池田:もともとは、経営破綻したレラカムイ北海道の選手だった折茂さんがどうして代表をやることになったんですか?

折茂:前のチームが経営破綻したのは2011年だったんです。他の会社が引き継ぐとか、いろんな話があったんですが、ぜんぶ東日本大震災で吹っ飛んでしまった。そんななかで、なんとなく気がついたら『自分がやらなきゃな』という雰囲気になってしまって(笑)。

池田:前のチームが経営破綻しているわけですから、レバンガ北海道のスタートも大変だったんじゃないですか?

折茂:負債は引き継がなかったんですが、やっぱり信用はありませんでした。スポンサーに話をしにいっても『もうバスケはいいよ』と門前払いされることが多かったですね。金融機関もお金を貸してくれないので、個人でいろんなところから2億4,000万円借りていました。

池田:個人でですか!? 怖くなかったですか?

折茂:そのくらいの金額になると、もうよくわからないんですよ(笑)。当時のチームの売上が1〜2億円くらいでしたけど、絶対に返そうとは思っていました。

池田:実際にもう返したんですか?

折茂:はい。6年目くらいにようやく黒字化して、その翌年に借金も返済しました。今年もコロナ禍で影響は受けましたが、ギリギリ黒字を確保しました。でも僕自身は黒字になった後も年俸は変わらずにやっていましたから、いまも貯金はゼロです。

池田:すごいですね。いまレバンガ北海道のスポンサーは何社くらいあるんですか?

折茂:約260社です。金額の大小はありますが、ほとんどが100万円くらいの地元の企業です。

池田:いまも経営が楽なワケじゃないですよね?

折茂:そうですね。B1のトップクラスに比べたら、選手の平均年俸も低いでしょうし、売上も半分くらいだと思います。ただ、今シーズンは特に若手の育成を重要視していますし、いまは土台となるチーム作りをしている段階。クラブ間の格差を言い訳にすることなく、応援してくださる皆さんに結果を届けられるよう勝負しなければならないとは思っています。

池田:黒字化するためにどんなことをやっていたんですか?

折茂:とにかくチームを知ってもらうために、北海道内のいろんなイベントに選手が顔を出すようにしています。選手がビラ配りをしたこともありますし、地域のお祭りに参加したり、小学校に行って授業をして、そのあと子どもたちといっしょに給食を食べたり。僕は選手にバスケだけうまくてもダメだと言っているんです。客を呼べる選手にならないと、プロでやってる意味がないんだと。それを選手たちも理解してくれていると思います。

池田:北海道だからうまくいったというところもあるんですかね?

折茂:それはあると思います。もともと北海道って、地元愛が強く、スポーツの観戦意欲の高い人が多い。それに地元のメディアも野球やサッカーと同じくらいの扱いをしてくれますから、そのおかげで知名度が上がったというのはあると思います。

池田:折茂さんは埼玉の出身ですが、ブロンコスは成功する可能性があると思いますか?

折茂:大いにあると思いますよ。昔からバスケット熱が高い地域ですから、しっかりアピールしていけばファンがついてくると思います。ただ、問題はいい選手が早くから東京の強豪校などに行ってしまうこと。大学やプロなど地元に魅力的な受け皿がないんですよ。これは北海道も同じ問題を抱えていて、だからレバンガ北海道では地元の高校と教育連携協定を結ぶなどして、道内の有力選手にその高校に入ってもらって寮などを使える環境を整えています。

池田:そうなんですね。実はさいたまでも同じようなことを考えているんですよ。やっぱり地元で生まれ育った選手が活躍していれば盛り上がりますよね。

折茂:それは間違いないですね。うちは今年から北海道出身のヘッドコーチになりましたし、選手も3人地元出身がいます。彼らが活躍すると、盛り上がり方がすごいですから。

池田:Bリーグもこれからどんどん成長していくと思いますが、レバンガ北海道をどういうチームにしたいと思っていますか?

折茂:これまで地元に支えてもらってやってきたチームですから、これからもそうありたいなと。大きな資本に頼らなくても、そういう勝てるチームを育てていきたいですね。




取材協力:文化放送



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VictorySportsNews編集部