#横綱
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相撲
大相撲春場所を終えて〜今後が楽しみな注目力士たち
3月の大相撲春場所は新関脇霧馬山の初優勝で幕を閉じた。これまでさほど目立つ存在ではなかったモンゴル出身の26歳が、先輩たちの伝統に則ってたくましくなり、千秋楽に大栄翔を連破しての逆転優勝で一気にスポットライトを浴びた。横綱照ノ富士が全休、大関貴景勝が途中休場で横綱、大関陣が不在となった状況で、場所後を含めて驚異の新十両や新弟子の誕生もあった。新型コロナウイルス対策で大きな転換点を迎える5月の夏場所を前に、変化に富んだ春となった。
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大相撲
荒れなかった春場所―横綱大関不在の中で、改めて歴代最強を考える
大相撲春場所は15日間満員御礼だった一方、横綱照ノ富士が初日から休場し、綱とりに挑んだ大関貴景勝は膝を痛めて途中から休んだ。これにより昭和以降で初めて横綱、大関陣が不在で開催された。優勝力士は関脇の霧馬山。番付的には順当な結果となり、来場所が大関獲りの場所となる。横綱、大関は国技の看板として特別視される力士たち。本場所にいないのは寂しかった。改めて一体、過去にはどんな横綱、大関がいたのか。それぞれの地位で歴代最強と思われる力士を独断と偏見で振り返ってみる。
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大相撲
稀代の横綱“白鵬”に相応しい断髪式
大相撲で史上最多45回の優勝を果たした元横綱・白鵬の宮城野親方の引退相撲が1月28日、東京・両国国技館で開催された。断髪式では現役時代の師匠だった間垣親方(元幕内竹葉山)が止めばさみを入れ、力士の「象徴」とも言えるまげと別れを告げた。長らく頂点に君臨し続けた稀代の横綱も、涙をこらえることができなかった。「体の一部がなくなった寂しさがありますね」と、こぼした。2001年九州場所後にまげを結ってから21年あまり。正真正銘、力士生活から離れるという事実を心の底から惜しんだ。
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相撲
コロナ禍を耐えた大相撲界の試み、数字ではない貴景勝の綱とり
声出し応援の解禁もあって熱気に包まれた1月の大相撲初場所は、大関貴景勝の優勝で幕を閉じた。一人横綱の照ノ富士が全休した状況で責任を果たし、看板力士として4場所ぶりに賜杯を抱いた。同時に綱とりのポイントや新型コロナウイルス禍の角界を再考させるような場所になり、一つの転換点を迎えた。
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大相撲
令和五年大相撲初場所展望―土俵だけではない多くの見どころ
大相撲初場所は早くも8日が初日だ。第2日曜日が本場所の初日に設定されているため最速の開幕日。「角界では初場所が終わってからが正月」と言われるように、年末年始もさほど休まずに稽古を重ねた部屋が多い。番付の異状に日本相撲協会を襲った新型コロナウイルス禍、昨年末の幕内逸ノ城らに対する処分なども絡み、テレビ中継からは伝わらない相撲界の変動がある。
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大相撲
2度目の賜杯を抱いた玉鷲から学ぶこと ~大相撲の今
9月の大相撲秋場所は東前頭3枚目の玉鷲が37歳10カ月で優勝した。7月の名古屋場所の逸ノ城に続く平幕制覇で、最近目立つ上位陣の不安定さがまたも露呈した形となった。若手の突き上げ不足も指摘される一方、玉鷲は年齢を感じさせない体の張りと豪快な相撲っぷりで魅了した。幕下で元大関の朝乃山にまさかの黒星がついたことを含め、多角的に見ていくと、現行の年6場所制で最年長記録となったベテランの優勝は示唆に富んでいた。
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相撲
大相撲裏金問題が終決 ~貴乃花びいきメディアの罪科
大相撲名古屋場所を前に、土俵の裏側で繰り広げられていた戦いに終止符が打たれた。日本相撲協会が元顧問の小林慶彦氏と、同氏が代表取締役を務めるコンサルティング会社を相手取った損害賠償訴訟で、東京地裁は6月8日、元顧問側に9800万円余りの支払いを命じる判決を下した。その後、双方とも控訴せずに終結。6月下旬に確定した相撲協会の勝訴により、〝裏金顧問〟との異名が実情と相違なかったことが証明された。元顧問は法廷の場で、一般社会では通用しなさそうな釈明に終始し、馬脚を現していた。元顧問を相撲協会に招き入れた北の湖前理事長(元横綱)の死後、約4年半に及ぶ法廷闘争を経て、角界の恥部が名実ともに排除された形。新しい時代への一区切りとなった。
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相撲
大相撲夏場所総括~激化する若い部屋持ち親方たちの戦い
大相撲夏場所後に誕生した新十両力士に、新たな潮流が浮かび上がっていた。欧勝馬(鳴戸部屋)と豪ノ山(武隈部屋)はともにそれぞれの部屋で初の関取となった。角界で「資格者」と呼ばれるように、十両に上がってやっと力士として〝一人前〟と見られるようになる。それだけに本人にとっては格段の喜びであると同時に、部屋にとっても実入りが増えるなど単なる一力士の昇進以上の価値がある。師匠同士の競い合いという点からも意義深い昇進劇だった。
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大相撲
東大出身力士の挑戦 ~安定と高給を捨てて飛び込んだ夢の世界
大相撲夏場所は東京大学出身力士の誕生が大きな話題を呼んだ。東大から角界への入門は史上初で、その名は須山(埼玉県出身、木瀬部屋)。そもそも学内でも存在を知らない学生が散見されるという東大相撲部とはどんな部なのか。そこから巣立ってプロの世界に飛び込んだ若者の素顔は?成長ぶりや知られざる部の歴史をひもとき、画期的な出来事の裏側を探った。
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大相撲
大相撲春場所展望 ~荒れる春場所は訪れるのか
13日からの大相撲春場所はさまざまな視点で興味深そうだ。新型コロナウイルス禍の中で、観客を入れての地方場所で最後に残されていた大阪。2月に入り、力士ら日本相撲協会員に大量の新型コロナ陽性者が判明した。通常開催がままならない中、来場者の割合を増やして実施される。新型コロナ対策はもちろん、かつては〝荒れる春場所〟が代名詞だった場所の優勝争いや、すねに傷を持つ力士たちの様子も気になるところ。テレビ中継ではちょっとマニアックなチェックポイントもある。
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相撲
大きく変わった引退への道筋 ~復活ひかり年6場所を完走した大相撲を振り返る
2021年の大相撲界は新型コロナウイルス禍の中でも年6回の本場所をやり遂げた。史上最多の優勝45度を誇る横綱白鵬の引退などビッグニュースもあった中で、今年を象徴するキーワードの一つに「復活」を挙げることができるだろう。転落した序二段から最高位にまで上り詰めた照ノ富士に代表されるように、さまざまな理由で番付を大きく落としていた関取経験者が返り咲き、大いに存在感を発揮。以前ではなかったようなカムバック劇もまた、現代の国技の一部分となった。
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大相撲
大渋滞の断髪式~コロナ禍で発生した数億円の機会損失
最近の大相撲界にはちょっと変わった光景がある。頭にまげを結っている親方衆が多いのだ。NHKのテレビ解説や動画投稿サイト「ユーチューブ」の企画などに出演したり、本場所の打ち出し後に警備担当で土俵周辺に集まったりする際に目にすることができる。これには新型コロナウイルスの影響で断髪式をなかなか行うことができない事情がある。名実ともに力士生活に別れを告げる節目の行事。チケット代をはじめとする収益は今後の活動資金に充てられる傾向にある大事なもので、税金も絡む現実的な部分もある。ここにきて徐々に再開の動きが出ているもののコロナの完全収束は見通せず、実入りの面などで若手親方衆にとって受難の時期はまだまだ続きそうだ。
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大相撲
稀代の横綱“白鵬翔”が駆け抜けた21年間
大相撲の横綱白鵬の引退が秋場所後、突然訪れた。優勝45回、通算1187勝など恐らく不滅ではないかと思われるほどの大記録を数々打ち立てた。その一方で、言動を問題視され、年寄「間垣」襲名時には、日本相撲協会の規則を守るなどの誓約書にサインするという前代未聞の条件が付いた。強過ぎたゆえに導かれた宿命に、急激な社会状況の変化も絡んだ稀代の横綱の力士人生。土俵を去るに当たり、さまざまな意味合いで存在感の大きさが改めて表出した。
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大相撲
勝負に徹した横綱白鵬~勝つための愚行
大相撲名古屋場所は終わってみれば〝白鵬劇場〟ともいうべき場所だった。進退を懸けて出場し、初日から14連勝。千秋楽には横綱に昇進せんとする大関照ノ富士との相星決戦を力業でものにし、45度目の優勝を全勝で成し遂げた。力士人生のピンチを乗り切った傍ら、場所後の横綱審議委員会(横審)で、またもやけちがついた。場所を通じ、角界に見え隠れしたさまざまな潮流があった。
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相撲
白鵬・鶴竜の引き際の美学とは ~照ノ富士にも共通する横風
まさかの事態で浮かび上がったのは、皮肉にも両横綱のハートの強さだった。大相撲春場所で初日直前に鶴竜が休場を表明したことに続き、白鵬も3日目から早々に休場した。ともに5場所連続の休場。昨年11月場所後には、休場の多さから横綱審議委員会(横審)から2人に「注意」の決議が出された。これは3段階ある決議事項の厳しさでは真ん中にあり、これより重いものは「引退勧告」しかない。「注意」は事実上の最後通告とも捉えられるが、再び休んだ上に、身を引くことを選択しなかった。精神的にタフでないとできない芸当だ。
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相撲
白鵬、鶴竜を待ち受ける荒れる春場所
3月の大相撲本場所は例年大阪で開かれ、波乱が起きやすいことから〝荒れる春場所〟と形容される。季節の変わり目で寒暖の差が大きく、体調管理が難しいことが一因に挙げられるが、新型コロナウイルス感染拡大防止のために今年は特別に東京・両国国技館で開催される。いつもと違う3月の土俵は、モンゴル出身の横綱2人にひときわ大きな注目が集まる。2月の時点でそろって35歳の白鵬と鶴竜。ともに休場が目立ち、昨年11月場所後の横綱審議委員会(横審)で「注意」の決議を受けた。特に鶴竜は進退を懸けることを公言し、春場所は引退と背中合わせ。両横綱にはさまざまな闘いが待ち受け、大変な立場でもある。
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相撲
失われる幕内最高優勝の価値~白鵬の引退とスイスドローの限界
スイスドローって同じ勝敗の力士が当たる方式ですよ。幕下以下では採用されていますが十両以上では採用されていません。 仮にスイスドローであればもっと早く上の力士と当たるので、真逆と言っても良いです。 -
相撲
屈辱と人種差別騒動に耐え忍んだ照ノ富士の復活劇 ~師匠への“恩返し”
始まりは、まだ浪速の街に肌寒さの残っていた昨年の3月10日だった。エディオンアリーナ大阪で行われた大相撲春場所初日。観客のまばらな午前中、元大関の照ノ富士が序二段の土俵に立っていた。5場所連続休場から復帰。ここが出発点となり、先の7月場所での〝史上最大の復活優勝〟へとつながった。想像を絶する番付降下から人間的な成長、新型コロナウイルス禍など、絡み合ったさまざまな糸。快挙の裏側を探った。
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