「六大学野球があるから、今の大学に進学した」新聞部員が語る六大学野球への熱量

―皆さんが新聞部・新聞会に入ったきっかけを教えて下さい。

荒川(明治):私の父はマスコミで働いていまして、プロ野球を担当していた時期があったこともあり、小さい頃からプロ野球を観てきたので、学生の間に一回は野球に携わりたいなと思って入りました。そもそも明大に入ったのも六大学野球きっかけで。大学入試で受かったのが青山学院大学と明治大学で、六大学野球もあるということで明治大学に決めました。

川田(立教):僕は高校の友達から新聞会に入らないかって誘われて、やろうと思いました。高校時代は、立教新座の野球部だったんですけど、そこから大学に上がって野球部に入る同期が結構いたので、そういう人たちを違う形で応援できるかなと思ったのも、入った理由の一つです。

―新聞部・新聞会での活動の中で、やりがいを感じる瞬間を教えて下さい。

相川(慶應):私はざっくりですけど、いい記事を書きたいっていうことです。私にとっていい記事っていうのは、多くの方に読まれたものというよりは、選手やそのご家族の方に喜んでもらえるようなものだと思っています。実際に、ある選手について記事を一年間通して書いていたのですが、その引退試合の会場で、選手のお母さんに「いつもありがとうございます」と涙を流して言ってもらえたのが記憶に残っていて。その時から、いい記事を書きたいと強く思うようになりました

中野(東京):自分は東大に入る前は勉強ばかりしていて。だからこそ、スポーツで活躍されている姿を見ると本当に尊敬しています。その一方で、東大生はTVなどから過度に「勉強」という枠で注目されすぎていると思っていまして。勉強以外の枠で東大生としてテレビに出ている方が少ないと思うので、東大生は勉強だけじゃないというところを発信していけたらなと思っています。

池田(早稲田):早稲田スポーツの野球班は、他のメディア様よりも密度濃く取材をしていると思っておりまして。他のメディア様に話していないことを、早稲田スポーツに話してもらえたり、信頼を得られたなって思えた時にやりがいを感じられます。大阪桐蔭高校出身で、メディアからの注目度も高い中川卓也選手の取材に参加したんですけど、インタビューされることも多い中で、今まで世の中に出ていなかった情報をうちの取材で引き出せた時は嬉しかったですね。

荒川(明治):野球部の四年生の代を私たち新聞部三年生の代が番記者しておりまして。ドラフトを最後まで見届けて、大きく記事に出したいなと思っています。毎年ドラフトで選手が選ばれると特集を出しているんです。特に入江大生投手には個人的に思い入れがありまして。明大スポーツに入るきっかけにもなった父が、学生野球も担当していたことがあって。アンダー18の台湾遠征に帯同していた頃、入江投手の世代だったっていう縁もあり、他の選手以上に思い入れがあります。

(C)早稲田スポーツ

「学生団体である新聞部だからこそ報じられることがある」新聞部の存在価値

―六大学野球のある大学の新聞部・新聞会だからこそ、できることを教えて下さい。

川田(立教):六大学の新聞部で毎回作っている合同誌があって、それを神宮で配るんですけど、それが毎回飛ぶように受け取ってもらえて。お客さんに関心を持ってもらえていることを、直に感じられて嬉しいですね。

相川(慶應):早慶戦特集号を、神宮球場で早慶戦の日に配るんですよね。たくさんのお客さんが見に来ている中で、新聞を売っている時に、自分が早慶戦を盛り上げることに少しでも貢献できているのかなと感じられて。そういった部分は六大学野球のある新聞会ならではなかと思っています。

池田(早稲田):相川さんが仰っていた早慶戦特集号で、去年の秋に田口喜将選手を一面に載せまして。田口選手は、下級生から試合に出でていたようなスター選手ではなくて、地道に代打で出た時に結果を出して、最後の最後にスタメンを取った選手なんですよね。そういう選手は早稲田スポーツだからこそ扱えると思うので、早稲田スポーツの存在価値を出せたかなと思っています。

―世間の皆様に伝えたい六大学野球にしかない魅力を教えて下さい。

加瀬(法政):法政にはアナライザーっていうデータ分析のスペシャリストがいるんですけど、彼らは選手として入ってきたケースが多くて。プレーヤーとして続けることを断念したものの、裏方としてチームに貢献していて。そういった部員全員が自分の役割を果たしている部分は六大学野球ならではだと思います。

相川(慶應):六大学野球には東大がいるっていうことも魅力だと思っていて。色んなレベルや出自の選手が同じレベルで、真剣に戦える場所っていうのは、昇降格がない六大学野球ならではだと思います。あとは六大学野球の中で成長していく過程が見えることも魅力ですね。今年注目の木澤尚文投手(慶應)も初めてリーグ戦で投げた時は、一回も抑えられずに交代してしまって。選手それぞれの成長っていう部分を、観客として感じることができるのも魅力だと思っています。

(C)慶應スポーツ

「発行1日前に自粛で全てがパーに」コロナ禍での苦労

―今年は春大会の延期や、大学のリモート授業など、様々なコロナ禍での苦労があったと思います。

加瀬(法政):取材が対面でできない中で、文面でやりとりすることが多いんですけど、選手の回答から深堀りすることができないのが難しいところですね。選手の皆様に、より深みのある回答をしてもらうために、質問の意図までLINEで送ったりして工夫しています。その結果、一回の質問で十行くらいの文章になってしまうこともありました(笑)。

中野(東京):3月で課外活動が禁止になる直前まで取材はしていたんですけど、今後の野球部がどうなっていくのかが全くわからない状況が辛かったですね。もちろん選手たちが一番辛かったとは思うんですけど、選手たちが春の大会にかけている思いを把握している上だったので、試合ができない状況はもどかしかったですね。新聞部の活動も、最近までほとんどオンラインでやっていて、毎週発行を続けるのが苦労しました。その時期はマイナスな記事ばかりだったので、記事を書いている側としても辛かったですね。

川田(立教):自分も春大会に向けて、インタビュー取材をした直後に課外活動が一切禁止になり、六大学野球も無くなったので、楽しみにしていた野球部全体の活躍が見られなくなったことがショックでしたし、コロナが長引いた時に、どこまで試合ができないかが分からなくて、一年間何も無くなってしまうんじゃないかっていう不安が大きかったですね。

荒川(明治):新入生歓迎号が4月1日に発行予定だったんですけど、あと1日で完成できるっていうところで大学から自粛要請が出てしまって。入江投手の出身校である、作新学院さんにお話を聞かせてもらう企画もあったんですけど、そういうのを全て含めて紙面8面分が全部消えたのは本当に悲しかったですね。

―コロナ禍で、様々活動が制限される中だとは思いますが、秋大会やドラフトも含め、今後の意気込みを教えて下さい。

池田(早稲田):今年の新入生がコロナの影響で入ってくるのが遅れていて、経験を積めていない状況です。彼らが将来、読者の皆さまにしっかりと記事を届けられるような土台づくりをしていきたいなと思っています。あとは、ドラフトが控えていて、早川選手がドラフト一位候補として注目されているので、他のメディア様よりも、関係値があることをいかして、クオリティの高い記事を書けるように頑張っていきたいです。

加瀬(法政):在学生に向けた取り組みをしていきたいのが一つです。もっと彼らに六大学野球に興味を持ってもらえるようなコンテンツを作りたいです。もう一つは、コロナ禍ということもあって、神宮に足を運ぶことを躊躇されている方もいると思います。そういう方々にも、家で臨場感を味わえるようなコンテンツを届けたいと思っています。

中野(東京):やっぱり東大野球部に勝ってもらいたいですし、僕が入学する前のことになりますが、宮台さんの時に起きたブームをもう一度起こしたいですね。メディアとして、東大野球部の熱気をいろんな方たちに伝えていって、再度学内や学外で東大野球部ブームを引き起こす火付け役になれればいいなと思います。

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VictorySportsNews編集部