#バスケ
-
バスケ
アジアカップが今夜開幕、『東京オリンピック仕様』のフリオ・ラマス新体制となって初の大会に挑む日本代表の注目選手は?
東京オリンピックへ良い形で第一歩を踏み出したい アジアカップが本日開幕する。グループDに入った日本代表は、今夜22時からオーストラリアとの初戦を戦い、10日にチャイニーズ・タイペイ、12日に香港と対戦する。 この先、決勝トーナメントの入り方が少々複雑で、AからDまで4つあるグループの1位チームは準々決勝に進出する。各グループの2位と3位、計8チームは『ベスト8決定戦』を行い、その勝者が準々決勝で各グループの1位チームと対戦することになる。つまり、グループ2位になればC3位と、グループ3位になればC2位との対戦。グループD首位通過となれば、日程的に余裕を持ってB2位とA3位の勝者と準々決勝で対戦できることになる。 もっとも、今回はオーストラリアとニュージーランドが加わった中でアジアチャンピオンの栄誉を懸けて戦う大会ではあるが、日本代表にとってはフリオ・ラマス新ヘッドコーチを迎えて最初の公式大会。この秋に始まるワールドカップ予選、そして2019年のワールドカップ、2020年の東京オリンピックへと続く道のりに、良い形で第一歩を踏み出すことが重要となる。 フリオ・ラマスが着任し、7月末のウルグアイとの国際強化試合でその方向性は垣間見られた。興味深いのは暫定ヘッドコーチを務めた前任のルカ・パヴィチェヴィッチとの違いだ。セルビア人のルカが組織的なバスケットを志向したのに対し、アルゼンチン人のラマスは個の要素を重視しているように見える。ルカはピック&ロールにこだわったが、ラマスはじっくりボールを回して機会をうかがいつつ、チャンスがあれば思い切ったドライブを推奨する。 もちろん、数日しか練習を見ていない状態で指揮を執ったウルグアイ戦だけを見て、「ラマスのバスケット」を語るのはナンセンスだ。それはこの先、アジアカップで得た教訓を生かして築いていくもの。よって今回のアジアカップでは、チームのスタイルよりも個人のパフォーマンスに注目したい。ラマスがどのような評価基準を持つかは別にしても、『強い個人』や『強い個性』の育成なしに、強いチームは生まれないのだ。 東アジア選手権をケガで欠場した篠山に再びチャンス 12名の登録メンバーで過密日程をこなす国際大会において、複数のポジションをこなす選手は重宝される。だが、ラマス着任後の強化合宿とウルグアイ戦を見る限り、どの選手もポジションと役割は明確だった。比江島慎も、今回はポイントガード的な役割を求められていないと明かし、「やりやすい」と本音を語った。 協会はラマスにせっせと資料を送っていたようだが、アルゼンチンリーグで優勝争いをしていたラマスに、その資料を読み込む時間があったとは思えない。このアジアカップは良くも悪くも「ぶっつけ本番」、おそらく12名の招集メンバーの人選にもラマスはあまり関与していないのだろう。その分、各選手には自分の持ち味をストレートに出すことが求められ、そこで今後の評価が決まる。 ポイントガード 富樫勇樹、篠山竜青、橋本竜馬 シューティングガード 比江島慎、田中大貴、馬場雄大 スモールフォワード 古川孝敏、小野龍猛 パワーフォワード アイラ・ブラウン、張本天傑 センター 竹内公輔、太田敦也 注目すべきは正ポイントガード争い。長谷川健志ヘッドコーチ体制下でリオ五輪の世界最終予選(OQT)に臨んだ時は田臥勇太、橋本竜馬、そして2番との併用で比江島という顔ぶれだった。それがBリーグ開幕とともに富樫勇樹がブレイクし、OQTでは最後の最後で落選した篠山が追い掛け、先発の座を争っている。 ここでの評価基準はコントロールよりも攻撃を引っ張り、自らも得点できる能力。そのカウンターとして守備を得意とする橋本が3番手ながら存在感を出している。もっとも、ラマスがどんなタイプのポイントガードを好むのか定かではなく、今の3人の序列は固まっていないし、油断していると今後は選考外の選手に巻き返される恐れもある。 いずれにしても、激しい競争がレベルアップの呼び水となるのは間違いない。とりわけ、これまでチームでの好調を代表に持ち込むのに苦労してきた篠山の奮起に期待したい。Bリーグ終盤戦とチャンピオンシップでの篠山のパフォーマンスは富樫と橋本を凌駕していたが、東アジア選手権ではケガで無念の代表落ち。やっと篠山に来たチャンス、逃すわけにはいかないはずだ。 『強い個人』の育成なしに強いチームは生まれない 2番ポジションは『日本代表のエース』である比江島を筆頭に、田中大貴と馬場雄大と実力者が居並ぶ。ルカの下では思い切ったプレーを連発していた馬場が、先のウルグアイとの2試合で元気がなかったのは気になるところ。若い彼にとって比江島と田中を相手にプレータイムを得なければならないのは酷な状況だが、それでもやってくれそうなところが馬場の魅力。ラマスのバスケットにこだわってプレーが小さくなるのではなく、若さを前面に押し出したエネルギッシュなプレーで、比江島と田中との違いを示してもらいたい。 3番で注目したいのは小野龍猛の働きだ。ポジションを固定された今のチームにおいて、3番と4番の2つのポジションを掛け持ちする唯一の選手。攻撃ではドライブも3ポイントシュートもポストプレーもできる万能性を生かして周囲の持ち味を引き出し、守備では状況を見ながらバランスを整えることができる。ルカの下では『富樫とセット』だったが、ラマスの下ではまた違った起用法になるだろう。バイプレーヤーをいかに使うかは指揮官の腕の見せどころ。そういう意味で小野が使われる状況や時間帯、どんな役割を与えられるかを追うのは面白い。 4番で注目すべきは張本天傑だ。アイラ・ブラウンと竹内譲次がいる限り、満足なプレータイムは望めないところだが、今回は譲次が外れた。力強く迷いのない張本のプレーはウルグアイとの2試合でも目を引いたし、ラマスもその持ち味を気に入った様子。ウルグアイ戦では時間こそ短いが張本を3番で起用するビッグラインナップも試している。35歳のアイラ、32歳の竹内兄弟に並び、追い抜けるか。張本が12選手に定着できるまでに成長すればチームにとってはベテラン偏重という課題を解決させられるだけに、奮起が求められる。 そして、従来の序列を覆すことに燃えているのは若い張本だけではない。33歳のベテランセンター太田敦也も『竹内兄弟超え』に挑んでいる。本人は「競争しているつもりがない」と至って淡々としているが、プレータイムが欲しいのはどの選手も同じ。これまでは体格を生かして味方を助ける役回りに徹してきたが、自ら仕掛ける積極性とともにゴール下での『巧さ』が出てきたのが、この1年の太田だ。成長に年齢は関係ない。『Bリーグ効果』が良い形で出ている太田のプレーにも注目である。 FIBA ASIAカップ2017#AkatsukiFive 男子日本代表戦、全試合LIVE配信! ️8月8日 21:50~ vs.オーストラリア代表#バスケ ⬇️配信ページ⬇️https://t.co/kNGurk4E6e pic.twitter.com/TEWgK4KY41
-
バスケ
古巣キングスとの対戦に燃えるデマーカス・カズンズ「開幕戦で当たるよう祈っているくらい。胸のつかえがあるんだ」
ペリカンズもキングスも戦力を整えて要注意チームに 2017年のオールスターゲーム終了直後にキングスからペリカンズへのトレードを言い渡されたデマーカス・カズンズは、6年半過ごした球団を離れた。ペリカンズへの移籍によって誕生したアンソニー・デイビスとの大型ツインタワーは話題性も高く、後半戦からの巻き返しが期待された。しかし、シーズン途中の移籍は難しさもあり、結局のところペリカンズがプレーオフに進出することはなかった。 それでも、カズンズはペリカンズでの17試合で平均24.4得点、12.4リバウンド、3.9アシスト、1.1ブロック、1.5スティールという数字を残し、超強力ツインタワーの可能性の一端を示した。 ペリカンズでの2年目は、デイビス、ドリュー・ホリデーとの連携改善に加えて、新加入ラジョン・ロンド、ウォリアーズ優勝メンバーであるイアン・クラークも獲得したチームでのケミストリーが期待される。また、シーズンオフにはデイビスとの合同練習も行うほど、カズンズのモチベーションは高い。 何よりもカズンズを刺激しているのが、古巣キングスとの対戦だ。 まだ2017-18レギュラーシーズンの日程は発表されていないが、カズンズは『The Undefeated』に対し、「キングスとの対戦が待ちきれない。開幕戦で当たるよう祈っているくらいだよ。胸のつかえがあるんだ」とコメント。キングス時代はフロントとの衝突が話題になることが多かったが、カズンズはフランチャイズプレーヤーとして6年半チームを引っ張り続けた。それが一転して放出、球宴終了直後というタイミングも含め、カズンズ自身にとっても予期しなかった出来事だった。 編成ということで言えば、キングスもまたオフに新たな風を取り込み、大幅な刷新を断行した。カズンズとの交換で獲得したバディ・ヒールド、新人ディアロン・フォックスといった若手に加え、ジョージ・ヒル、ビンス・カーター、ザック・ランドルフという、3選手合わせてNBAキャリア44年の大ベテランを獲得し、ロッカールームに勝者のメンタリティを浸透させる準備を整えた。 大補強を実行したティンバーウルブズと同様に、ペリカンズもキングスも『ハマれば化ける』可能性を秘めたチーム。その2チームの対戦というだけで注目されるところに、カズンズの『因縁』が合わされば、ペリカンズvsキングスが新たな注目カードになってもいいはずだ。 決して良い終わり方ではなかったが、その『因縁』がカズンズのモチベーションを刺激しているのなら素晴らしい話だ。カズンズのパフォーマンスもさることながら、サクラメントのファンがかつてのエースをどう迎えるのかにも注目したい。新シーズンのペリカンズvsキングスが楽しみだ。
-
バスケ
ブルズは『赤』のイメージを強調、新シーズンからホームでも赤のジャージーを着用
ホームかアウェーかを問わず「ブルズと言えば赤」に NBA各チームが新シーズンに着用するジャージーを発表する中、ブルズは2017-18シーズンのホームゲームで赤のジャージーを着用することを発表した。 ユニフォームサプライヤーがadidasからNikeに変わった影響により、来シーズンからは『ホーム』、『アウェイ』という概念を撤廃。新シーズンのユニフォームはホーム用を『アイコン』、ロード用を『アソシエーション』という名称で呼ばれる。また、これまではホームチームが白ベースのユニフォームを自動的に着用することになっていたが、来シーズンからはホーム側のチームがどのユニフォームを着用するかを選択できることになった。 ブルズはこれに伴い、ホーム用に赤ユニフォームを、ロードゲームでは白ユニフォームを着用することを決定した。これにより来シーズンは白ベースのユニフォーム姿を見る機会はかなり減ることになりそうだ。 ブルズ以外の多くのチームは従来通り白いユニフォームをホームゲームで着用することが予想される。となると、ブルズはアウェーゲームでもほとんどの試合で赤いユニフォームを着ることに。つまり、ホームでもアウェーでも多くの試合で赤の『アイコン・ジャージー』を着用してプレーするということだ。 FIRST LOOK: Introducing, for the very first time, the official Chicago Bulls @nike Icon jersey, which will serve as our primary home uniform this season. Scroll for more ?? Chicago Bullsさん(@chicagobulls)がシェアした投稿 - 2017 8月 2 7:30午前 PDT 『CSN Chicago』によれば、ブルズは昨シーズンのホームゲーム41試合中36試合で白ユニフォームを着用し、3試合でグレーの『シカゴプライド・ジャージー』、1試合で赤、もう1試合はアイルランド共和国の祝日セントパトリックス・デーにちなんだ緑のジャージーを着用。同様に昨シーズンのロードゲーム41試合中33試合で赤ユニフォーム、7試合で黒の袖付きタイプ、1試合で白ユニフォームを着用した。しかし、来シーズンから状況は完全に変わるだろう。 1998年を最後に優勝から遠ざかっているものの、2016-17シーズンを通してのチームグッズ売り上げランキングで常にトップ4に入るほどブルズ人気はいまだに根強い。人気コミック『SLAM DUNK』の主人公、桜木花道が通う湘北高校の赤ジャージーもブルズをモデルにしたと言われているだけに、日本のファンにとっては、赤が映えるユニフォームの方が印象に残っているのではないだろうか。 昨夏にデリック・ローズを、この夏にはジミー・バトラーを放出し、アイデンティティ崩壊の危機にあるブルズ。フランチャイズプレーヤーではなくチームカラーで今一度チーム内外の意思統一と結束を図るつもりだとしたら、決して悪くないアイデアだ。
-
バスケ
クリッパーズに移籍したパトリック・ビバリー「自分からトレードを要求した」
「希望を叶えてくれたロケッツをリスペクトしている」 この夏、クリス・ポールのロケッツへの移籍が成立した。クリス・ポール1人との交換要員にロケッツが差し出した7選手には、昨シーズンの躍進に大いに貢献したパトリック・ビバリーが含まれており、ロケッツのファンは「非情だ」と思ったかもしれない。しかし、『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者のポッドキャスト番組に出演したビバリーは、「自分からトレードを要求した」と、移籍が自らの意思によるものだったことを明かしている。 「自分のスキルを高いレベルで発揮できる機会が欲しかった」と彼は言う。「幸運にも、ロケッツは僕が成功を収められるであろう環境を見付けてくれた。別のチームにトレードすることだってできたと思うけれど、僕の希望を叶えてくれたロケッツを本当にリスペクトしているよ」 昨シーズンはジェームズ・ハーデンの相棒として、主にディフェンスでチームに貢献。マークの執拗さもリーグ屈指で、スタッツに表れない部分でもチームの勝敗に影響を与える、いわゆる『汚れ仕事』を引き受けた。しかし新天地となるクリッパーズでは先発ポイントガードとしてオフェンスを牽引し、ブレイク・グリフィン、デアンドレ・ジョーダンを操る役割を任される。 ビバリーが「リスペクト」という言葉を使った意味は決して小さくない。選手の希望に最大限応じてくれるチームという印象が広まれば、選手の間でのロケッツの評価は上がる。今後、大物フリーエージェント選手を口説く際に、その評価がモノを言うこともあるだろう。 ポールの獲得を含め、球団のイメージアップにも成功したロケッツは、今のところ今オフ最大の『勝者』と言えそうだ。
-
バスケ
名門カンザス大の先発センター、アルバルク東京の新戦力ランデン・ルーカスは日本育ち「日本語、少し覚えています」
「いずれは通訳さんなしで取材に応じたい」 7月26日、アルバルク東京が新体制の発表会見を実施した。馬場雄大、安藤誓哉、小島元基の日本人選手と一緒に、新加入選手として登場した唯一の外国籍選手が、4月までアメリカの名門カンザス大でプレーしていたランデン・ルーカスだった。 アメリカ人のルーカスではあるが、日本とのつながりは非常に深い。父リチャードが1990年代にジャパンエナジーでプレーしていたことから日本で幼少期を過ごすと、アメリカに帰国した後も日本人学校に通って日本語を学んだ。小学校6年の時には福井で地元の公立小学校に通い、石崎巧(琉球ゴールデンキングス)も在籍した啓蒙ミニバスケットボールでもプレーしている。ちなみにカンザス大バスケットボール部の公式HPでの彼の紹介ページには、「日本語を流暢に話す」と記載されていたほど。 このようなバックボーンの持ち主であることから、今回の会見において彼の日本語力には注目が集まった。しかし、さすがにここ10年ほど日本語から離れた生活を送っていたことから、いきなり日本語でインタビューの受け答えをするのは無理だった模様。だが、「日本語を思い出すのを少し待ってください。いずれは通訳さんなしで取材に応じたい」と、日本語での受け答えに意欲を見せた。 実際、会見時には「日本語、少し覚えています。小さな時、上手でした。でもたくさん忘れました」と日本語で話しており、数カ月後には通訳なしでの受け答えが実現する可能性は十分に期待できる。 また、前回の日本滞在時に好きだった食べ物については、そば、ラーメンと麺類を挙げ、カンザス大学時代も日本食をたまには食べていて、これからの生活で新しい食べ物にトライすることを楽しみにしていると続けている。そして、エンターテイメントについては『となりのトトロ』がお気に入りだったと教えてくれた。 泥臭いプレーで這い上がってきた叩き上げのキャリア いちプレーヤーとしてのルーカスの特徴を挙げるなら、本人が「リバウンド、ディフェンスが自分の持ち味。スタッツに出ないダーティーワーク、地道な仕事をカンザスでもずっとこなしてきた。こういうところでもアルバルク東京の勝利に貢献していきたい」と語るように、ゴール下を主戦場とし地味な泥臭い仕事をしっかりこなしていくチームプレーヤーでありハードワーカーであることだ。 カンザス大学時代の彼は、毎年のようにNBA選手を輩出しているタレント集団にあって、下級生の頃はなかなか出場機会に恵まれなかった。しかし、学年が上がるごとに存在感を高め、大学最終学年となった4年生の昨シーズンは不動の先発を務めた。文字通り、泥臭いプレーで這い上がってきた叩き上げのキャリアだ。 この彼の成長ぶりは、大学1年の時の1試合平均の出場時間が約5分、そこから2年次は約15分、3年次は約18分。それが昨シーズンは約26分と伸び、1試合平均8得点、チームトップの8.3リバウントと数字が端的に示している。 昨シーズンのカンザス大は、全米大学選手権ではベスト8で敗退したものの、レギュラーシーズン終盤には全米ランキング1位に輝いており、大学選手権の開幕時には優勝候補の最右翼に挙げる声も少なくなかった。そして、今年のNBAドラフト全体4位指名のジョシュ・ジャクソン、全体34位指名のフランク・メイソンIIIを輩出している。彼ら主役たちのプレーを縁の下の力持ちとした支えたルーカスの貢献は、スタッツ以上のプラス効果をチームにもたらしていたと言っていい。 A東京のタレントを最大限に引き出す働きに期待 Bリーグについてルーカスは「YouTubeでハイライト映像などを見ていました。会場の雰囲気やファンの盛り上がりが素晴らしく、プレーできるのを楽しみにしています」と語る。2020年東京五輪への意欲を示している彼だが、日本国籍取得は非常にデリケートな事柄であり、まずは『助っ人大卒ルーキー』としてどのようなインパクトをリーグにもたらしてくれるのかを楽しみにしたい。 彼が持ち味であるクイックネスとパワーを生かし、ゴール下で昨季のカンザス大時代と同じ働きを披露できた時こそ、アルバルク東京の誇るタレントが最大限にその力を発揮できるはず。ゴール下での攻守にわたる豪快なプレー。そして愛嬌たっぷりの笑顔と日本語でのヒーローインタビュー……。コート内外で注目すべき選手がまた一人、Bリーグにやって来た。
-
バスケ
マイケル・ジョーダンによる明快なコービー×レブロン比較「3回より5回の方が上」
『神様』の前では優勝回数が『唯一にして絶対』の基準 NBA歴代最高の選手に関する議論は、終わりが見えない。過去と現代とではプレースタイル、選手の平均レベル、NBAを取り巻く状況も異なるため、横一線に並べて比較するのが極めて難しいからだ。 だが、『バスケットボールの神様』ことマイケル・ジョーダンに言わせれば、その基準は単純明快。カリフォルニア州サンタバーバラで開催された『フライト・スクール・キャンプ』に参加した子供からレブロン・ジェームズとコービー・ブライアントの比較について聞かれたジョーダンは、「歴代ランキングで私がコービーよりレブロンを上に位置付けるかって? 答えはノーだ」と答えた。 気になる理由についてジョーダンはこう説明する。「5が3に勝つ理由があるんだ。レブロンは怒るかもしれないが、コービーは5回優勝している。レブロンは3回だ」 こんなに分かりやすい理由もない。もし優勝回数で歴代ベストプレーヤーの順列を決めるのなら、6回優勝したジョーダンは、コービーよりも、レブロンよりも上の地位にいるということ。実際のところジョーダンは、そのことを何よりも主張したかったのかもしれない。 だが、今も現役選手として活躍するレブロンには、まだ時間が残されている。もし引退するまでにあと3回優勝できたとき、『神様』がレブロンと自身の比較について何と表現するのか、その答えの方が気になってしまう。
-
バスケ
ステフ・カリーを支える『内助の功』にドウェイン・ウェイドもお手上げ
秘訣はプロ顔負けの手料理だけでなく、全自動トイレも!? 3ポイントシュートライン手前からでもコンスタントにシュートを決め、NBAトップクラスのハンドリングスキルを持つステフィン・カリーを止める手立てはあるのだろうか? 誰もが答えを求めるこの問題について『Blue Man Hoop』から質問を受けたドウェイン・ウェイドは、シーズンオフならではのリラックスモードでの回答をTwitterに投稿した。 Pray that every grocery store in the world go out of business and his wife can't cook him any food. Whatever she's cooking it's working https://t.co/ElWIQnsLZq ウェイドは「世界中の食材店が閉店して、ステフの奥さんが手料理を作れなくなることを祈ろう。彼女の料理はすべて機能しているのだから」と、コメント。カリーの妻アイーシャは、『Food Network』で料理番組を持つほどの腕前で、カリーの健康面を支えている。 夫の健康面を支えるこだわりは、食事だけにとどまらない。その一例がトイレだ。2015年、カリーは『ESPN』とのインタビューで、日本のtotoが販売するウォシュレット機能がついた全自動トイレの効果がプレーに大きな影響を与えていると明かしたのだが、これを購入したのも、他ならぬアイーシャだった。 カリーは『ESPN』とのインタビューで「このトイレのおかげで幸せ。トイレが家に来てから、自分のパフォーマンスにも変化があったと思う。ミネソタでの試合前日、アイーシャからトイレを買ったという連絡があってね。翌日のウルブズ戦で46得点も記録したよ。それだけのパフォーマンスを披露できた理由があったんだ」と語った。 この発言を裏付けるかのように、2015年11月11日、カリーはTwitterにこう投稿している。「妻が自宅に新しいトイレを買ってくれた。全自動だぜ。すごくうれしいよ!!! それだけなんだけどね。じゃあ、おやすみ!」 新トイレ購入の知らせに興奮したカリーは、翌日のウルブズ戦で13本中8本の3ポイントシュート成功を含む46得点の大活躍。チームも129-116で勝利を収めた。 冒頭の問題に戻るが、残念ながら、ウェイドと同様に「祈る以外に手立てはない」という結論に落ち着いてしまう。NBAトップ選手にそう思わせるカリーも流石だが、カリー家の内助の功は、それほど大きなインパクトを与えているということだ。
-
バスケ
マイケル・ジョーダンの強権発動!? 新シーズンからホーネッツはNBA唯一の『ジョーダン・ブランド』着用チームに
『プレミア化』によりファンの購買意欲を刺激 NBAチームが2017-18シーズン用のユニフォームを発表している中、ホーネッツのユニフォームには、他チームのものと大きな違いが1つある。 2017-18シーズンからユニフォームサプライヤーがadidasからNikeに変更されたため、各チームのユニフォーム右胸上部にはNikeロゴの『スウォッシュ』がプリントされているのだが、ホーネッツが発表した新ユニフォームには、ジョーダン・ブランドのロゴである『ジャンプマン』がプリントされている。 THE REVEAL. Introducing our new Hornets uniforms - the FIRST @Jumpman23 uniform for a U.S. pro team. #BuzzCity ???? https://t.co/xNnuIc9q6T pic.twitter.com/fDrSi5UpZu 言うまでもないが、ジョーダン・ブランドはマイケル・ジョーダンのブランド。『ESPN』によれば筆頭オーナーをジョーダンが務めるホーネッツだけが、『ジャンプマン』のロゴを使用するチームになるという。 筆頭オーナーのブランドを採用することで、ホーネッツの選手たちのモチベーションにも繋がる効果があるだろう。そして言うまでもなく『レア』であることがファンの購買意欲を刺激する。 ブランドの顔として、そしてチームオーナーとしての特権を発動するあたり、世界的なビジネスマンとしても成功しているマイケル・ジョーダンらしい行動だ。 Logo status. The Jumpman has a permanent home on the @hornets jersey. pic.twitter.com/3Tckr4xDfW
-
バスケ
クリッパーズ移籍が決まったダニーロ・ガッリナーリ、国際親善試合で相手選手を殴り親指を骨折、ユーロバスケット欠場へ
ガッリナーリ「チームメートに謝罪したい」 イタリア代表のエース、ダニーロ・ガッリナーリがオランダとの国際親善試合で右手の親指を骨折した。 とはいえ、これは不運なものではなく彼自身の愚行によるもの。ボックスアウトで押し合いになった際、相手選手の腕が喉元に入ったことでガッリナーリは激高。相手を突き飛ばした上に、渾身の右パンチを見舞ったのだが、これで右利きのジャンプシューターである彼にとっては一番大事な右手親指の付け根にヒビが入ってしまった。 1カ月の安静が必要と診断され、8月31日開幕のユーロバスケットへの出場は消滅。代表合宿から離れリハビリを開始しており、NBA新シーズンの開幕に備えることになる。ガッリナーリは『ANSA』の取材に対し「ひどいミスを犯してしまった。ユーロバスケットを欠場するのは残念で仕方ないし、チームメートに謝罪したい」と語った。 VIDEO #Italbasket #Gallinari rissa con olandese #Kok: mani in faccia e doppia espulsione https://t.co/qTydMPmWef #basket #highlights #SerieA pic.twitter.com/ZBGLCncTDH ガッリナーリはこの夏、ホークスを含む3チーム間トレードでナゲッツからクリッパーズへと移籍。新天地でのシーズンを迎える前に、とんだアクシデントに見舞われてしまった。クリッパーズのトレーニングキャンプ開始には親指のケガは治る見込みだが、シーズン前の準備が遅れることは間違いない。 また、イタリアのバスケットボールファンにとってはNBA以上に重要なユーロバスケットにエースが欠場する事態に大いに失望している。
-
バスケ
コーチの鉄拳でフリースロー成功率が改善、スティーブン・アダムズの仰天練習方法
予期しないタイミングでの鉄拳でメンタル強化!? NBAでは、どういうわけかセンターやパワーフォワードの選手のフリースロー成功率が低い。特にビッグマンの成功率の低さは顕著で、試合終盤には対戦相手が故意にファウルを仕掛けてプレーを止める『ハック戦術』の犠牲になるのも、フリースローを苦手とするセンターの選手に多い。 改善に向けて努力を重ねるものの成功率が上がらないビッグマンが多い中、サンダーのスティーブン・アダムズは、1年目から徐々にではあるが成功率を改善させている。そして、昨シーズンはキャリアハイの61.1%を記録した。 フリースローに入るまでのルーティンの変更、フォームの変更など、改善させる方法は人ぞれぞれ。だが、アダムズの成功率を改善させた要因は、今の現代には相応しくないコーチの『鉄拳指導』にあった。 『Norman Transcript』によれば、サンダーのアシスタントコーチを務めるセルビア出身のダーコ・ラジャコビッチは、フリースローの練習中、突然アダムズのみぞおちにパンチを叩き込むのだという。しかも、いつ、どのタイミングで殴られるかアダムズ本人も分からないというのだから恐ろしい。 アダムズは昨年12月、ラジャコビッチとの練習について、笑顔を交えこう語っている。 「ダーコのおかげでフリースロー成功率が改善されている。彼は辛抱強く取り組んでくれるんだ。でもね、彼にみぞおちを殴られるんだよ。本当の話だよ。みぞおちを殴られるか、腕をかなり強く殴られる。それで一言『決めろ』と言われるんだ。それだけのストレスがかかるから、自分がやるべきことに集中しないといけない。もちろん楽しくなんてないさ。ちっちゃいセルビア人に殴られるんだぜ(笑)」 選手としての弱点を克服しつつあるアダムズは、出場時間もシーズンごとに伸ばしている。出場時間増は、フリースロー成功率の改善による恩恵の一つだ。 アダムズが試合終盤コートにいるのといないのとでは守備に与える影響は少なくない。しかし、『ハック戦術』の餌食になってしまってはチームの足を引っ張りかねない。だからこそフリースロー成功率の改善は重要なのだ。アダムズの能力を高く評価し、試合に与える影響力を分かっているからこそ、ラジャコビッチは鬼に徹しているのだろう。 現代では極めて珍しい方法だが、機能しており、アダムス自身も納得しているのだから今後も続くはず。今後サンダーに加わるビッグマンは、よほどフリースローを得意としない限りは、ラジャコビッチ流の指導を覚悟しておくべきだ。
-
バスケ
格上のウルグアイ相手に一歩も引かぬ戦い、攻守に課題を修正してパフォーマンスを高めた日本代表が新体制初勝利!
フリオ・ラマスが求めるバスケットを体現して快勝 ウルグアイを招いての国際強化試合の第2戦、初戦は69-79で落とした日本だが、昨日の第2戦では新ヘッドコーチのフリオ・ラマスが求めるバスケットを体現し、72-57で快勝した。 先発メンバーは富樫勇樹、比江島慎、太田敦也、小野龍猛、アイラ・ブラウン。第1戦では0-11と最悪の出だしだったのを修正し、序盤からアグレッシブさを見せる。アイラの3ポイントシュートで先制すると、第1戦では出番のなかった小野のドライブから、比江島がインサイドで合わせてバスケット・カウントを獲得。第1戦では停滞していたオフェンスは明らかに向上した。 ただ、オフェンスの内容は良くなったが、ノーマークのシュートを決めきれない場面が続き、さらには相手の肘が顔面に入り、まぶたを切り出血した比江島が交代を強いられ推進力を欠く。その間にウルグアイに高確率でシュートを決められ、第1クォーターを16-17で終えた。 それでもセカンドユニットとなった第2クォーターも日本はアグレッシブさを保ち主導権を握る。皆がリングへのアタックとパッシングの高い意識を持ち、ウルグアイディフェンスを攻略した。篠山竜青のドライブから田中大貴が合わせ、張本天傑のチップアウトから田中が3ポイントシュートを沈め、21-17とリードを奪う。ディフェンスでもエステバン・バチスタにはダブルチームで対応し、インサイドで自由を与えない。素早いディフェンスローテーションで粘り強く、プレッシャーを与えた。 サイズに勝るウルグアイの強引な攻めにも対応 35-31とリードして始まった後半も日本はペースを落とさず、堅守とドライブが噛み合う。第3クォーターには流血の治療を終えた比江島が復活。緩やかなドライブから独特なステップでのレイアップ、富樫がディフェンスを引き付けての3ポイントシュートを沈め45-36とリードを広げた。守備でも前日には好き勝手にやられたインサイドを締め、ボールマンへもプレッシャーをかけ続ける。自由に攻められない展開にウルグアイはストレスを感じ、ターンオーバーを重ねた。 9点のリードを保ち最終クォーターを迎えた日本。最初のディフェンスで古川孝敏がアグレッシブにボールを弾き、それを拾った比江島のワンマン速攻で点差を2桁に乗せた。その後、集中力を切らしたウルグアイのシュートはリングに弾かれ続け、球際でも日本が強さを発揮。ルーズボールを奪った張本が加点し、古川の3ポイントシュートが決まり点差は20点に。 残り2分には篠山と富樫のツーガードを試す余裕を見せた。前日の課題を修正し、リングへのアタックとディフェンスを強めた日本が第2戦を制した。 比江島「ボールを保持せずにアタックすることを意識」 比江島はまぶたを切るアクシデントに見舞われながらもゲームハイの16得点を記録。試合をこう振り返る。「昨日の課題点を修正でき、最初からディフェンスを激しくできましたし、自分自身もペイントエリア内にしっかりドライブすることができました。今日はラマスヘッドコーチが求めるバスケットを少しはできたと思いますので、自信につなげて今後もやっていきたいです」 第2戦での改善点については「ピック&ロールの対応でハードに来る選手と来ない選手が昨日で分かった」ことがポイントだと比江島は言う。「それを見分けながら、ハードに来ない選手はリングまでアタックするし、パッシングの中でもズレを作りながら、ボールを保持せずにアタックすることは意識していました」。2試合で29得点、新体制となった代表でも『日本のエース』であることを示すパフォーマンスだった。 フリオ・ラマスは、2日間でたくさんの観客を集めた青学記念館の盛り上がりを見て「良い雰囲気で応援してくれる方々がたくさんいると感じて、自分のコーチとしての責任が重大であることを感じました。アジアカップに向けて期待に応えられるよう頑張っていきたい」と語る。また選手に対しては「ウルグアイという強豪を相手に第1戦で負けてしまったが、気持ちを切り替えて姿勢を保って戦ってくれた選手には感謝している」と話した。 この2試合を戦って、日本が目指すべきスタイルについて「ヒントは見つけた」とラマスは言う。「試合数が足りていないので経験を積む必要はあって、10試合はやらないとスタイルを完成させることはできない。まだまだ先は長いでが、選手の姿勢と理解力、この2つが日本のスタイルを探すために重要な要素となります」 8月8日のアジアカップ開幕まであとわずか。新体制がようやくスタートしたことで選手たちの士気は高い。今夏は女子日本代表がアジアカップ3連覇を果たしたし、U-19も男女のチームが『快挙』と呼ぶべき結果を残している。『大トリ』で登場する男子A代表にもまた、世界を驚かせる戦いぶりを期待したい。
-
バスケ
ケビン・デュラント、キャブズ退団要求で渦中のカイリー・アービングを語る「楽しくプレーできる場所を見つけてほしい」
最大で20チームがキャブズにオファーを提示との報道も NBA周辺では、先週末からキャバリアーズにトレードを要求したと噂されるカイリー・アービングの話題で持ちきりだが、ついにウォリアーズのケビン・デュラントまでこの件についてコメントした。 『ESPN』によれば、デュラントは「アービングの件については何も気にしていない」と前置きしながら、一般論としてこう続けたという。「NBAプレーヤーには皆、幸せな環境を手にしてもらいたい。楽しくプレーしてもらいたいと思うよ。それがどこであれ、カイリーにも同じ環境を手にしてもらいたい」 一部報道では、アービングはレブロン・ジェームズの影に隠れてプレーすることに我慢がならなくなったとも言われている。しかしデュラントは、「レブロンは素晴らしい選手だよ。僕も2012年のオリンピックで一緒にプレーする機会を得たけれど、彼からたくさん学ばせてもらった」と話している。 キャブズに「Yes」と言わせるだけの交換要員がどれほどのものかを想像するに、アービングのトレードが簡単に成立するとは思えない。それでもフランチャイズプレーヤーとしてアービングを迎えたいチームは数多く、今のところティンバーウルブズ、ヒート、ニックス、スパーズ、サンズ、クリッパーズなど20チーム前後からオファーがあったが、キャブズを納得させるようなオファーはないと『ESPN』は伝えている。
-
バスケ
ラプターズ球団社長、マサイ・ウジーリの悲願は「打倒キャブズ、打倒レブロン」
「その方法が分からなければ別のリーグへ行くべき」 レブロン・ジェームズが2014年にキャバリアーズに復帰して以降、東カンファレンスの勢力図に変化は見られない。レギュラーシーズンの順位こそ変動しつつ、ここ4年間NBAファイナルに進出しているのはキャブズだけだからだ。 西カンファレンスのチームがこぞって『打倒ウォリアーズ』に向け積極的な補強を実行している中、東ではラプターズ球団社長のマサイ・ウジーリが、『打倒キャブズ』、『打倒レブロン』を掲げている。 ウジーリは、フィル・ジャクソンを解任したニックスの新球団社長に就任するとの噂もあったが、トロントに優勝をもたらすため、力を尽くし続けている。今オフはフリーエージェントになった先発ポイントガードのカイル・ラウリーの慰留に成功。そのウジーリは『The Vertical』に対し、「我々の仕事は、彼を倒すことだ」と語った。 『彼』とはもちろん、レブロン・ジェームズのことだ。 「その方法を見つけないといけない。それができなければ、別のリーグへ行くべきだ。例えばギリシャにでもね。我々にとっての責務は、キャブズを倒す方法を見つけること。それができなければ、シーズン開幕前の時点で彼らに優勝を与えてしまうのに等しい。レブロンとキャブズの力は分かっている。しかし、いつかは終わりが来る。どこかのタイミングで、球団のリーダーである私は彼に勝つ方法を見つけ、選手たちをやる気にさせないといけない。優勝争いができるという自信を選手たちに与えないといけない」 カイリー・アービングが退団する可能性が高まっている今、ウジーリの悲願達成へのハードルは以前よりやや低くなっていると言えそうだ。もっとも、それは競争激化を意味する。プレーオフでキャブズを倒せたとしても、ゴードン・ヘイワードを獲得したセルティックス、あるいは主力の慰留に成功したウィザーズが、ラプターズの前に立ちはだかるかもしれない。 それでもウジーリが見据えるのはただ一つ、打倒キャブズであり打倒レブロンだ。
-
バスケ
水島沙紀が後半だけで7本の3ポイントシュートを含む26得点、日本代表がオーストラリアとの激闘を制しアジア3連覇!
『走るバスケット』でオーストラリアへのリベンジ達成 アジアカップ決勝のオーストラリア戦、日本は大混戦に競り勝って大会3連覇を決めた。 この大会のニュースターとなった藤岡麻菜美のドライブ・レイアップで先制した日本だが、その後は相手のフィジカルに圧倒されて積極性を失い、2-12のランを浴びる。それでも町田瑠唯を入れてツーガードにしたのを機に日本の『走るバスケット』を展開。ビハインドを取り戻す。 その後、勝負強さを見せるオーストラリアに流れが行く苦しい状況でチームを救ったのはシューターの水島沙紀だった。前半は無得点に終わった水島は、ツーガードを引っ張りすぎるわけにはいかないために『繋ぎ役』としてコートに戻ったのだが、最初の3ポイントシュートを決めたのを機に『ゾーン』に入る。放つシュートがことごとく決まり、第3クォーターで14得点、第4クォーターで12得点の荒稼ぎ。オーストラリアは途中から水島を警戒し厳しいチェックに行ったものの、それをモノともせず7本の3ポイントシュートを沈めた。 水島の活躍があってもオーストラリアは簡単に倒せる相手ではない。チーム一丸で足を使って守るディフェンスでは、インサイドで髙田真希が軸となり、ファウルトラブルに陥りながらも退場することなく、高さの利が相手にあるゴール下でしぶとい守りを見せた。長岡萌映子も同様で、ファウルトラブルになっても積極性を失わず攻守を支えた。 残り1分26秒、水島のこの試合7本めの3ポイントシュートが決まって74-71と日本が抜け出す。その後にオーストラリアのエース、グリフィンにこの試合30得点目を許して74-73と詰め寄られるも、最後はチーム一丸の守備で辛うじてではあるがリードを守り抜き、勝利を決めた。 日本はこれで2013年、2015年に続きアジア3連覇。見事に目標を達成した。
-
バスケ
新体制となった日本代表での初戦、勝負の第4クォーターでフル出場した篠山竜青だが「むしろ危機感のほうが大きいです」
3人のポイントガードで最も長いプレータイムを得るも…… 7月29日、日本代表はフリオ・ラマス新ヘッドコーチの下では初の実戦としてウルグアイ代表として対戦。第1クォーターに2桁のリードを許した立ち上がりの遅れが響き、69-79で敗れた。しかし、第2クォーター以降は55-54と上回るなど、明日の雪辱に期待を抱かせる内容でもあった。 今回の代表には、富樫勇樹、篠山竜青、橋本竜馬と3人の司令塔が選出された。先発に起用されたのは富樫だったが、勝負の第4クォーターでのフル出場など、3人の中で最もプレータイムが多かったのは篠山だった。 「篠山のディフェンスが良かった。追い上げるためには彼のディフェンスが必要と思った」とラマスは、篠山の第4クォーターでの起用について語る。実際、篠山はチームトップの3スティールを挙げるなど、激しいディフェンスを披露していた。 ラマス新体制での記念すべき初戦において、ここ一番でコートに立っていたことは、ポジション争いにおいて幸先良いスタートとなったのではないか。この問いに対し、篠山は正反対の考えだ。「これで勝っていれば自信になりますが、テストで出されていた中で試合に負けています。司令塔としてコントロールの部分でも勝負どころでミスはありました。明日もう一回、このようなプレータイムがあるかは分からないですし、むしろ危機感のほうが大きいです」 篠山が説明するルカとラマスのバスケットの違い 「気さくなおじさんという感じで積極的にコミュニケーションをとってくれますし、しゃべりやすいです」とラマスの印象について語る篠山は、前任のルカ・パヴィチェヴィッチとの違いを次のように説明する。 「ディフェンスに関して言えば、ルカはどちらかというと少ない人数で守っていきたい、ピック&ロールに関しても2対2で守っていきたいという考え方でしたが、ラマスの場合は全部のプレーに対して5人全員で守っていく。オフェンスについては、ルカはピック&ロールを重視して誰でもどこでもピック&ロールができるように、という考えでしたが、ラマスはどちらかというとパスで崩していくのが好ましい、一人ひとりがボールを持つ時間をどれだけ少なくできるかというバスケットになりました」 また、篠山は昨シーズンのBリーグでは特にシーズン終盤からチャンピオンシップにかけて、得点面でのステップアップが目立った。しかし代表では、外からのシュートを自ら積極的に打つよりも、ゴール下にアタックしてのチャンスメークにより重きを置いているようだ。 「ペイントエリアに入っていくことを意識しています。チームには一流のシューターがいますので、僕が運んでポンポンとシュートを打つのはチームのリズムではありません。僕がピック&ロールを使ってすぐに3ポイントを打つのはちょっとリスクが大きいと思います。ペイントに行ける時は行く、それが無理だったら次のピックに移行しようという選択が頭の中にありました」 「今回は選ばれましたが、日々、テストされている気持ちです。毎日、緊張感を持っていかないといけない」と、篠山はあとわずかとなったアジアカップ、その後の代表活動について語る。そして川崎ブレイブサンダースの時と同じく、ベンチでも積極的に声を出して味方を鼓舞する姿が目に付いたが、「もっと意識して、ベンチでもコートでもやれると思いますし、やっていきたいです」と意気込みを語っている。 世間に是非を問う「これからは『篠山ひも問題』です」 余談だが、オフシーズンに入ると篠山はこれまで生やしていたヒゲを剃って『篠山ヒゲ問題』としてTwitterでファンの反応を探った。本人としては、爽やかなヒゲなしを気に入っていたのだが、反応は圧倒的に『ヒゲがあったほうがいい』ということで、これまで通りヒゲを生やしている。今回は新たな変化として、サッカー選手がよく着けているヘアバンドを着用。「これからは『篠山ひも問題』です」と、コート外でも新たな話題を提供してくれている。 「Twitterのフォロワーも増えていますので、楽しんでいます」とコート外での積極的な情報発信でファンと触れ合うことについて語る篠山。日本代表のポイントガードの定位置争いのみならず、今回の『ひも問題』がどんな結末を迎えるのかも何気に注目していきたい。
-
バスケ
リオ五輪の主力に支えられた『次世代』が未来を切り開いて急成長する日本代表、アジア3連覇まであと1勝と迫った『今』
試行錯誤しながらも底上げの大会、ここまでは大成功 大一番となった準決勝の中国戦を74-71で制し、トム・ホーバスヘッドコーチは開口一番こう語った。「もう最高! 我慢、我慢のゲームだった。しつこいバスケをやりました。日本らしくバンバン走るゲームができた」 中国は今大会最も警戒していた相手だった。2年前より選手層が厚くなり、点差がついてもディフェンスで最後まで手を抜かない姿勢に「2年前のアジア選手権決勝で日本が35点差(85-50)を付けたことが、中国の強化に火をつけさせてしまった」とホーバスHCが言っていたほど。選手層の厚さと高さでは、オーストラリアと中国が大会を凌駕していた。 日本が両国より誇れるものは、しつこいバスケをするための『脚』だ。序盤から日本と中国の両者がメンバーチェンジを繰り返す消耗戦の末に迎えた第4クォーター、9点ビハインドを負ってからのラスト5分間の追い上げは圧巻だった。第3クォーターまでは11本負けていたリバウンドに果敢に飛び込み、ルーズボールを奪う『脚』で勝負。 中国が徐々に体力を奪われて攻めが雑になっていく中で、日本は藤岡麻菜美のスピードある組み立てから長岡萌映子の走りと宮澤夕貴の3ポイント、髙田真希のゴール下での合わせ、町田瑠唯のルーズボールで最後まで粘り、逆転勝利を飾ったのだ。 『キャリア組』には「頑張ってほしい、信じている」 準々決勝までの日本は個々の活躍はあるものの、チーム全員が機能した動きは見せられなかった。そもそも『これで攻める』といったチームの『軸』が見えてこなかったのは、渡嘉敷来夢の不在に加え、リオ五輪から5名が変わった布陣では仕方ないことだった。そんな中で気がかりだったのは、現チームを支えてきた吉田亜沙美、大﨑佑圭、髙田真希らキャリア組にやや元気が見られないことだった。 彼女たち3人のパフォーマンスは特別悪くはなかった。ただ、これまでのオリンピック予選やオリンピックを戦った2年間を思えば明らかに輝きが違う。吉田と髙田はなかなか沸いてこないモチベーションへの葛藤が見え、大崎は渡嘉敷不在の中でインサイドを背負う気負いが感じられた。だからなのか、日本の出足はいつも重たかった。 もっとも、吉田と髙田は負傷の影響もあった。吉田は日本にいた時から左膝に痛みを抱え、試合中もベンチでマッサージが必要なほどだった。髙田は足に肉離れを起こして復帰したのは大会直前。もちろん3選手は強い責任感ゆえ、コートに立てば仕事をする。この3カ月間の合宿でも手を抜いたことなど一度もない。だからホーバスHCも心身のコンディションが上がってくるのを待つしかなく「頑張ってほしい、信じている」と言うしかなかった。 藤岡、長岡、宮澤世代の躍動とスタメンを変える決断 大会が進む中で日本は、チームが完成しなくとも、地力があることだけはしっかりと見せつけていた。韓国戦では2ガード仕様で速い展開に持ち込んで力の差を見せつけ、オーストラリア戦では若手中心の布陣で終盤に競ることはできた。チャイニーズ・タイペイ戦では苦戦しながらも第4クォーターに突き放す底力を見せた。 そんな中で台頭したのが次世代を背負う長岡萌映子、宮澤夕貴、藤岡麻菜美という23歳の同期3人組だ。藤岡が韓国戦で大会のキーマンへと浮上する躍動感を見せると、オーストラリア戦では宮澤がゴールアタックの姿勢を見せて猛追する流れを作り、中国戦では長岡が後半にエンジン全開で走り続けた。 彼女たちの台頭がチーム力の底上げになったのは間違いない。しかし予選ラウンドは乗り切れても、中国やオーストラリアを相手にするには経験を含めた総戦力が必要だった。「今までのような出足の悪さでは中国には勝てない」と試合前に語っていたホーバスHCの頭の中では『変化が必要』との答えは出ていたのかもしれない。 日本は中国戦でスタメンを変更した。膝に痛みを抱えていた吉田に代えて今大会絶好調の藤岡を司令塔に据え、マークされていたシューターの近藤に代わっては速さを出すために水島を抜擢。長岡や宮澤の攻め気はそのままに、髙田や大﨑がインサイドで身体を張り、藤岡の縦に切る動きに合わせる指示をした。終盤は宮澤が2番仕様となるビッグラインナップ、町田がルーズボールを追うスモールラインナップなど、状況に応じた選手起用を見せ、我慢としつこさで勝機を見いだしていった。 「オリンピックの勝利とはまた違ったうれしさ。純粋に本当にうれしい」と語ったのは髙田だ。それほど今大会はキャリア組にとっては、目標設定が難しい中で苦しんだ大会だったのだ。そして髙田は、第4クォーターの苦しい場面をともに乗り切った後輩たちにこう言った。「若手が試合で見せる成長は練習とは比べ物にならないですね。アジアの公式戦で得た経験は彼女たちの自信になったと思います」 藤岡という新たな『軸』、日本はどこまで成長するか このチームはキャプテンで司令塔の吉田を中心に作ってきたチームだ。長岡と宮澤の180cmを超えるフォワード起用など準備してきたこともあったが、予選ラウンドで見せた2ガードや、中国戦で藤岡を司令塔に抜擢したことは、吉田が万全で臨めなかったことにより、ぶっつけ本番で強いられたスタイルである。それでも乗り切ることができたのは、大会のキーマンどころか、救世主となった藤岡が想像を超えるスピードで独り立ちしたからだ。 藤岡自身のゲームの組み立てで言えば、時にボールを持ちすぎて最後は1対1になる場面やイージーミスも多々ある。だがゲームを通して見れば、得意のクロスオーバーからのドライブインは効果的に決まり、縦へ縦へと切っていくスタイルはスピードを求めた日本の流れを作った。大会中盤までなかった日本の『軸』は、もはや藤岡のスピードによって作られていると言っていい。 すでに現段階で、中国、韓国、チャイニーズ・タイペイを下し、実質アジア1位になった日本だが、オーストラリアには中国にはないゲームの駆け引きの巧さがある。一段階上のステージにいるオーストラリアを下してこそ3連覇が実現するとともに、新しく生まれ変わったアジアカップのチャンピオンになれるのだ。 思えば予選ラウンドのオーストラリア戦の終盤、髙田を除いてコートに立っていたのは藤岡、町田、宮澤、長岡ら今後の日本を背負う世代であり、彼女たちの攻め気で猛追したことに、次世代につながる光が見えた試合だった。東京五輪へとつながる『ターニングポイント』になったと言える今大会の成長の結末を、しかと見届けたい。
-
バスケ
ヨーロッパの強豪スペインを一蹴、攻守に素晴らしいパフォーマンスを見せた日本代表がU-19ワールドカップ『4強』進出!
攻守両面で運動量で圧倒、日本が序盤から主導権を握る U-19ワールドカップ準々決勝、日本は出だしから素晴らしいパフォーマンスを見せてスペインを一蹴。95-71と大勝して準決勝へと駒を進めた。 日本のスタートは澁谷咲月、髙原春季、赤穂ひまわり、馬瓜ステファニー、梅沢カディシャ樹奈。先制点こそスペインに許すが、馬瓜が単独のドライブからレイアップを沈めると、素早くボールを動かしながらも、最後は個人が責任を持って迷わずフィニッシュに持ち込むオフェンスが機能する。またディフェンスも足を使ってピック&ロールに対応し、ペイントへのドライブを許さない。プレッシャーのかかる中で打たせるミドルシュートがことごとく外れ、リバウンドを拾った日本は素早く攻撃へと切り替えてスペインを振り回した。 開始5分、日本が11-0のランで圧倒し始めたところでスペインはたまらずタイムアウトを要求。これでランは途切れるも日本の優位は動かず。ゴール下の圧力を強めることで打開を図るスペインにオフェンスリバウンドを取られても、そのままゴール下で打たせずにボールを下げさせ、イージーシュートの機会を与えなかった。 第1クォーターを21-13とリードした日本は、なおも攻勢を強める。セカンドユニットになっても出場し続ける馬瓜がボールの収まりどころにして、笠置晴菜と藤田歩が素早いパスワークでスペインを翻弄。約3分半で11-4のラン、この時点で32-17となりスペインが再びタイムアウトを取る。ただ、スペインに打つ手はなかった。ファウルがかさんで激しく行けない上に、前半終了間際には日本のスピードに振り回され続けて走れなくなった。この隙を日本は見逃さずリードを広げ、最後は宮下希保が鮮やかな速攻を決めて46-25と点差を20点台に乗せて前半を終える。 しつこいディフェンスから速攻に転じてリードを広げる 後半は日本にもやや疲れが見え、ゴール下でのディフェンスの強度が落ちてきたところをスペインに突かれたシーンも見られたが、オフェンスはさらに勢いを増す。しつこいディフェンスでボールを奪うとすぐさま走り、イージーシュートのチャンスを作って得点を重ねていく。そしてスペインを苦しめたのがフリースローだ。日本は積極的にリングにアタックしてファウルをもぎ取り、スペインはどのクォーターでもファウルがかさんだ。そして日本は18本のフリースローをすべて沈めている。特にセンターの梅沢は5本すべてを決めた。 第3クォーター終了時点で72-45の大差が付き、試合の趨勢は決していた。終わってみれば95-71の圧勝。U-19日本代表は『難なく』世界の4強入りを果たしている。 宮下と髙原がよく走ってゲームハイの15得点。12得点の馬瓜はシュート確率こそ悪かったが身体を張ってペイントエリアを守り、攻撃ではボールの収めどころとなって日本のパスワークを支えた。スタッツで語るべきは個人ではなくチームだろう。高さで勝るスペインを相手にリバウンドで46-42と上回った。2点シュートの確率はスペインの37.3%(59本中22本)に対し日本は56.4%(55本中31本)と圧倒。そしてファストブレイクポイントが30-8と、ここで最も大きな差が出た。 これで日本はU-19カテゴリーでは初となる世界ベスト4進出。開幕から5戦全勝と破竹の勢いではあるが、次の相手はアメリカで、苦戦が予想される。これまで日本の試合は早い時間に行われてきたが、イタリア時間の今日21時、つまりは『大トリ』の舞台に立つ。日本時間では明日早朝4時に試合開始となる。
-
バスケ
『スラムダンク奨学金』のリアル桜木花道とリアル流川楓、ホール百音アレックスと小林良がアメリカ挑戦に向け抱負を語る
『スラムダンク奨学金』は、日本の高校を卒業後、よりレベルの高いアメリカの環境に身を置いてバスケを続ける意思と能力を持つ若者を、費用をサポートしつつプレップスクール(私立の大学準備校)に派遣するもの。1期生の並里成(滋賀レイクスターズ)、2期生の谷口大智(秋田ノーザンハピネッツ)、4期生の山崎稜(栃木ブレックス)など、この制度を利用した多くの選手が現在Bリーグで活躍している。 第11期の奨学生に選ばれたのは桐光学園の小林良(写真右)と、昌平高校のホール百音アレックス(写真左)。2人は2018年4月から渡米し、セントトーマスモアスクールに入学するが、現在はまだ高校最後の年を過ごしている。アメリカ行きを控えた2人に話を聞いた。 バスケ歴5年のホール百音アレックスは『リアル花道』 桐光学園(神奈川県)の小林良は小学校1年でミニバスを始め、6年生の時に県の優秀選手賞を受賞。中学1年でジュニアオールスターに出場し、日本一に輝いた。中学2年で関東エンデバーとトップエンデバーに選ばれ、U-16日本代表候補となった。 彼にとっての挫折はU-16代表から落選したこと。「これまで感じたことがないぐらい落ち込みました。それでも応援してくれる方々がいて、やっぱりやめられない、あきらめられないという気持ちが強くなって、一から頑張ろうと思いました。その時に桐光学園バスケ部顧問の高橋正幸先生に『誰か挑戦してみるヤツはいないか』と言われたのが『スラムダンク奨学金』です」 もともと小林はアメリカ志向が強かった。横浜ビー・コルセアーズのジュニアユース(U-15)でヘッドコーチをしている、白澤卓の下、「アメリカに行ってNBAでプレーする」という夢に向かって努力を重ねてきた。桐光学園では小林の入学から創部以来初となる3年連続インターハイ出場を果たし、小林は間もなく最後のインターハイに挑む。 小林がビーコルのジュニアユースで練習に明け暮れていた頃、ホール百音アレックスはサッカー漬けの日々を過ごしていた。サッカーは幼稚園の年長で始め、小学3年からは大宮アルディージャのジュニアチームでプレーした。そのホールがバスケに転向したのは中学2年の時。遊びでやっていたはずのバスケが「自分に合っている」と思うようになった。 「でも、市の大会で負けたし、選抜にも選ばれず。昌平高校は関東大会どまりで、インターハイには出場していません」。それでもホールは高校1年の時に関東エンデバーに招かれ、そこで小林と出会った。ホールは「自分はバスケを始めてまだ短く、中2からなのでまだ5年目。バスケットIQは足りないし、高いレベルを経験していません。バスケの本場でやってみたいと思います」と言う。 小林が人生で初めて読んだ漫画が『SLAM DUNK』 ちなみに漫画『SLAM DUNK』は読んでいたのだろうか。『週刊少年ジャンプ』で連載されていたのは1990年から1996年まで。2人が生まれたのは連載終了のずっと後だ。 ホールはサッカーからバスケに転向した後、友人に聞いてその存在を知った。「漫画は少ししか読んでいませんが、テレビの一挙放送でハマっちゃいました。やっぱり主人公の桜木花道が好きです。ちょうど自分もバスケを始めたのが遅いし、似ているなあと思って」と言う。 小林は「兄がバスケをやっていて、家に漫画がありました。人生で初めて読んだ漫画が『SLAM DUNK』です」と言う。「僕は流川と沢北が好きで、プレーが追い付いていないので似てるとは思いませんが、頑固で冷静になれない時に周囲に支えてもらっている状況とか、アメリカでプレーしたい気持ちに感じるところがあります。『日本一の高校生になりなさい』ができていないので、まだ足りないですね(笑)」 彼らがあこがれるのはアメリカであり、それはすなわちNBAでもある。小林は「コービー・ブライアントを尊敬しています。メンタルの強さ、ストイックさでは誰もかなわないと聞くので。ステップワークやシュートフォームも参考にしています」と言う。一方のホールは「ドウェイン・ウェイドですね。スピードがあってバスケットIQの高い選手です。クリス・ポールとか、レブロン・ジェームズもカッコいいです」とNBAのスター選手の名をスラスラと挙げた。 Bリーグからも刺激を受けているが、それよりも彼ら2人に強いインパクトを与えたのが先日のU-19ワールドカップで目覚ましい活躍を見せた日本代表だ。小林が「U-16で一緒だった西田優大さんや鍵冨太雅さんが世界大会でプレーしていたのは刺激になりました」と言えば、ホールも「世界とバスケで対峙していて、自分もあそこでプレーしたいと思いました」と目を輝かせる。 「バスケットに関して妥協せず、チャレンジし続けたい」 高校ラストイヤーを過ごす2人は、アメリカ行きの準備も進めている。最初に取り組むべきは2人とも同じで、コンバートと英語だ。小林は中学時代から一貫してシューティングガードとしてプレーしており、「アウトサイドが得意なので、プッシュじゃなくてスペーシングやミートからの1対1を意識しています」というスタイルでやってきたが、これからはポイントガードの勉強をする。「身長が高くないので、ゆくゆくはポイントガードとしてプレーできるよう準備してきました。今もシューターとしてのプレーが多いのですが、周りを生かすプレーを意識的に増やしています」と185cm78kgの小林は言う。 187cm89kgのホールはセンターとしてプレーしてきたが、今後はガードとしてプレーするつもりだ。「今はセンターとして20得点13リバウンドぐらい、ほとんどはペイント内でのプレーです。ドリブルも問題だし、これから大変ですが、自分で点数を取れて周囲も生かせる、ゲームの中で重要な選手になりたいです。アシストするのも好きなので大丈夫です」。彼はスラムダンク奨学金の最終選考で、今までやったことのない2番ポジションでプレーし合格をつかんだ。「何本かシュートが入ったのですが普段はセンターなので、自分でも驚きました」と笑う。案外、ガードの適性があるのかもしれない。 話題が英語になると、2人とも居心地が悪そうになる。ホールは「勉強の面は正直すごく不安です。今まではサッカーかバスケを全力でやって、家に帰ってきた時には疲れて寝ちゃう感じだったので」と言う。小林も「英語ができないと授業も付いていけないと思うので、そこから始めないといけません」と大変そうだ。それでもホールが「アメリカに行く以上は必要なので、勉強しなきゃいけないとマインドチェンジしました」と言えば、小林も「バスケのために必要であれば乗り越えます」と覚悟はできている。 英語や生活環境への順応に苦労することもあるだろうが、若い2人はアメリカ行きの期待に胸をふくらませている。「アメリカに行くと思うだけでワクワクしてしまって、不安を考える前に期待してしまいます。幼稚園の頃から英会話はやっていて、ちゃんと始めたのは高校からですが、スラムダンク奨学金の最終選考でも現地のコーチと少しだけコミュニケーションが取れたので良かったです」と小林は語る。 ホールも「不安もありますが、新しい環境と新しいポジション、楽しみのほうが大きいです」と言う。「英語はそんなにできないですが、リスニングはある程度できるし、コミュニケーションについては身を任せていれば心配ないと思います。まだ時間はあるので、どうにかなるかと」 恵まれた身体能力を生かし強烈な勢いで成長するホールと、幼い頃からエリートでありながら努力を欠かさなかった小林。2人のこれまでの歩みは花道と流川にたとえられるぐらい対照的だが、「バスケットボールに関して妥協せず、チャレンジし続けたい」という気持ちと『バスケの国』へのあこがれは変わらない。 小林は「NBAに行くという夢をいろんな人に支えてもらって長い間準備をしてきたので、そこは譲れない部分です」と言い、ホールは「漠然としていますが、バスケはアメリカが一番なので、そこでやりたいです。いきなりアメリカに行くことは不安ではありますけど」と言う。『スラムダンク奨学金』で夢に向かう2人に今後も注目したい。