CLはこれまで各国リーグの上位クラブや、予選を勝ち抜いた計32チームで争われてきた。1次リーグは4チームずつ8組に分かれ、総当たりで6試合を実施。各組2位までが決勝トーナメントに進む形式だった。これが来季からは大きく変わる。

 まず本大会に出場するのは36チームとなる。基本的に各リーグから最大4枠だった出場チームにプラスアルファが生じることに。来季については、リーグごとのUEFA主催大会の2023/24年シーズンの成績が反映され、イタリアとドイツから「5チーム目」の参加が可能となった。セリエAからはインテル・ミラノ、ACミラン、ユベントス、アタランタ(ルール上は欧州リーグ優勝チームとして出場)、そして5位のボローニャまでがチャンピオンズリーグに出る。ブンデスリーガからはレーバークーゼン、シュツットガルト、バイエルン・ミュンヘン、ライプツィヒ、そして5位のドルトムントが欧州最高峰の舞台に立つ。(そのほか、これまで2枠だったリーグに3枠目が与えられるなどして、合計で4枠増えた)。イングランド・プレミアリーグ勢やスペインのラ・リーガのクラブも当然欧州で強さを見せてはいるが、リーグ全体として23/24年はイタリアやドイツのほうがよい成績だったため、新シーズンはこのような割り当てになった。

 そして、もう一つの違いは1次リーグの実施方法である。これまでのように8組に分かれて実施せず、全体で一つのグループという考え方で36チームを順位付けするのである。ただ、文字通りのリーグ戦として全チームと対戦するようなことはしない。そこで登場するのが「スイス方式」と呼ばれるものだ。新方式では、それぞれのチームは参加する全チームの中から抽選で異なる8チームを対戦相手として割り当てられ、その8試合の成績で全体の順位を決める。

 実際の仕組みはこうだ。まず、36チームを四つのシードに分ける。あるチームの対戦相手は、各シードから2チームずつ抽選で選ぶ。具体的なクラブ名を出して例を挙げてみると、トップのシードからマンチェスター・シティー(イングランド)、レアル・マドリード(スペイン)と対戦するチームもあれば、バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)とパリ・サンジェルマン(フランス)と対戦するチームもあるという具合である。最上位シードのチームばかりと8試合をするようなことにはならない。対戦相手のレベルもある程度均等になることが「保証」されている。

 ただ、戦術や相性、その時期のコンディションなどもあることから、この方式が「平等」かといわれると、素直にうなずきづらい面はあるのも事実だろう。「このチームではなく、あのチームと対戦していれば勝てたかも・・・」なんていう負け惜しみも聞こえてきそうだからだ。とはいえ、視点を変えればこれまでの大会の1次リーグの組み合わせも対戦相手が抽選で決まるという「運」の要素が含まれていた。同じ組の中では対戦相手は同じであるから不公平さが付け入る隙はなかったが、ベスト16への勝ち上がりやすさという観点でいえば、別の組に入った方がよかった、なんていうことはあったわけである。

 日本のサッカー界であまりなじみのない「スイス方式」だが、実は大相撲の世界で見られる対戦の決め方でもある。

 まず、大相撲の1場所は15日間で、各力士は15人の対戦相手がいる。幕内には42人の力士がおり、横綱もいれば前頭の下位の力士もいる。1場所で全員とは対戦しない。それでも15日間の成績で最も優れた力士が幕内の「優勝」となる。番付は、まさにランキングのようなもので、上位は上位、下位は下位と近い番付の力士との対戦が多く組まれる(ここは厳密なスイス方式とは異なる部分である)。大詰めになると、番付が離れていて本来は対戦しないような力士でも、好成績同士ならば対戦が組まれることもある。

 幕下以下の仕組みは、まさにスイス方式である。幕下以下では原則的に成績の同じ力士同士が顔を合わせて星を競い合っていく。初日は番付の近い同士で対戦し、2番目の取組は1勝同士(あるいは1敗同士)、3番目は2勝同士(あるいは1勝1敗同士、2敗同士)といった具合で取組が進む。最後の7番目には6勝同士(あるいは6敗同士、3勝3敗同士など)が戦って、最終的な成績の序列が決まっていく。対戦相手はばらばらではあるが、同じカテゴリーの中で全員と対戦せずに(もちろん、同じ相手とも2度対戦はしない)効率的に順位付けしているのである。

 このスイス方式は1895年にスイスで行われたチェスの大会で初めて行われたことから、その名がついたと言われる。参加者が多く、全員と対戦する日程的な余裕がないことや、トーナメント方式のように途中に脱落者を出さずに、全参加者に同一の試合数を提供するという目的で考案された。


VictorySportsNews編集部