それにしても、だ。ジャイアンツはクジ運が悪い。
平内も先に1位指名した佐藤輝明(近畿大学)の抽選に漏れての、外れ1位である。
近年のドラフトで、ジャイアンツファンである私が渾身のガッツポーズを繰り出したことは、ほぼない。辻内(崇伸)、大田(泰示)はクジを当てたし、長野(久義)、澤村(拓一)、菅野(智之)が無事に決まってよかったな、と思った記憶はある。だが、時間をおいて残った記憶としては、複数球団が指名した目玉選手をクジで引き当てたパ・リーグやヤクルトあたりを羨ましく感じたというものばかり。
今年も佐藤が入ったらサードには岡本(和真)がいるからファーストか外野に回して、などとドラフト前に夢想。勝手に近未来のジャイアンツを思い描き、ドラフトの結果を見て、いつものごとくうなだれた。で、失意の中でポチポチと調べて、平内って意外にいいじゃん、なんてポジティブに持っていく。
それはそれで恒例行事でいいのだが、これだけ当たらないと、何かの呪いなんじゃないか、とも思えてくる。なので、ちょっと調べてみた。
検証。ジャイアンツはクジ運が悪いのか
以下、21世紀のジャイアンツのドラフト結果である。
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<2020年> 1位指名は佐藤で4球団競合。オリックス→阪神→ソフトバンク、ジャイアンツの順番でクジを引き、2番目に引いた阪神が交渉権をゲット。外れ1位は単独で平内。
<2019年> 奥川恭伸を1位指名して3球団競合。ヤクルト→阪神→ジャイアンツの順番でクジを引き、最初に引いたヤクルトが交渉権獲得。外れ1位で宮川哲を指名して西武と重複。ジャイアンツ→西武の順番で引き、西武へ。外れ外れ1位は単独で堀田賢慎。
<2018年> 根尾昂の1位指名で4球団競合。中日→日本ハム→ジャイアンツ→ヤクルトの順に引き、1番手の中日が当たり。外れ1位で辰己涼介を指名して、またも4球団重複。楽天→阪神→ジャイアンツ→ソフトバンクの順で、最初の楽天がゲット。外れ外れ1位は単独で高橋優貴を指名。
<2017年> 清宮幸太郎を1位で指名して7球団競合。ロッテ→ヤクルト→日本ハム→ジャイアンツ→楽天→阪神→ソフトバンクの順番で引き、3番目に引いた日本ハムが獲得。外れ1位で村上宗隆を指名して3球団重複。ヤクルト→ジャイアンツ→楽天の順番で、最初のヤクルトへ。外れ外れ1位は単独で鍬原拓也。
<2016年> 1位指名は田中正義で5球団競合。ロッテ→ソフトバンク→ジャイアンツ→日本ハム→広島の順番で、2番手のソフトバンクが交渉権獲得。外れ1位で佐々木千隼を指名して、またも5球団重複。ロッテ→DeNA→ジャイアンツ→日本ハム→広島の順番で引いて、最初のロッテがゲット。外れ外れ1位は吉川尚輝を単独で指名。
<2015年> 桜井俊貴を単独1位指名。
<2014年> 岡本和真を単独1位指名。
<2013年> 石川歩を1位指名してロッテと競合。先に引いたロッテが交渉権をゲット。外れ1位は単独で小林誠司。
<2012年> 菅野智之を単独1位指名。
<2011年> 菅野智之を1位指名して、日本ハムと2球団競合。ジャイアンツが先に引くが、日本ハムが交渉権獲得。外れ1位で松本竜也を単独指名。
<2010年> 澤村拓一を単独1位指名。
<2009年> 長野久義を単独1位指名。
<2008年> 1位指名は大田泰示でソフトバンクと重複。ソフトバンク→ジャイアンツの順番で引き、ジャイアンツが交渉権獲得。
<2007年> 高校生1位で佐藤由規を指名し、5球団が競合。ヤクルト→楽天→横浜→中日→ジャイアンツの順番で、最初に引いたヤクルトが交渉権ゲット。外れ1位で藤村大介を単独指名。大学生・社会人1位では大場翔太を指名して6球団競合。オリックス→横浜→阪神→ソフトバンク→ジャイアンツ→日本ハムの順番で、4番手のソフトバンクが交渉権獲得。外れ1位で篠田純平を指名して、3球団重複。広島→オリックス→ジャイアンツの順に引き、広島が当たり。外れ外れ1位で村田透を単独指名。
<2006年> 高校生の1位指名は堂上直倫で3球団重複。ジャイアンツ→阪神→中日の順番で引いて、最後の中日が交渉権獲得。坂本勇人を外れ1位で指名。大学生・社会人の希望枠で金刃憲人を獲得。
<2005年> 高校生1位で辻内崇伸を指名して、オリックスと重複。ジャイアンツ→オリックスの順に引いて、ジャイアンツが交渉権を獲得。大学生・社会人の希望枠では福田聡志を獲得。
<2004年> 自由獲得枠で野間口貴彦、三木均を獲得。
<2003年> 自由獲得枠で内海哲也を獲得。
<2002年> 自由獲得枠で木佐貫洋、久保裕也を獲得。
<2001年> 寺原隼人を1位指名して、4球団が競合。中日→横浜→ダイエー→ジャイアンツの順番でクジを引き、ダイエーが交渉権を獲得。外れ1位で真田裕貴を単独指名。
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こうして振り返ってみると、“引き弱”の歴史をなぞるようで、軽く切なくなった。
2005年に辻内を確率50%で当てているが、それ以降は、33%(2006年)→20%(2007年高校生1位)→17%(2007年大学生・社会人1位)→33%(2007年大学生・社会人外れ1位)を4連続で外れ。2008年に50%の大田を当てるも、その後は、50%(2011年)→50%(2013年)→20%(2016年)→20%(2016年外れ1位)→14%(2017年)→33%(2017年外れ1位)→25%(2018年)→25%(2018年外れ1位)→33%(2019年)→50%(2019年外れ1位)→25%(2020年)と11連敗。そんなに外す?
ちなみに辻内の前のジャイアンツのクジ当選は、長嶋監督が4球団競合の松井秀喜を引き当てた1992年のドラフト。だが、この時のクジ引きは中日→ダイエー→阪神→ジャイアンツの順番。長嶋さんが抽選箱に手を入れた時点で、当たり確率は1/4の25%ではなく100%だった。
ここで、疑問に思った。
セパの引く順番がオールスターの結果だったり、細かくは時期によって違うが、基本的には前年のチーム順位が悪かった方からクジを引くのがドラフトのルール。クジを引く人間は相当の気合いで引くだろうから、完全確率のクジとはいえ、早めに当たりが出るのはなんとなくわかる。
なので、総じて成績のよいジャイアンツがクジを引く段階では、抽選箱の中に既に当たりが残っていない場合が多いのではないか?
それを踏まえて、2001年以降のジャイアンツがくじを引いた際の実際の確率を見てみると、0%(2001年)→50%で辻内当たり(2005年)→33%で外れ(2006年)→0%(2007年高校生1位)→0%(2007年大学生・社会人1位)→0%(2007年大学生・社会人外れ1位)→100%で大田当たり(2008年)→50%で外れ(2011年)→0%(2013年)→0%(2016年)→0%(2016年外れ1位)→0%(2017年)→0%(2017年外れ1位)→0%(2018年)→0%(2018年外れ1位)→0%(2019年)→50%で外れ(2019年外れ1位)→0%(2020年)になる。
18回抽選に臨み、内13回は確率0%。箱に手を入れる前にノーチャンスだった。残る5回は50%→33%→100%→50%→50%で2回当たり。引き弱といえば引き弱だが、まぁこんなもの? パチンコだと信頼度50%のリーチが3回連続で外れることとか、よくあるし。
ということで、パッと見で“ジャイアンツはクジ運が悪い”ように感じたが、よくよく調べてみたら、そうでもなかった。さらに、坂本や吉川など、結果外れてよかったなんて場合もあるし、ドラフトのクジに対する自分のネガティブ思考はきれいになくなった。
ジャイアンツのクジ運は、そんなに悪くない!
※データは11/12現在。敬称略