青森と台湾の意外な関係

 2023年11月25日、日本のプロバスケットボールチーム《青森ワッツ》の名前を冠したイベント〈青森ワッツDAY〉が台湾の新竹県新北市で開催された。台湾P. LEAGUE+のプロバスケットボールチーム、新竹ライオニアーズの2023-24シーズンのホーム開幕戦に合わせたものである。
 
 このイベントの主催者である青森スポーツクリエイションは、青森ワッツの運営に加えて、2023年7月には新規事業として新竹ライオニアーズと国際戦略的パートナーシップを締結し、バスケットボールを通じて日台間の「教育・文化・経済」の発展を目指しているという。すでに動き出している具体的な計画は、両チームのホームゲーム会場やイベントでのプロモーション活動を通じて日本企業や青森県産品の海外輸出支援だ。
 
 青森ワッツDAYでは、青森ワッツのスポンサー企業が会場内にブースを構え、両チームの名前を冠したコラボレーション商品の販売や青森県産品のプロモーション、観光客誘致活動を実施した。さらに、青森ワッツのスポンサー企業と、台湾企業とのビジネスマッチングでは、日本企業の販路拡大・国際展開についての熱い議論が繰り広げられたという。
 
 もちろん、盛り上がったのはビジネスだけではない。新竹ライオニアーズの公式チアリーダー〈ミューズガールズ〉と青森ワッツの公式チアダンスチーム〈ブルーリングス〉のコラボパフォーマンス、同チームの寺嶋恭之介コーチによる1on1も大いに会場を沸かせた。

 後日談ではあるが、寺嶋コーチのパフォーマンスは、台湾のバスケットボール・ファンたちに感銘を与えたようで、イベント終了後、3時間で同コーチのインスタグラム・アカウントを約1万人の台湾人がフォローしたという。この数字は、台湾におけるバスケットボール・マーケティングのポテンシャルと、〈青森ワッツDAY〉の効果を物語る事実であろう。

愛される青森県産りんご

 青森ワッツDAYではさまざまな青森県産品がPRされたが、中でも注目を集めたのが、会場でファンに贈られたりんごである。日本が輸出するりんごの9割以上が青森県産であり、そのうち約7割が台湾に輸出されるているという。台湾は青森県産りんごの最大の輸出先なのだ。しかし、台湾では若者の果物離れが進んでいるともいう。同イベント会場でのりんごのPRには、バスケットボールを通した青森県産りんごの若者への販路拡大の狙いもあった。
 
 また、屋外イベント会場ステージでのPX Martとの景品クイズイベントでは、青森県のブランド米である〈青天の霹靂〉が商品説明とともに紹介された。イベントには、PX Martのマスコットである〈福利熊〉と〈蘋狗〉が特別参加。青森ワッツのマスコット〈クイッキー・デッチ〉と新竹ライオニアーズのマスコット〈レディ〉も青森県産品をファンにプレゼントするなど、会場を盛り上げた。マスコットたちとの記念撮影を求めるファンも大勢いた。

 台湾における青森の認知度は非常に高い。同県産りんごへの高い評価が同県の認知度を高めているそうだ。その他にも、青森県には春の桜、夏の伝統的な祭り、秋の紅葉や冬の雪など、魅力のある観光資源に恵まれているので、青森ワッツDAYを活用した年間PR施策により観光客の増加も見込める。また、スポーツを通じて20〜40代へのアプローチができることも同イベントへの出展メリットだ。
 
 青森ワッツのスポンサーでもある菓子製造販売のラグノオささき(青森県弘前市)は、ワッツDAYへの参加を通じて台湾での販路拡大を目指し、青森ワッツと新竹ライオニアーズとのポロショコラコラボ商品の発売をPRした。
 
 大和飲料(新潟県上越市)は、台湾向けに上質な日本酒として〈純米吟醸〉の記念ボトルを販売。想定していたよりも反響が大きく、2日目にはほとんど在庫がなくなってしまったという。田中伸幸取締役は、「ビジネスマッチングの場では新竹ライオニアーズスポンサー以外にも多くの企業が参加し、試飲を通して商品のPRを行うことができた」と今後の商談に期待を寄せた。

〔青森ワッツの挑戦 後編〕につづく

VictorySportsNews編集部