明白な差があるものを、説明することは難しい
明らかに差があるものについて、改めて「どう差があるのか」と説明するのは難しい。「川島永嗣と他の日本人GKの差を説明してほしい」と言われたときの心境は、こうしたものだった。
それほど川島の持つGKとしての能力(技術、フィジカル等)、経験、実績は、他の日本人GKと比べ明らかに上回っている。川島とその他日本人GKとの間には、ちょっとやそっとでは埋めがたい差が存在する。「見れば分かる」「見ても分からない者には、どんな説明をしても分からない」そういうレベルの「大きな差」だ。
岡田武史、アルベルト・ザッケローニ、ハビエル・アギーレ、ヴァヒド・ハリルホジッチ……4人の監督が全員一様に、正GKに川島永嗣を選択し続けてきた。川島と、それ以外の日本人GKとの間に「明らかな差」がない限り起こりえない現象である。
決して、「僅差」ではない。仮に「僅差」だとすれば、かつての日本代表のライバル同士だった川口能活や楢崎正剛の時代のように、監督やその時の調子、チーム状態やスタイルなどによって、正GKが代わったはずだ。ところがこの8年間、誰が日本代表監督になっても、どんなチーム状態であろうと、どんなスタイルのサッカーであろうと、川島永嗣一択できたのだ
では、その「差」とは具体的に何なのか。4人の日本代表監督とそれぞれの監督についたGKコーチたちの目線に立ち、日本代表のGK陣が彼らの目にはどのように映り、どう評価して川島を正GKで起用し続けてきたのか……GKを語る上で重要な「3つ」の要素…1「技術」、2「フィジカル」、3「経験と実績」から、「川島と、川島以外のその他日本人GK」を比較したい。
GK川島永嗣の技術は、突出して高い
まず、「技術」。多くのサッカーファンが「川島は派手なスーパーセーブを見せるが、ミスが多い。技術は決して高くない」と思っている。しかし、それがそもそもの間違いだ。もし本当に技術が低ければ、4人もの日本代表監督やGKコーチたちが、川島を正GKで起用するわけがない。
スーパーセーブや反応の速さばかりが目立つが、川島はGKとしての細かな技術も他の日本人GKと比べ頭一つ抜けて高い。それは、日本代表のGK練習を見ても明らかだ。川島は、他のGKがキャッチできないボールでも、難なくキャッチする。例えば柏の中村航輔は今、Jリーグで最も注目されている日本人GKの1人であり、巷では「川島より上」という声もある。だが日本代表のGK練習を見ると、川島が難なくキャッチできるボールも、中村はファンブルしてしまうシーンが目立つ。
技術的な話をすると、正面からやや離れた位置にボールがきた際、川島は手だけで取りにいくのではなく、しっかり足を運んでボールに正対し、最後までボールを目で見てキャッチする。これが1本1本のキャッチングの成功率を上げるのみならず、キャッチしそこなった場合でも、ボールに正対しているので体が「壁」という保険となってゴールを守ってくれる。川島は何でもないキャッチング練習から、1本1本そこまで考え、計算してプレーしているのが伝わってくる。
逆に中村は、ボールに対して足を運んで正対せず、その場から「手のみ」でのキャッチにいってしまう癖が見られた。この癖により、ファンブルが生まれてしまっていた(ファンブルの要因はそれだけではないが、重要な要因の1つ)。
他にも「差」はある。ボールを受ける前の「構え」。川島は上、下、横……どこにボールがくる時も、股を大きく空けずに構えている。これは、股下を抜かれる危険を常に警戒し準備している事を意味する。また、この構えだからこそ、セービングへの一歩目やステップもスムーズかつ速くできる。
逆に中村は、肩幅より股を大きく空けて構えている事が多い。この状態だと、股下に速いボールが突然きたら、股下を抜けてゴールに入ってしまう。また、この構えからは一歩目が出にくい上、ステップも踏みにくい。実際、練習でも一歩目やステップが上手くいかないために、その後のキャッチングやセービングにまで悪影響が出てしまい、ミスしてしまうシーンが見られた。
他にも技術的な差はたくさんある。GK練習の最中、日本代表GKコーチのルグシッチは、何度も中村に対して技術的な間違いを指摘していた。それくらい、一流のGKコーチから見たら「明確な問題点(改善点)」が中村には多々あるということだ。
プレジャンプの動作が大きくなり過ぎてシュートへの対応が遅れて失点してしまうGKも日本では多いが、川島はその技術も洗練されている。ポジショニングのミスも非常に少ない。パンチングの飛距離も日本人GKの中で群を抜いている。
もちろん、前述の「ボールに足を運んで正対してのキャッチ」も「構え」も、川島がこれだけ細かなところまで徹底してプレーしていても、それをさらに上回るシュートがきたらキャッチできなかったり、股を抜かれてしまう可能性はある。だが重要なのは、どんなに簡単(そうに見える)技術練習であっても、1本1本の技術を行なう際には必ず「失点のリスク」から逆算し、1%でも失点する確率を減らすプレーをしているかどうか…という点だ。監督やGKコーチは、そういう細かなところまで見て評価を下している。
川島のフィジカルは、日本人GK最高レベルにある
2つ目の重要な要素、「フィジカル」。仮に、全く同じ身長・体重・反応速度・技術をもつGKが2人いたとする。そして、両者の唯一の差は「フィジカル」だとする。すると、どうなるか?
フィジカルが強い方のGKは、単純に飛べる飛距離が長く、守備範囲が広くなる。身長、体重、反応速度、技術が全く同じなら、より遠くに飛べるGKの方が、より多くのボールを止められるのは、当然である。
また、とてつもなく速くて重いシュートがきたとする。ここでも、フィジカルが勝負を分ける。フィジカルが弱いGKなら、例え反応が間に合ったとしても手を弾かれて失点しまう。だが、フィジカルが強いGKなら、ボールの速さと重さに負けず、しっかりと処理できるので失点は生まれない。「技術」で述べた「川島は他の日本代表GKたちがキャッチできないようなボールも、難なくキャッチする」理由は、川島は高い技術のみならず、こういったフィジカル面の「強さ」も兼ね備えているからだ。
「速さ」に対応する上でもフィジカルは重要である。速いボールに対して、どれだけ速い速度で届くか(触れるか)で失点するか、失点しないか…の運命が分かれる。ボールにより速い速度で届く(触る)ためには、ジャンプする際の踏み切る脚の強さなど、フィジカルの「強さ」が不可欠だ。
これらの「フィジカル」を「日本人GK最高レベル」で備えているのが、川島だ。川島は他の日本人GKよりも速く遠くに飛べる(動ける)ので、守備範囲がずば抜けて広い。その上で、前述したように「技術」でも川島は日本人GKの中で「頭一つ抜けている」のだ。
経験と実績において、川島は他を圧倒する
3つ目の重要な要素に、「経験と実績」がある。「技術」や「フィジカル」に関してはGKの専門知識が必要で、一般のファンの方々には分かりにくいだろう。だが、「経験と実績」に関しては、データで明確に出ている。ある意味、誰にでも分かりやすい要素と言える。
そして経験と実績において、川島は日本サッカーの歴史上唯一、自国開催以外のW杯でベスト16進出を果たしたGKである。W杯に出場した総試合数7試合も日本人歴代GKで最多。南アフリカW杯では出場4試合でわずか2失点。これは南アフリカW杯の全出場国の中で、2番目に少ない失点数であった。
さらに、あの川口能活でさえレギュラーはつかめなかった欧州において、ベルギーやスコットランドなどで長年に渡ってレギュラーを務めている。日本人GKとして史上初となる、欧州トップリーグでレギュラーを掴んだGKなのだ。しかも、長年に渡って。
昨年からは日本人GKとして史上初となる欧州5大リーグのリーグアン、メスに所属。昨季終盤にはスタメンの座も掴み、日本人GKとして史上初となる欧州5大リーグ出場まで成し遂げている。トゥールーズ戦ではPKを止めるなどスーパーセーブを連発し、降格の危機にあったメスを救った。その節のベストイレブンに、カバーニ、ファルカオ、ムバッペなど世界トップクラスの選手たちと共に選ばれている。しかも、その節の採点は彼らをも上回る最高点の「9」だった。これもまた、日本人GKとして史上初の快挙だ。
川島が日本代表や欧州で残してきた実績と、他の日本人GKの実績では、歴然とした差がある。東口順昭、中村航輔、西川周作…川島以外の日本人GKは誰1人として、欧州トップリーグ(1部リーグ)で活躍していない。活躍しない…というか、「所属さえできない」「オファーすらこない」というのが現状だ。
この話をすると必ず「川島は語学ができるから欧州でプレーできるだけだ!他の日本人GKが実力で川島に劣っている訳ではない!」と言う人が出てくる。ただ、Jリーグを例に考えてみて欲しい。果たして、ジュビロ磐田のGKカミンスキーは、日本語が話せるだろうか?今は日本語も多少は習得したかもしれないが、少なくとも磐田が獲得する前に「ペラペラ日本語が話せていた」という事はないだろう。
では、磐田は「カミンスキーは日本語が話せないから、獲得はやめよう」となるだろうか?なるわけが、ない。現になっていないからこそ、カミンスキーは日本語ができなくても磐田に獲得されて活躍しているし、他にもあれだけ大量に韓国人GKやその他の国の外国人GKたちがJリーグでプレーしているのだ。海外のチームに「獲得されるかどうか」に、「語学」は関係ない。「獲得されるかどうか」を決めるもの…それは「実力があるかどうか」である。
試合に出ないGKは、ミスすらできない
よく「川島はミスが多い!」と批判されるが、誰よりも多く代表戦に出ているのだから、「ミスが起こる確率」も、当然、誰よりも高くなる。そもそも試合(代表戦)に出ていないGKは、ミスが起こる可能性すらないのだから。
数年前までは「西川待望論」がずっと続き、現在では「中村航輔待望論」が起こっているが、この現象の「からくり」は、「日本代表で試合に『出ていない』からこそ、ファンはそのGKがハイレベルな代表戦の中どれだけやれるか、ミスが起こる可能性がどれだけあるか…
などが分からないため、何となく出ているGK(川島)よりも『もっとやれるに違いない』という『根拠のない期待』を抱いてしまう」事が起因している。
ファンの場合は自分が推していた選手が実際に試合に出た時に良いプレーができなくても「手の平返し」しておけば済むが、日本代表監督たちは選手起用が間違って負けてしまえばクビが飛ぶ。だから、自分の目(プロの目)で見て「最も良い選手」「最も勝つ確率が高い選手」=「川島」を試合で起用するのは当然である。
それに、他の日本人GKたちも、長く出場を続けているJリーグでは、何度もミスを犯している…という事実も忘れてはならない。代表戦はJリーグの試合よりもハイレベルで、かつプレッシャーも比べものにならないほど大きい。今現在もJリーグでミスが起こっているGKが、よりハイレベルでプレッシャーも大きい代表戦に出場したら、川島以上のミスが起こってしまう…そう日本代表監督や日本代表GKコーチたちは見て評価しているはずだ。
要するに、日本代表の監督たちが「川島以外のGKを正GKにしよう」と思う理由が「ない」のだ。日本代表の監督やGKコーチたちからしたら、ごくごく自然に「川島以外の選択肢は、ない」という結論になる。こうして、どの監督も「当然のごとく」川島を正GKに選び続けてきたという訳だ。
GK練習の中で見える「技術」の「差」を説明すると、決まって「練習で上手いGKが良いGKとは限らない!いくら川島が練習で上手いからといっても、試合で活躍できなければ意味がない!」と言う人がいるが、3つ目の重要な要素「経験と実績」を見ても、川島が「試合」でも日本人GK歴代最高レベルの「結果」を出し続けてきたのがお分かり頂けるだろう。
GKには他にも「ブレイクアウェイ」や「ディストリビューション」といった重要な要素があるが、それらも含めたGKとしての「総合力」が、川島は「日本一」なのだ。
<了>
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