、桐生祥秀(日本生命)、ケンブリッジ飛鳥(ナイキ)、小池祐貴(住友電工)ら男子400メートルリレーのメダリストを中心につながっていった。また次世代を担う若手選手「ダイヤモンドアスリート」も同じような動画を配信している。
「オンライン面談」
前述の企画は主にトラック&フィールドの選手が中心だったが、こちらは長距離選手が動いた企画だ。
青山学院大時代に箱根駅伝で「山の神」として活躍した神野大地(セルソース)が発起人だ。インターハイや全国中学校体育大会に代表されるように多くの学生の大会が中止になったこともあり、最高学年(中学3年、高校3年、大学4年)の学生アスリートを励まそうと、Zoomを利用し、約40分の1対1の面談を行った。
想定より多数の応募もあって、神野は他のランナーに協力を要請。男子マラソンの東京オリンピック代表の服部勇馬(トヨタ自動車)、2時間6分54秒の自己ベストを持つ井上大仁(MHPS)村山謙太(旭化成)、村山紘太(旭化成)、相澤晃(旭化成)、鈴木塁人(SGホールディングス)、岩出玲亜(アンダーアーマー)らトップ選手が賛同した。学生とオンラインで面談し、モチベーション低下や進路の悩みなどの相談に真摯に対応した。神野は「この環境で何をするか・どういう選択をするのか正解はないです。ですが、何もしないことはよくない ! そして今、覚悟、熱意を持ってやれることは将来財産になる、ということは間違いない(正解)と思います」とツイートしている。
「グーグルとの連携」
グーグルのアプリで選手の名前を検索すると、よく調べられている質問について、選手がメッセージ付きの動画で回答している。例えば「ストレス解消のお気に入りの方法は?」「最終的な目標は?」「良い気分になるのはどの曲ですか?」「優れたアスリートに共通するものは何ですか?」「最初にレースウォーキングに惹かれた理由は何ですか?」など。北口榛花、桐生祥秀、また競歩の岡田久美子(ビックカメラ)、丸尾知司(愛知製鋼)らが取り組んでいる。
「オンラインクラブ」
株式会社MINT TOKYOが着手したのは、陸上のトップアスリートによるオンラインクラブ「CORD TRACK AND FIELD CLUB」の設立。中、高校生や指導者に向け、SNSでのトレーニング情報の配信、コーチングサービス、オンライン・オフラインイベントや交流会といった事を行う。
12年ロンドンオリンピックの男子100メートル代表の江里口匡史氏、男子110メートルハードルで17年ロンドン世界陸上代表の増野元太(メイスンワーク)、男子走り幅跳び8メートル06の自己ベストを誇る山川夏輝(東武トップツアーズ)、男子砲丸投げで日本選手権を6度優勝している福岡大の野口安忠コーチらが「先生」になるという。環境面で練習のできない部活動生も、オンラインで、トップ選手からトレーニングの情報を受け取れる。
「95年アスリート動画」
競技の枠を超えて、95年度生まれのアスリート22人が動画を制作した。一文字ずつつないでいき、「わたしたちとともにあかるいみらいにしていこう」とメッセージを発信した。動画は桑田佳祐が歌う「SMILE~晴れ渡る空のように~」の曲に乗せて、約2分間。陸上界からは桐生祥秀、小池祐貴、土井杏南が参加している。
政府は全国で緊急事態宣言を解除したとはいえ、今後も感染予防は欠かせない。第2波が押し寄せる可能性もある。今後もアスリートのSNSなどを利用した取り組みは続きそうだ。