・年内に即ジョインできる方のみ(来年度は別途募集予定)
・何でもやる熱意のある方のみ
・立ち上げに熱意のある方のみ
・自分で稼ぐことのできる方のみ
・経験のある、即戦力の方のみ
・埼玉、さいたまでフルコミットできる方のみ

さらに、金銭的な条件は「年間業務委託」「600万円までの業務委託料」「埼玉県外への業務上の交通費支給」というもの。実はこれ、池田純オーナー兼代表取締役が自ら考えたものだとか。プロ野球・横浜DeNAベイスターズの初代球団社長として、閑古鳥が鳴いていた横浜スタジアムを満員にし、屈指の人気球団へと変革した実績を持つ経営者が、一体何を思い、何を見据えて、このような人材募集を世に出したのか。池田氏本人に、その真意を聞いた。

「急遽2人募集しようということになったんです。以前までは過去の話の延長線上で資金繰りなどに手一杯だったため、とりあえず試合をやることを考えていたのですが、スポンサーがついて話が広がってきたこともあり、冗談抜きで人が足りない状況になっています。チケット、ハーフタイムの演出も考えなきゃいけない。ビールやキッチンカーなど飲食の開発も必要です。やるからには、面白くて、格好いいものをつくりたい。今は主に4人だけで運営しているのですが、“ベイスターズのキュッと小さい形”をやる上で、将来の役員候補になるような、決意のある、面白い世界を一緒に築ける『仲間』を募集しようと今回の発表に至りました」

さいたまブロンコスの経営をみることになって以降、池田氏のもとにはメールやSNSなどで入社希望のメッセージが数えきれないほど届いているという。ただ、池田氏は「『池田さんの下で学びたい』とか『こういう仕事をやりたい』とか、中途半端な人は来ないでほしい」と言い切る。

では、池田氏が今、スポーツビジネスにおいて求める人材とは。まず強調したのは「ベンチャー気質」だ。

「今回のブロンコスはベンチャーの立ち上げみたいなものです。サッカーや野球では現在、そのような世界はありません。ホッケーなどで似た形はあるのですが、やはりマーケットの大きさを考えると、バスケほど将来性、夢のある世界、ベンチャーのような気分が味わえるものってスポーツにはなかなかないんです。ベンチャーというのは、創業者が一部屋で寝泊まりするみたいなところから始まっていくもの。バスケをもっとはばたかせたい、一獲千金を狙いたい。それくらいの気概がなければと思っています」

iPhoneやMacで知られるAppleは スティーブ・ジョブズ氏が実家のガレージで創業したのが始まり。そこから時価総額2兆ドル(約121億円)もの巨大企業に成長を遂げた。最近ではNetflixで配信されている韓国ドラマ「梨泰院クラス」が爆発的な人気を得たように、ベンチャーのサクセスストーリーは人々の心を動かし、多くの人の共感を呼ぶものといえる。「実は、物事というのは立ち上げが一番楽しいんです。ベイスターズもそうでしたが、最初は本当に楽しくて、段々と体裁が整って普通の会社になっていく。そのダイナミズムを味わえる機会って、なかなかない」。そんなベンチャーの世界を、池田氏はバスケという舞台で新たにスタートさせようとしているのだ。

「最近、49人乗りのバスもブロンコスが自由に使えるように、要するに手に入ったんです。私も毎回は行けませんが、入れ替わりで選手たちと次は岡山だ、今度は金沢だと言って全国を回る予定です。楽しくないですか? アリーナが立ち上がったら、アリーナビジネスをやれる可能性もある。派生して女子バスケのチームができれば、それをやらせろと言ってくれてもいい。親会社がないから自由。部下じゃなく、そういうことを一緒に面白がれる仲間が欲しいんです」

そう楽しそうに語る池田氏だが、スポーツに関わる仕事を「ドリームジョブ」と捉える見方にはあくまで否定的だ。

「私が嫌いなのが『ドリームジョブ』という言葉。スポーツに関わることがゴール・・・では、いつまでも日本のスポーツはビジネスとはなり得ない。親会社から役員が送り込まれ、畑違いのところから急遽ふってきた親会社しかみていないおじさまが偉くなっていくような、親会社文化からは抜け出さなくてはなりません」

スポーツに関わることが名誉なのではなく、関わって、どう発展させ、ビジネスとして成功させるかが大事なこと。「スポーツビジネスに必要な人材は、将来の日本社会に必要な人間と言っていいかもしれません。過去の日本企業はマイナスが少ない人が評価されてきましたが、もうそんな世界は終わっています。おんぶに抱っこの人間は要りません。少々のマイナスがあっても、一発ドカンとホームランを打てる人。その方が面白い。『1億円のスポンサーを取ってきたので1000万円ください』くらいのことが言える人にぜひ、来てほしい」。さいたまブロンコスではB2群馬クレインサンダーズの社長を務めた北川裕崇氏が7月1日付でバイスチェアマンに就任した。その北川氏についても「元社長なのに現場の仕事をバンバンやっている。時には、いろいろと驚かせてくれています」と池田氏は説明する。

「打率.330、30本塁打、100打点を期待はしません。打率.250、3本塁打でいい。ただ、その3本は満塁ホームランであってほしい。ピッチャーなら1勝5敗でも、その1試合がノーヒットノーラン。そんな面白い人材を求めています。私のパートナーとして、一緒に遊んでくれる人、時に驚かせてくれる人に応募してほしいと思います。たくさんの面接をしている時間もないので、いわば今回の募集条件は“足切り”と捉えていただければと思います。もちろん都合の良い話であるのは分かっていますが、1人でも来てくれれば、来年のブロンコスは立派に興行ができると思っています」

新型コロナウイルスの影響を受けながらも、次のステップへと進み出そうとしているさいたまブロンコス。B3開幕は来年 1月。今回の人材募集は「WILD POWER」をチームスローガンに掲げる新生クラブ、いやベンチャー企業の決意の表れだ。

B2群馬社長からB3バイスチェアマンに転身した理由 さいたまブロンコス・北川裕崇氏インタビュー

バスケットボール男子Bリーグ3部(B3)・さいたまブロンコスのバイスチェアマンに、B2群馬クレインサンダーズの社長を退任した北川裕崇氏(38)が7月1日付で就任した。群馬の経営再建に尽力した北川氏は、なぜ大企業の傘下に入りB1昇格を狙おうかというB2のクラブを去り、B3のクラブへ“移籍”するのか。横浜DeNAベイスターズ初代球団社長で、さいたまスポーツコミッション会長を務める池田純氏(44)がオーナー兼取締役に就き、新体制をスタートさせたクラブで新たな挑戦に臨む北川氏を直撃し、その思いに迫った。

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【求人情報】B3さいたまブロンコス(営業・運営)

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VictorySportsNews編集部