「与えられるのではなく自分から求めて学んで」練習を楽しむには

―どんな1日を過ごしていましたか。
太田:当時、野球がしたくて野球部に所属していたのですが、レスリングで負けてからは野球部の練習にはほぼ行きませんでした。学校に行って、帰って来て練習して、寝てというサイクルでしたね。中学3年生くらいからは朝走ってから学校に行って、練習をしていました。

―全中に優勝した時の心境はいかがでしたか。
太田:今まで、周りの人は誰も僕より練習していなかったので、「勝って当たり前」と思っていたのですが、一回負けてから意識を変えて練習をして勝った時に、「自分で取り組んで勝てた」という感覚になりました。自分が勝つためにいろいろ考えてやった成果が出たというやりがいのようなものを感じて嬉しかったです。技も自分で、先輩や高校生がやっている姿を見て、父親にも「これをやれ」と言われるのではなく、「俺がこれをやりたいから、この時どうすればいいか」と聞いて、与えられたものではなく自分から求めて学んでいったので、とても面白かったです。

―それからどんどんレスリングにのめり込みましたか。
太田:そうですね。レスリングがやりたくてたまりませんでした。

―全中で優勝して中学3年生はいかがでしたか。
太田:中学3年生でも全中で優勝しました。でもその時のことは覚えていないですね。勝って当たり前と思っていました。

―全中の負け以外で悔しい経験はありましたか。
太田:その負けだけですね。それ以降負けませんでした。

「世界チャンピオンを目指したいなら、減量よりも体作りを」次世代、そして指導者に伝えたいこと

―当時に戻れるならどんなアドバイスをしますか。
太田:「減量するな」ですね。小学生中学生は一番体が成長する時期なので、その時期に減量する必要はありません。僕は目先の勝利のためだけに減量していましたが、世界チャンピオンを目指したいなら、減量よりも体作りをした方が良いと思います。

―今の人たちは減量をしなくなっていますか。
太田:今でも勝利にこだわっている子は減量しています。子供というより親や指導者が、「勝たせたい」と思って、減量をするように促していると思います。あと、小学生で厳しい練習はいりません。

―詳しく教えてください。
太田:まず競技を好きにならなければいけないので、僕みたいに嫌でも続けられる選手はいないと思います。僕は父親の半端ではない圧力があって、好き嫌い言っていられないのもありましたし、親も練習と練習以外の切り替えもうまかったので、それで続けられる人はいいと思いますが、まずは競技を好きになって、その中で基礎を作っていくのが大事ですね。

―中学生もですか。
太田:中学生くらいになって、声変りをしたり、髭が生えてきたりした時には、体ができているので、筋トレをしても良いと思いますが、体がしっかりできるまでは筋トレもしない方が良いです。体の使い方がうまくなるようなトレーニングはしても良いですが、ウエイト器具を持つようなトレーニングや、減量など、成長を妨げるようなトレーニングは絶対にしない方が良いですね。

―レスリングだと小学生くらいから器具を使ったトレーニングをする人はいますか。
太田:格闘技ですし、トレーニングをすると体が強くなるのでやっている人がいます。でもそれは目先の結果に過ぎません。それを見過ぎている大人の方が多い印象があります。

―この記事がそういう人にも届くといいですね。
太田:そうですね。勝たせたいと思ってやらせてしまうことがあると思います。言い方は悪いですが、小学生で全国チャンピオンになりたいのだったらそれでも良いと思いますが、将来的にその競技を続けてオリンピックや世界チャンピオンを目指したいのであれば、成長を妨げるトレーニングをしない方が良いです。僕はウエイトトレーニングをまったくしていなくて、本格的に始めたのが高校3年生くらいでした。

「やれば結果が出る」夢を追うことを貫き通せた理由

―友達と遊びたいというような葛藤はありませんでしたか。
太田:毎日思っていました。学校でテレビの話が合いませんでしたね。みんながテレビを見ている時間に練習をしていたので、「山から昨日出てきました」というくらい芸能人や漫画の知識がありませんでした。その年代でするべきことを僕はしていないですね。友達の家に遊びに行った記憶もありません。中学生になると恋愛をし始める時期ですが、僕も中学2年生の時に彼女ができたこともありましたが、デートを1回しかしたことがなくて、周りが羨ましかったです。

―それでも勝ちたいという思いが強かったのですね。
太田:勝ちたいというより負けたくなかったです。負けると腹が立つ人間だったので、やるしかありませんでした。

―負けたくない気持ちで練習に向かっていたのですね。
太田:レスリングをやっている方が楽しかったですね。中学生で自分から練習することによって勝てるとわかってから、自分の能力を上げるのが楽しかったです。周りが何をしてようが、「これでオリンピックに行って、世界チャンピオンになる」と思っていましたね。

―それを周りに言いましたか。
太田:僕は「オリンピックに出て金メダルと取るよ」と言っていました。結果取れませんでしたけどね。「世界チャンピオンになるし、オリンピックに出て金メダル取るよ」と同級生が34人しかいない小さい町で言っていました。大人からは「レスリングで飯食えないよ」と言われましたが、何を言われても自分がやりたいだけだから気になりませんでした。

―そこで突き進めた要因は何ですか。
太田:やれば結果が出るとわかっていたからですね。自分が目標に向かって効率的な練習やトレーニング、生活ができれば目標が達成できるとわかっていました。

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VictorySportsNews編集部