2分30秒の演技で採点を競うスポーツ〈競技チアリーディング〉チアダンスとの違いとは? 【競技チアリーディング・ 笠原園花インタビュー vol. 1】

大学時代~英語への興味

 大学でもチアを続けていました。体格もそうですし、これまでのチアとの向き合い方がみんな違うので、勉強になったのと驚いたのが半々ぐらいでした。

 高校時代の部活は、めちゃくちゃ頑張る子たちの集まりだったので、手を抜くなんてありえない! いつでも全集中!的な感じでしたが、大学だと練習中に手を抜くメンバーもいました。私は「できるだけ上に、行けるところまで行きたい」と本気で思ってましたから、全員が同じゴールを目指す環境ではなくて、ちょっと残念でした。

 ただ、キャンパスライフでいうと帰国子女の学生が多く、異文化が身近にあって英語が飛び交う生活だったのですごく心地よかったです。英語・日本語をミックスで話している友達を見て「私もなりたい」とスピーキングを練習したり、留学生と友達になって耳慣れする状況を作ったり、就活にもプラスになるからとTOEICを受けて……という感じで、どんどん英語が好きになっていきました。

 英語への興味が生まれた原体験は、小学6年生に家族で行ったサイパン旅行です。親が現地のショッピングセンターで買い物をしているときに現地の託児所に預けられたんです。まわりは同じシチュエーションで預けられた子どもたちばかりなんですが、言うまでもなくみんな外国人。英語なんて全然わからないのに、なんの違和感もなく同世代のアメリカ人の女の子と英語で会話できたんです。

「あの、黄色い、Tシャツを着てるのは、男の子? 女の子?」「女の子だよ」と、いまだにそのときの光景を覚えています。「Yellow」「T-Shirt」「Boy」「Girl」の4つの単語がわかって、しゃべって、伝わって、それに返事をしてくれて……会話できた!、と本当にうれしかったんですよね。

 それ以来、英語はずっと好きで勉強も苦になりませんでしたし、いずれは海外で生活しようと心に決めていました。

笠原園花・提供

海外チアへの興味

 大学2年のあるとき、〈アジアチャンピオンシップ〉という国際大会のお手伝いをすることになって、日本に滞在している選手たちと朝から晩まで一緒に過ごしました。そこで知り合いになったタイ代表のアシスタントコーチに誘われて、バンコク大学の練習に現地で参加することになりました。

 練習そのものはハードなんですが、ちょっとした休憩時間でもみんなでごはんを食べ始めたり、おしゃべりに花が咲いてなかなか練習に戻らなかったりして、練習中に座ることさえ許されないような〈日本の体育会系部活〉に慣れていた身からすると本当にカルチャーショックでした。

 この経験がきっかけで、「海外のチアリーディングってどんな練習してるんだろう?」という興味がわき、私は海を越えて、世界に向かうことになるのです。

 それからは、第二外国語で選んでいた韓国に語学留学をしたり、4日間の台湾旅行中に現地の強豪チームで武者修行させてもらったり、海外と日本の違いを肌で感じられるような場所に身を置くようにしていました。

 特に台湾での経験は糧になりました。あまりイメージがないかもしれませんが、実は台湾は世界的にもチアの強豪国なんです。毎年アメリカに次ぐ準優勝という台湾最強チームでの練習は、日本と世界の距離を知らしめてくれるのに大事な経験でしたし、闘争心に火をつけてもらった気がします。

 今も旅先や出張先の現地チーム練習を見に行ったり、SNSでDMを送って練習に参加させてもらっています。この時代、どのチームも公式SNSを持っているので、どんなところで練習しているのかスマホで見ることができますが、音の反響や声の通り方はやっぱり現場じゃないと伝わってきません。動画やSNSを通じて感じたことを、現地まで答え合わせしにいく感覚で、海外チームとの交流を深めていきました。

〔笠原園花インタビュー vol. 3〕につづく

<笠原園花>
1992年生まれ。高校でチアリーディングと出会い、大学卒業後は社会人チームに所属。2016年、日本代表として出場した世界大会で海外チームの演技に刺激を受け、17年よりオーストラリア・メルボルンで活動。18年にクラブチームの世界大会「チア・ワールド」男女混成部門で世界6位に入賞。オリンピック種目候補として注目を集める競技チアリーディングの魅力を広め、次世代を担うチアリーダー育成に取り組む。東京都稲城市出身。


VictorySportsNews編集部